ゾロ目だけではない珍番
紙幣に記されている番号がすべて同じ数字になっているもの。これはゾロ目といわれる珍番で、日本では7のゾロ目は特に縁起がいいと珍重されています。また、すべて8である場合も“末広がり”として人気があります。こうしたゾロ目を収集したり探したりする人は多いため、どの紙幣でもプレミアがついています。しかし、実はゾロ目のほかにも、珍番として注目され高額で落札される紙幣があります。それは「階段」です。
「階段」とは

額面の35倍の価格で落札された実際の五千円札(表面) ※画像:第124回入札誌「銀座」 Lot番号:587 新渡戸稲造5000円札 黒番 1桁 H123456V | UNC
今回注目したいのは、記番号(アルファベットと番号)「H123456V」の番号部分です。番号が「123456」となっています。これが「階段」と呼ばれる珍番です。ゾロ目と異なり、しっかり確認しないと見過ごしてしまうかもしれません。「逆階段」と呼ばれる654321も珍番として重視されています。
なお、階段であれば超高額となるかというと、そういうわけでもありません。今回のような高額落札となるには、さらにポイントがあります。それは、記番号が黒色かつ記号が1桁、そして未使用であることです。
新渡戸稲造の五千円札には、1984年11月1日から発行された黒色記番号のものと、1993年12月1日から発行された褐色記番号のものがあります。今回落札されたものは黒色ですから初期のものです。しかも記号がHと1桁です。実は記号が1桁で未使用のものはオークションにもあまり出てこないため、高値となる傾向にあります。「HA〇〇〇〇〇〇△△」のように記号が2桁の場合は、1桁に比べて価値が低くなりやすいです。
新紙幣で探してみよう
新渡戸稲造の五千円札のように古い紙幣が手元にある人は、ぜひゾロ目だけではなく階段や逆階段も探してみてください。また、「そんなに古い紙幣は持っていない……」という人でも、“新紙幣”で見つけられる可能性があります。今なら、新紙幣の中では比較的初期のものが見つけられるかもしれません。ゾロ目は誰にでも気付きやすいですが、階段や逆階段は意外と見落としやすいかもしれません。そのため、市場に出回っている可能性があります。お釣りで五千円札や千円札などを受け取ったときには、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
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<参考>
第124回入札誌「銀座」 Lot番号:587 新渡戸稲造5000円札 黒番 1桁 H123456V | UNC