亀山早苗の恋愛コラム

加藤ローサが公表した“離婚しても同居”に議論噴出。「新しい家族の形」を選んだ人々の思い

俳優の加藤ローサさんが、離婚したが家族で同居を続けていることを公表した。それでも加藤さんは「気持ちが変わった」と言う。加藤さんと同様に「新しい家族の形」を選んだ2人の40代女性に、それぞれの事情と思いを聞いた。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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この距離感がいいと夫婦で納得するならば(画像:PIXTA)

この距離感がいいと夫婦で納得するならば(画像:PIXTA)

俳優の加藤ローサさん(40歳)が、「少し前に離婚しているが、そのまま同居を続けている」とテレビ番組の中で公表した。夫はサッカー元日本代表の松井大輔氏。結婚したのは2011年で、現在、中学生と小学校高学年、二人の子がいる。

離婚届を出した上での同居に、世間からは「意味あるの?」「イマイチ理解できない関係性」などの声が上がっている。

互いに父親、母親として子どもとの関係を築くことに特化し、夫婦関係は終了ということなのだろう。賛同、共感する女性たちも少なくない。

もう夫婦でいたくない

「私も離婚からそのまま同居というパターンです」

そう言うのはアケミさん(44歳)だ。共働きで小学校に通う二人の子を育てているが、夫はとにかく家事が苦手。アケミさんもつい「私がやるから」と夫から家事を取り上げてきてしまった。夫はもともと出張が多く、1週間単位で家を空けることも少なくない。

夫と子どもたちとの関係は良好だが、彼女がつらいのは義父母をはじめ、夫の親族との関係だった。

「連絡もせずに義父母が突然、『泊まりに来た』と現れたり、義妹一家が『明日、ディズニーランドに行くから寄った』と急に来たり。結局、寄るだけではなく、夕飯を用意して泊まらせて……。子ども部屋を1つ明け渡したり、私がリビングで寝たり。プライバシーも何もあったものじゃない。夫がいなくても平気で上がり込んでくる。夫の家族や親戚はとてもフレンドリーなんですが、フレンドリーを越えてずうずうしすぎる。私は常に神経を尖らせていました」

もう嫌だと思ったのは、義妹一家が3人の子どもを置いて、1週間も夫婦だけで旅行に行ってしまったことだ。これには夫も激怒したが、そこはやはりきょうだい、アケミさんがあきれたり怒ったりするのとは違って甘くなる。

「もう夫婦でいたくない。別れたいと本気で思いました。夫に言ったら、『きみはどこか心を閉ざしている』と方向違いの指摘をされて。人間関係の作り方や距離感が根本的に違う、もう一緒にやっていけないと思いました。夫もそう思っていたみたい」

外での恋愛は自由

ただ、二人とも相手を嫌悪しているわけではないし、子どもたちにとっては親であることに変わりはない。別居すればお金がかかる。だったら同居のまま離婚しようと決断したのだという。

「もちろん、離婚しているのだから外での恋愛は自由です。ただ、それを家庭には持ち込まないこと、互いに子ども最優先で暮らすこと、今後は夫も自分の分の家事はすることなどを取り決めました。それでも今までの習慣で、私はつい夫の分の食事も作ったり洗濯もしてしまいますが、別居して新しく部屋を借りたと思って生活費を今までの1.5倍くらいにしてもらいました。これは夫の食事代と洗濯代だと思えばいいわけです」

夏休みは家族旅行もした。家族4人でよくしゃべった。だが、夫の顔を見ながら、彼女はやはり「子どもたちのお父さん」としか思えなかった。この人の妻である、この人は私の夫であるという意識は薄い。子どもたちも離婚したことは知っているが、今のところ生活に変化がないので、今1つピンときていないようだ。下の子が成人するまではこの状態を続けていくつもりだという。

結婚という枠から解放されたかった

「もう4年ほど前ですが、私も離婚しました。結婚していること、既婚者であることがどうしても体になじまなかった。解放されたかったんです」

6歳年上の夫は、もともと彼女の高校時代の家庭教師だった。大学を卒業して就職してから偶然、再会して付き合うようになり、結婚もしたが、夫という以前に「先生」的な存在だったとユリカさん(42歳)は言う。

「しかも超がつくほどまじめ。もちろん、それは悪いことではないけど、子どもをもってからは特に『いい母親であること』を強要されました。本当は私が仕事を続けることにも反対していた。夫が早く帰って子どもの面倒を見ているときでさえ、『たまには同僚と食事して帰ってもいいかな』と連絡すると、『女性が夜道を一人で歩くのは危険だから、今すぐ帰ってきなさい。母親なんだから』という調子。まだ7時ごろだったから、今日は食事して帰ると宣言して帰宅したら、なんと夫に家に入れてもらえなかった。私の保護者みたいなつもりだったんでしょう」

夫に大人として扱ってもらっていなかったと彼女は言う。夫には夫の言い分があって「とにかく妻が大事な存在。だから心配性になってしまう」ということだったらしい。だが結局、彼女は夫の過干渉を「支配」だと受け取り、離婚を切り出した。

「うちは中学生の一人息子がいますが、夫は息子を置いていくなら離婚してもいい、と。私だって息子を置いてはいけない。夫はさんざん考えたようですが、『じゃあ、離婚して今のままの生活を続けよう』って。離婚届を出したらどんな気持ちになるか分からなかったけど、とりあえず提出しました。息子の親権は私です。同居を続けるなら親権が私でもいいと夫が言い出して」

新しい家族の形

離婚届はユリカさんが一人で提出した。受理されたとき、心の奥から「自由になれた」という気がしたという。それ以降、夫に何か言われても「私はあなたの元妻だから」というのが口癖になった。

「妻から降りたのは大正解だった。世間体を気にする夫は、離婚をひた隠しにすると思ったんですが、意外と友達に話してるんですよね。それがちょっと意外だった。そんなさばけたタイプじゃないと思っていたから。私も親しい人には話しています。息子なんか友達にネタとしてしゃべってる。おかしな家族だと思われているかもしれませんが、やはり私は足かせがとれたような気がしています。別によそで恋愛するつもりもないけど、法的にはできないことではない。不倫でなく“恋”として語れる。息子が合宿とかサマースクールに行っている間は、一人旅を満喫しました。同居人としては、いつからいつまでいないということは元夫に話しましたが、詳細を話す必要はない。夫もそうです。互いに自由でいられる」

子どもがいるから、子どもに恥じない生活をする自信はある。夫も外で恋愛するつもりはなさそうだが、もしもそうなってもかまわないと彼女は思っている。

少し早めの「卒婚」なのかもしれないし、結婚という枠に窮屈感を覚える人たちにとっては、夫と妻の独立性を守る「新しい家族の形」なのかもしれない。いろいろな形の結婚、いろいろな形の家族があっていいのではないだろうか。それぞれが納得さえしていれば。
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