亀山早苗の恋愛コラム

「あなたが好きです」11歳年上男性からの「おじアタック」。恐怖を感じた29歳女性の対応とは

40歳の職場男性からある日突然手紙をもらった29歳女性。ひとまずスルーしたが、3日後にまた手紙が届き……。最近よく見る「おじアタック」だが、一歩間違えば「ストーカー」だ。軽い響きの中に重い内容を含むことを考えるべきだろう。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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職場の男性から重すぎるラブレターをもらってしまった(画像:PIXTA)

職場の男性から重すぎるラブレターをもらってしまった(画像:PIXTA)

ネットはさまざまなスラングを生み出す。言葉遊びとしては興味深いのだが、軽い言葉が実は重い内容を含んでいることもあるので精査が必要だとつくづく思う。

最近、よく見る「おじアタック」。これはネット上では、「35歳以上の男性が、8歳以上年下の女性にアプローチをかけること」と定義されている。行きすぎれば当然、ストーカー行為として問題になる恐れもある。

もちろん、年齢差のある恋愛や結婚も多いから、自分だって受け入れてもらえるだろうと思うのかもしれないが、男性は相手の反応をよく見ること、そして「おじアタック」された女性たちもその気がないなら早いうちに対応策を考えた方がよさそうだ。

職場だから気を遣ってしまった

「ある日、職場の私の机に、書類で隠すようにして手紙が置いてあったんです。階下のフロアにある課の40歳独身男性からでした。名前を見ても、えっと思うほど、印象が薄かった。部署が違うから仕事でも行き来がないし、顔が合えば会釈くらいはしますが、ほとんど話したこともないはず」

メグミさん(29歳)は、手紙を読んでびっくりした。そこには自分がいかにあなたを好きかということが連綿とつづられていたからだ。

「とりあえず同僚に、この人どういう人だっけと聞いたら、彼女は前に部署が同じだったことがあるらしくて、『超秀才、くそまじめ。仕事はできるけど独創性はないな』と端的に教えてくれました。彼がどうかしたのと言われて、実は手紙をもらったんだけどと話しました。そのときは手紙は見せていません。彼のプライバシーとプライドに配慮したんです」

スルーでいいんじゃないのと同僚に言われたため、彼女は返事をしなかった。そもそも「手紙なんて重いわ」と感じていた。

上司に相談することに

「でも3日後、また手紙が来たんです。今度は妙に軽い調子で、『ボクはカラオケが好きなんです。今度一緒に行ってもらえませんか』って。いや、まず相手の趣味を聞くのが先だろと思いました。こういうところが『おじ』なんですよね」

そのままにしておくと暴走する可能性もなきにしもあらずだと判断した彼女は、まずは自分の上司に相談した。こちらも40歳だが、家庭があり、部下にも信頼されている。

「社内でうまく調整してやめさせる。それでいいか、もっと大ごとにするかと聞かれました。とにかくやめてくれればいいけど逆恨みされるのが怖いと答え、私の上司と彼の上司が直接話し合ってくれたみたいです。手紙のことはまず伏せて、彼の上司が『最近、どうなの?』と彼に声をかけてくれることになったと上司から報告を受けました。生意気な言い方ですが、上司同士が常識的な人たちだったからよかった」

上司に声をかけられた彼は、「片思いをしている」というようなことを話したそうだ。彼自身も苦しかったのかもしれない。結局、上司からも彼からも、メグミさんの名前は俎上(そじょう)に乗らないまま、「下手なアプローチはしない」という約束を取りつけたという。

彼は社内のカウンセラーに相談

ことを深刻に受け取った彼の上司は、さりげなく社内のカウンセラーを紹介したようだ。社内カウンセラーは誰もが気軽に相談ごとを持ち込める雰囲気があるため、彼もそれほど気負わずに訪れたらしい。

「結局、彼自身、結婚したいのにできない、女性にアプローチするのがもともと苦手ということもあって、たまたま社内で見かけた私と付き合いたいと気持ちが盛り上がってしまったようです。どこの誰か分からないという状況ではなかったけど、今どき、思い込みだけでとんでもない行動をしたり、逆恨みされたりということもあるから、私も怖かったですよ」

特に会社の行き帰りには気を付けていたという。駅から会社までは顔見知りがいれば一緒に歩いてもらうことにし、会社から家に帰るときは友達に電話をかけたり、話す相手がいなければ「エア電話」で話すフリをしたりしながらしのいでいた。

受け入れてくれるという思い込みが怖い

「ただ、相手はどうしても私でなければいけないとは思っていなかったみたいです。たまたま私に目をつけただけで……。デートしてから付き合うかどうか決めるつもりだったと上司には言ったようですが、片思いだと言いながら、デートを受け入れてくれると思い込んでいるところがちょっと矛盾しているし怖い。そのことも彼の上司には伝えました」

結局、彼は40歳まで恋人がいない人生だったと分かった。それにしても「人との距離のとり方がおかしい」のは事実。彼は今年から部署が替わり、仕事への意欲も上昇しているという。

「彼の上司、結婚相手の紹介まで考えているようですよ。彼からは上司を通じて、『いきなり手紙を渡して申し訳なかった』という言葉をもらい、ホッとしています。人の執着のかげんって分からないから、標的になった人間にとっては恐怖以外の何ものでもない。それを分かってもらえればいいですね」

周りがみないい人だったこと、彼に執着心がそれほどなかったことで、安心な着地を見たが、1つ間違えたらもっと怖いことになっていただろう。
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