定期預金で老後対策になる?(画像:PIXTA)
今回は、「ちろる」さん(51歳・自営業)。30代から定期預金を続け、老後資金として着実に積み上げてきました。安全志向で資産を守りつつも、円安が続くなかで次の一歩を考え始めています。
■プロフィール
ペンネーム:ちろるさん
年齢:51歳
性別:女性
家族構成:夫(54歳)
居住:賃貸
職業:自営業
世帯年収:本人300万円、夫800万円
■資産と運用状況
普通預金:500万円(金利0.6%)
定期預金:4000万円(金利0.8%)
投資信託:500万円
毎月の積立:定期預金に10万円、投資信託に2万円
30代からコツコツ積立。安全志向で資産を守る
ちろるさんが定期預金を始めたのは30代に入ってから。きっかけは「金利がよかったから」とのこと。以来、老後資金を目標に、満期になるたびに金利の高い金融機関を探して預け替えを続けてきました。現在では4000万円を金利0.8%の定期預金に預けています。資産の大半は安全資産に置き、月に10万円を定期預金に積立。加えて月2万円を投資信託に振り分け、少しずつリスク資産にも取り組んでいます。
預金で守れた安心感と、円安時代の新たな不安
「株価が大きく下落した時も、定期預金にしておいてよかったと思いました」と語るちろるさん。これまで安全志向で資産を積み上げてきたことに手応えを感じています。一方で、「円安が進むと、日本円だけで預金していることに不安を感じる」との本音も。これまで預金中心で大きな問題はなかったものの、「今の時代は、なるべく低リスクでリターンも狙える資産運用も必要なのでは」と考え始めています。
「周囲の情報に振り回され過ぎないようにしながら、無駄遣いを減らしコツコツ続けていますが、次にどんな方法を取り入れるべきか知りたい」と話します。
専門家への質問
そこで専門家に投げ掛けたいのは、次のような問いです。「今まで安全志向で定期預金を中心に資産形成をしてきましたが、円安の時代なのでリスクを取った資産運用も検討しています。なるべく低リスクの運用方法を教えてほしいです」
今回の「ちろる」さんからの質問に、ファイナンシャルプランナーの舟本美子さんが回答します!
ファイナンシャルプランナーの舟本美子さんからのアドバイス
ちろるさんのように「安全を大切にしながら、少しずつ資産を増やしたい」という方には、“分散・長期・積立”の3本柱を意識した運用がおすすめです。大きなリスクを取らず、じっくりと資産を育てていける方法なので、これまでの堅実なスタイルにもぴったりです。その際、大切なのは「コストを抑えたインデックスファンドを選ぶ」こと。投資信託には運用コスト(信託報酬)がかかりますが、長期運用ではこの差が成果に大きく影響します。できるだけ低コストのファンドを選ぶことで、安定的にリターンを伸ばしやすくなります。
次に、「国内に偏らない分散投資」を心掛けること。すでに日本円の資産を多くお持ちなので、今後は「国内に偏らない資産配分」を意識すると、より安定した運用につながります。全世界株式インデックスファンドなら、先進国や新興国を含めて幅広く投資でき、円安や日本経済の変動リスクを和らげられます。
NISAの「つみたて投資枠」は年間120万円まで非課税で積み立てられる
そして、これらの運用を「非課税で行える」のが、NISA(少額投資非課税制度)です。このうち「つみたて投資枠」には、国が厳選した長期・分散投資向けの商品が対象となっています。年間120万円まで非課税で積み立てられ、運用益も課税されません。さらに、売却した後も非課税枠を再利用できるため、より柔軟に活用できます。現在、定期預金としてまとまった資金をお持ちですよね。まだNISAを活用しなければ、定期預金の一部を活用して「少しずつ投資にトライしてみる」のもよいタイミングです。いきなり大きく動かす必要はなく、例えば月1万~2万円程度から始めることで、相場の変動にも慣れながら経験を積めます。
NISAを活用すれば、分散・長期・積立の仕組みを自然に取り入れられ、低リスクでリターンを狙う「ちろる」さんの希望に合った資産運用が実現できるでしょう。
教えてくれたのは……
舟本 美子さん
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。保護猫たちと暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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※記事の内容はあくまで個人の体験談および専門家の一般的な見解であり、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。
※金融商品には元本割れや金利変動などのリスクがあり、将来の成果を保証するものではありません。最終的な判断は必ずご自身の責任で行ってください。






