中でも、調味料や乳製品、加工食品の価格上昇が目立っており、スーパーのカゴの中身を見れば、その人の今後の暮らしぶりやお金のことが映し出されるように思います。今回は、スーパーの「カゴの中身」から見えるお金との向き合い方について考えてみましょう。
「貧乏カゴ」と「お金持ちカゴ」の違い
買い物かごにどんな食品が入っているかを見ると、その人の暮らしぶりやお金の使い方がなんとなく想像できます。食材の選び方1つで、「この人は健康や家計をきちんと考えているな」と思えることもあれば、「これはちょっともったいない買い方かも」と感じることもあります。例えば、夕方のスーパーで見かける「貧乏カゴ」には、菓子パンやお菓子、清涼飲料水、総菜といった、調理に手間がかからず、すぐに食べられる食品が詰め込まれていることが多いです。便利ではあるものの、糖質や脂質が多く栄養バランスに欠け、健康リスクが高い点も無視できません。しかも、多くは数日で消費してしまい、コスト効率も悪いのが実情です。この傾向は、最近の“値上げ”とも無関係ではありません。
冒頭でご紹介した帝国データバンクの1010品目の値上食品の内訳は、
・調味料(470品目)
・乳製品(281品目)
・加工食品(109品目)
・酒類・飲料(88品目)
・菓子(17品目)
・原材料(45品目)
食費の中身が偏っていれば、影響はより大きくなるでしょう。
一方で「お金持ちカゴ」には、旬の野菜や果物、まとめ買いした肉や魚、調味料といった“調理前の食材”が並びます。麦茶もペットボトルではなくティーバッグを選び、自宅で煮出して作れば、一袋で数十杯分になりコスパは圧倒的に高いと言えます。つまり「お金持ちカゴ」とは、ぜいたく品を詰め込むカゴではなく、健康と家計を両立させるための工夫や計画性が詰まったカゴなのです。
野菜や果物は季節や天候の影響で価格が上下することはありますが、基本的には比較的安定しています。それに比べ、加工食品など値上げの対象となりやすい商品は、今後さらに価格が上がる可能性が高く、家計に与える負担も大きくなります。
「お金持ちカゴ」になるための工夫4つ
では、どうすれば「貧乏カゴ」から「お金持ちカゴ」に変えられるのでしょうか。今日から取り入れやすい4つの工夫をご紹介します。●「お金持ちカゴ」になるための工夫1:飲み物は「買う」から「作る」へ
麦茶や緑茶をペットボトルで買うと手軽ですが、毎日続けるとコストがかさみます。ティーバッグを使って自宅で煮出せば、数十円で何杯も作れて経済的。健康面でも安心で、小さな習慣の積み重ねが大きな節約につながります。
●「お金持ちカゴ」になるための工夫2:加工品より素材を選ぶ
冷凍パスタや餃子などの加工食品は便利ですが、割高になりがちです。野菜やひき肉を買って調理すれば、費用を抑えられるだけでなく保存やアレンジの幅も広がります。栄養バランスもとりやすく、健康面でもプラスに。
●「お金持ちカゴ」になるための工夫3:まとめ買いと冷凍保存を習慣にする
「食材を買っても食べ切れないから……」と総菜だけですませる人もいますが、実はまとめ買いと冷凍保存を組み合わせれば無駄を減らせます。肉や魚、野菜を小分けにして冷凍すれば長持ちし、買い物回数も減少。衝動買いを防ぎ、結果的に食費の安定につながります。
●「お金持ちカゴ」になるための工夫4:調味料は“安物買い”をしない
調味料には種類が多く、つい買いそろえたくなりますが、結局使い切れずに余らせてしまうケースも少なくありません。そこで意識したいのは、みそ・しょうゆ・みりん・砂糖・塩といった基本調味料に絞ること。その際、品質は厳選しましょう。質のよい調味料は、素材の持ち味を引き立てます。その結果、日々の食事の満足度が高まり、外食や総菜に頼る回数を減らせるでしょう。長い目で見れば、家計の節約にもつながる選び方です。