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中国人はなぜ他人の目を気にしない? 服装やメイクに無頓着? 中国ウォッチャーが見た驚きの日常

倒れている人がいても知らんぷり、服装にも無頓着。その不可解な行動の裏には、日本人が知らない「我」を最優先する強烈な個人主義が!? 彼らが他人を気にしない本当の理由を解説。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

なぜ中国人は他人の目を気にしない? 日本人には理解しがたい行動の裏に隠された「掟」とは。※画像出典:PIXTA

なぜ中国人は他人に無関心? 人目を気にしない? 日本人には理解しがたい行動原理とは。※画像出典:PIXTA

倒れている人を見ても助けない、毎日の服装も気にしない。日本人には理解し難い行動の裏には、彼らが生き抜くための「掟」が隠されていた。

ほんとうの中国 日本人が知らない思考と行動原理』(近藤大介著)は、日本を代表する中国ウォッチャーの著者が、日本人が知らない中国人特有の思考と行動原理を自身の経験を交えて紹介する一冊。

本書から一部抜粋し、なぜ中国人は他人の目を気にしないのか、その驚くべき背景について紹介する。
<目次>

隣人のことすら知らない

中国では一般に、どんな組織でも、日本人の目から見れば互いに無関心に映る。

取引先の会社の中国人担当者と少し親しくなって、「(上司の)○○部長はどんな人ですか?」と訊ねても、「よく知りません」と真顔で答えたりする。

人間ばかりか、オフィスの同じフロアの隣室の会社のことを聞いても、「知らない」。オフィスビルの隣に名所旧跡があるという話を振っても「そうなんですか?」

私は数年前、北京の地下鉄駅の通路で倒れている老婆を助けたことがある。通路に倒れ込んで失神しているのに、誰もが知らぬ顔をして通り過ぎていくのだ。

他人の目より「我の満足」

中国人が他人に無関心でいることは、彼らの服装にも表れている。

一般に中国人は、日本人ほどよそ行きの服装や化粧を気にしない。基本的に自分が着たいものを着て行動している。それは、「他人の目」よりも「我の満足」に忠実に生きているからだ。

公園で遊ぶわが子に、「そんなことしたら他人が見てるからダメ」と注意するのは日本の母親だ。中国の母親は、わが子が将来の厳しい生存競争に勝ち抜いていけるよう、ひたすら「我」を鍛えようとする。

家の外は誰の場所でもない

中国人は、我が家はピカピカに磨いても、隣近所を掃除しようとは思わない。2008年の北京夏季オリンピック以前は、電車や自動車の車窓から平気で外にゴミを投げ捨てていた。

遼寧省の大連で「夏季ダボス会議」(世界経済フォーラム夏季年次総会)の大イベントが開かれた時のこと。

会議に参加するため、開会の数日前に大連へ入ったら、町中に人民解放軍が駐留していて、戒厳令でも敷かれたのかと驚いた。

だがよく見ると、彼らが行っていたのは町の掃除だった。「なぜ市民が掃除しないのか?」と市役所の幹部に聞くと、「誰が自分の家の外なんか掃除するか」と答えた。

例外は少数民族、特に朝鮮族と回族(イスラム教徒の少数民族)である。彼らの居住区に入ると、早朝に皆でいそいそと通りへ出て、掃除をしている。
  近藤 大介(こんどう だいすけ)プロフィール
1965年生まれ。埼玉県出身。東京大学卒業。国際情報学修士。講談社入社後、中国、朝鮮半島を中心とする東アジア取材をライフワークとする。講談社(北京)文化有限公司副社長を経て、講談社特別編集委員。Webメディア『現代ビジネス』コラムニスト。『現代ビジネス』に連載中の「北京のランダム・ウォーカー」は日本で最も読まれる中国関連ニュースとして知られる。2008年より明治大学講師(東アジア論)も兼任。2019年に『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)で岡倉天心記念賞を受賞。
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