亀山早苗の恋愛コラム

たかまつなな氏の「事実婚」発表に物議。公表する人、しない人、それぞれの事情とは?

たかまつななさんが事実婚を発表した。祝福の声もあれば、「ちゃんとした結婚じゃないのにわざわざ公表する必要があるのか」との声も。実際に事実婚をした人たちは「公表」についてどう考えているのだろうか。(サムネイル画像:たかまつななさん公式Xより)

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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ジャーナリスト・社会起業家のたかまつななさんが「事実婚」を発表した。夫とは、どちらかの姓が変わることに納得できず、事実婚を選択したのだという。

いまだ選択的夫婦別氏制度が導入されないため、事実婚を選ぶ人も増えているが、それでも「公表」はすべきなのだろうか。

自然と分かってもらう流れに

「うちも事実婚です。姓が変わるのも嫌だったし、婚姻制度に組み込まれるのもなんとなく嫌で……。でも一緒には暮らしたいという思いはあった。同棲から自然と事実婚へと移行した感じですね」

サオリさん(40歳)は、28歳のときに知り合った彼と、1年後には一緒に住むようになり、30歳のときに本人同士は「事実婚」という選択をした。一応、それぞれの住民票の続柄の欄には「夫(未届)」「妻(未届)」と記してある。こうしておけば内縁関係が証明されるからだ。

「ただ、なかなか公表はしにくかったですね。婚姻届を出していないのに結婚式をするのもヘンだし、そもそも結婚式はしたくなかったし。事実婚をしたという認識をもってから1年くらいはあまり人には言わなかったような記憶があります」

友人たちは知っていたので、「パーティーでも開けば」と言われていたが、「なんだか自分たちのプライベートなことで友人たちに時間をとってもらうのが申し訳ない気がして」パーティーすら開催しなかった。

声高に言うのは気がひけた

「そのうち私の友人と彼の友人が連絡をとりあって、友人主催で勝手にパーティーをするからと言われて。彼も私もすごくうれしかったしすてきな友達をもってありがたいと思いました」

ほぼ1年たってから、「同居してますパーティー」を開いた。事実婚と声高に言うのも気がひけたと彼女は言う。

「それぞれの感覚だから、別に事実婚で結婚式をしてもいいと思う。ただ、彼も私も、結婚式自体やりたくなかった人間なので、わざわざ声高に言う必要はないよねという感じだった。それとなく、あの二人同居しているらしいとうわさになったので、それを認めつつ、一応、親しい友人たちにはお披露目しようかという感じでした」

婚姻届を出しての結婚だってわざわざ公表したくないと思う人はいるだろう。非常にプライベートな話だから、「周りが気づいたら結婚していた」というケースがあっても不思議ではない。公にするもしないも、どういう形での結びつきなのかも、公表するしないは本人次第だ。

「おめでたいことだから」の呪縛

結婚にしろ妊娠にしろ出産にしろ、「おめでたいことは公にすればいい」という“常識”はあるのかもしれない。だが今の時代、これらはサオリさんが言うように全てプライベートな話。職場の人にわざわざ結婚したと報告する必要があるとも言い切れない。

カナさん(39歳)は、次のように話してくれた。

「私の勤務先にもいましたよ。結婚したことを隠していた男性が。部署の派遣社員の人と恋愛して結婚したんですが、『派遣社員と結婚したなんてかっこ悪い』と思っていたらしい。女性に対して失礼ですよね。妻を被扶養者にしたけど、それも人事部にこっそり行って、誰にも話さないでほしいと頼んだんですって。どうしてそこまで隠そうとするのか、対外的には独身だと偽って、今後も恋愛をしようとしていたんじゃないかという悪いうわさまで流れました」

結局、面と向かって彼に結婚したんだってと言う人もいなかったため、彼は結婚したことをずっと公表はしなかった。

「それなりに考えがあってのことでしょうから、周りもいつの間にか気にしなくなっていました。でも結婚も離婚も、パッとオープンにしちゃう方が周りは気楽ですよね。特に姓が変わった女性が、いつしかまた姓が変わっているなんていうときは。やはり職場で2回結婚して、その都度、職場内でもきちんと姓を変えていた女性がいたんです。2度目の結婚も結局、離婚になって、またまた旧姓に戻った。本人自ら『すみません、何度も何度も』と笑いをとっていました。彼女は明るく話していたけど、周囲は『もういっそ、ずっと旧姓で通してよ、職場では』とツッコミを入れていた。今は3度目の結婚をしたとかしないとか」

結婚にはさまざまな形がある

今の時代、さまざまな結婚の形がある。婚姻届を出しての週末婚というケースもあるし、別居婚すらある。どういう形がよくて、どういう形がいけないというわけでもないだろう。

「私も近いうち、双方の親を招いて食事会をする予定です。一応、親には結婚すると言ってありますが、実は婚姻届を出すつもりはありません。やはり姓の変更はしたくなくて。しかも互いの職場が遠く離れているので、同居が難しい。今、それぞれが一人暮らしだから、しばらくはこのままでいいよねと話し合っています」

それなら親との食事会なんて開く意味があるのと友人に聞かれたそうだが、「一応、双方の親を安心させるため。そして親たちと私たちに何かあったときに連絡がスムーズにいくようにしておきたい」とカナさんは言う。

二人の関係における、とりあえずのけじめという意味合いもあるらしい。そういうことも、個々が決めればいい話。「そんな関係はおかしい」「それは結婚ではない」などと誰かが言う必要などまったくないのではないだろうか。
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