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若い世代は知らない?今やほぼ見かけなくなった夏目漱石の千円札が「10万5000円」に大化け!一体なぜ?

2025年7月19~20日に開催された第41回AWオークションから、夏目漱石の千円札の落札結果を取り上げます。落札結果が額面の100倍以上となったのはなぜでしょうか。ポイントは、記番号1桁1番、かつ未使用であることです。※画像:PIXTA(画像はイメージ)

伊藤 亮太

伊藤 亮太

株式・ファイナンシャルプランナー ガイド

慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了。その後証券会社にて、営業、経営企画部門等を経て、独立系FP会社「スキラージャパン株式会社」設立。ファイナンシャル・プランナーとして、家計簿診断などのライフプランニング、資産運用、保険の見直しなどの相談を行う。執筆・講演も金融機関をはじめ多岐に渡る。

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夏目漱石の千円札が高額落札! その理由とは? ※画像:PIXTA(画像はイメージ)

夏目漱石の千円札が高額落札! その理由とは? ※画像:PIXTA(画像はイメージ)

「夏目漱石の千円札」と聞いて、若い世代は知らないと答えるかもしれません。それもそのはず、夏目漱石の千円札は2007年4月2日に発行停止となっており、すでに18年以上経過しているからです。10代以下の人はもちろんのこと、20代の人でも見たことがない、使ったことがないという人もいるでしょう。

さて、そんなもはや見かけることもあまりない夏目漱石の千円札ですが、オークションで化けました。2025年7月19~20日に開催された第41回AW(オークションワールド)オークションにおいて、夏目漱石の千円札が額面の105倍となる10万5000円(手数料込みで11万6550円)で落札されました。一体なぜ高額落札となったのでしょうか?

夏目漱石の千円札は4種類存在する

額面の100倍の金額で落札された実際の千円札(表面) ※画像:第41回AWオークション

額面の100倍の金額で落札された実際の千円札(表面) ※画像:第41回AWオークション

今回、夏目漱石の千円札が高額落札となったポイントは、記番号(アルファベットと数字)「W000001X」のアルファベットが1桁であること、かつ未使用であることです。コイン商でも1番のものなど“珍番”と呼ばれる紙幣は販売されているものの、アルファベットが1桁(出品物の場合W)のものはなかなか見かけません。オークションで出品されるものも、その多くは2桁(例:「AW」など数字の前のアルファベットが2つ)です。そのため、額面の100倍以上の価格がついたと考えられます。

なお、夏目漱石の千円札は4種類存在するのをご存じでしょうか。最初に発行されたのが記番号が黒色のもの(1984年11月1日発行開始)、次に発行されたのが記番号が青色のもの(1990年11月1日発行開始)、3番目が今回落札されたものと同じく記番号が褐色のもの(1993年12月1日発行開始)、最後が記番号が暗緑色のもの(2000年4月3日発行開始)です。4色あるので、珍番もそれなりに存在します。「そういえば昔、祖父が古い紙幣を集めていたな」などと思い当たる人は、実家などで探してみると見つかるかもしれません。

最近のオークションでは価格上昇傾向にある

夏目漱石の千円札に限った話ではなく、現行紙幣のゾロ目や今回のような1番といった珍番がこっそり注目を集めているようだと、筆者は感じます。なぜなら、過去のオークションに比べて、落札価格が上昇する傾向にあるからです。

今少なくとも言えることは、こうした珍番が高値になることを知らずに使われると、市場に出回った古い紙幣はゆくゆく回収されるため、世に出る枚数が減ることになります。そうすると古くなればなるほど見つけるのは困難となるため、自ずと高値になっていくことは想像できます。

ましてやキャッシュレス決済の時代、紙幣を見る機会がこれからさらに減っていく可能性もありえます。今のうちに収集しておくとさらに化けるかもしれません。見つけたら紙幣を保管するファイルなどで折り目が付かないようにコレクションしておくといいでしょう。

>次ページ:10万5000円で落札された「実際の千円札」を見る

<参考>
第41回AWオークション Lot番号:5120 日本 夏目漱石1000円札 Bank of Japan 1000Yen (Natsume)平成5年(1993~) (UNC)未使用品
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