人間関係

「私はそんなに動けない」辻希美 出産直後のキラキラ投稿に嘆息。「産後ケア」の重要性とは

第5子出産直後から精力的にSNS投稿を続ける辻希美さん。女性たちからは「誰でも元気で過ごせるわけじゃない」と複雑な声もあがっている。1人目で疲弊した経験から、産後ケア施設を利用したという女性に話を聞いた。※サムネイル画像:辻希美さん公式Instagramより

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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タレントの辻希美さんが第5子を出産、4日目に退院し、6日目には子どもの友人が遊びに来たのを迎え入れ……と、5人の子の母として精力的に動いている様子が報じられている。このキラキラっぷりに、産後の女性たちから「みんなこんな元気で過ごせるわけじゃない」と嘆息があがっている。

もちろん、彼女の場合は、「でき過ぎた夫」杉浦太陽さんの存在が大きい。しかも産後もせっせとYouTube配信をしているのだから、生活全てがタレント活動なのだろう。それを非難することはできない。

ただ、一部で「産後、どうしてそんなに動けないの? 辻ちゃんは頑張ってるのに」と夫たちが思い込んだら大変だという声もある。彼女は特別なのだと説明するしかないが、それ以前にそんな思い込みをもつ夫とは関係を見直した方がいいかもしれない。

産後ケア施設を利用してみた

誰でも元気で産後を過ごせるわけじゃない(画像:PIXTA)

誰でも元気で産後を過ごせるわけじゃない(画像:PIXTA)

今の時代、欧米やアジア諸国でも「産後ケア施設」が人気だ。日本ではこの分野が立ち遅れており、産後ケア事業が法制化されたのは令和に入ってから。一般的には「産んで5日程度で自宅に戻り、そこからは母親一人で頑張る」のが今も当然ということになっている。こんな状態で少子化を憂えること自体が笑止千万なのだが、自治体に先駆けて、民間ではハイレベルの産後ケア施設ができている。

「高いです。確かに高い。ただ、どこにお金を使うかは夫婦の価値観によりますよね」

そう言うのはキミカさん(40歳)だ。36歳のときに同い年の彼と結婚、37歳、38歳と年子で出産した。

「長女のときは実家の母が泊まり込みで手伝いに来てくれましたが……。私がかなり疲弊していたので、母は新生児と私、二人の面倒を見なければならず、すぐに義母も招集。でも今度は二人が新生児の世話の方法で対立。結局、二人にはお引き取り願って、なんだかんだでほぼワンオペ。きつかったですね」

それを踏まえて、次女の出産時には夫とよく話し合うことにした。そもそも年子で産むのは年齢的にもキツいのだが、仕事のキャリアも考え、いっそここは育休を長めにとって二人産んで育ててしまおうという目論見があったのだという。

「ちょっと無謀でしたね。本当は1年置きたかったんだけど妊娠したときは覚悟を決めました。夫も『今度は僕も育休をとるから』と言ってくれた。それからはわりと綿密に計画を立てました」

産後ケア施設もその1つだった。もともとキミカさんには外国人の友人がおり、産後ケア施設を使って、早く体を回復させた方がのちのち楽だという話は聞いていた。そこで、いろいろな施設を比較検討してみたという。

金額がネックだったけど

「子どもたちの将来を考えれば、なるべく貯金をしたかったし、無駄遣いはしたくなかった。でも長女のときの私の弱りっぷりを見ていた夫からすると、『ここは少々お金をかけても、家族のこれからがかかっていると思ってお金を使おう』と勧めてくれた。もともと私たちは結婚式もしていないし、新婚旅行もしなかった。互いに仕事が忙しかったので、いつか旅行しようと先延ばししていたんです」

それを考えれば、夫の言い分も納得できた。なにより家族全員で過ごすことを目的としてケア施設やケアホテルを検討した。結果、とある民間の施設で2週間ほど過ごしたのだが、これが予想以上によかったという。

「新婚旅行でヨーロッパ1週間、二人で行ったらもっとかかったと思う。その程度の金額です。確かに高いけど、あの2週間がなかったら、私は子育てに前向きにはなれなかったと思う」

家族それぞれにとってプラスに

おいしいものを食べて体を休め、育児についてきめ細かく教えてもらえる。さらに夫とも、子育て以外のさまざまなことを話し合う時間がとれた。長女ともゆっくり過ごせたから、出産のドタバタで精神的に不安定になっているように思った長女も落ち着きを取り戻した。

「招集されなかった実母も義母も大喜びでした。二人から出産のお祝いをもらったので、それも費用にあてることができた。自治体によっては補助金が出るところもあるらしいですよ。うちの地域は無理だったけど」

夫も、ゆっくりと過ごすことで子どもたちとの関わり方を学んだようだ。助産師さんや担当スタッフもとにかく親切で、柔軟に対応してくれるから、「ママとして自信がもてた」とキミカさんは言う。

ケアしてもらえる幸せに感謝

「産後のボロボロになった心身で、いくら頑張っても絶望しかないんですよ。それを経験していたからこそ、ケアしてもらえる幸せに感謝しました。今は子どもたちを保育園に預けて職場復帰していますが、自治体のファミリーサポート制度を使ったり、どうにもならないときは民間のベビーシッターを利用したりしながら、なんとか日常生活のストレスを軽減するようにしています」

もうしばらくの間は、予想以上にお金がかかったとしても仕方がないと割り切ったと彼女は笑みを見せる。大事なのは、母親の心身の健康なのだから。こういったことも夫の意識が変わったから円滑にいっているのだろう。

「夫が、『妊娠、出産は病気じゃない。女性なら誰もができること』と思っていたら、こうはいかなかった。ただ、長女のときは夫はおそらくそんなふうに軽く考えていたと思います。命を生み出して育てることが、夫の想像の範疇(はんちゅう)を超えた大変さだったから、意識改革できたんでしょうね」

妊娠、出産するのは女性だが、男女がいるからこそそうなったわけで、「極力、自分のことのように感じ、考えてくれる夫」でなければ、その後の家庭生活が円満には進まないだろう。
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