さて、そんなもはや見かけることもあまりない夏目漱石の千円札ですが、オークションで化けました。2025年7月19~20日に開催された第41回AW(オークションワールド)オークションにおいて、夏目漱石の千円札が額面の105倍となる10万5000円(手数料込みで11万6550円)で落札されました。一体なぜ高額落札となったのでしょうか?
夏目漱石の千円札は4種類存在する

額面の100倍の金額で落札された実際の千円札(表面) ※画像:第41回AWオークション
なお、夏目漱石の千円札は4種類存在するのをご存じでしょうか。最初に発行されたのが記番号が黒色のもの(1984年11月1日発行開始)、次に発行されたのが記番号が青色のもの(1990年11月1日発行開始)、3番目が今回落札されたものと同じく記番号が褐色のもの(1993年12月1日発行開始)、最後が記番号が暗緑色のもの(2000年4月3日発行開始)です。4色あるので、珍番もそれなりに存在します。「そういえば昔、祖父が古い紙幣を集めていたな」などと思い当たる人は、実家などで探してみると見つかるかもしれません。
最近のオークションでは価格上昇傾向にある
夏目漱石の千円札に限った話ではなく、現行紙幣のゾロ目や今回のような1番といった珍番がこっそり注目を集めているようだと、筆者は感じます。なぜなら、過去のオークションに比べて、落札価格が上昇する傾向にあるからです。今少なくとも言えることは、こうした珍番が高値になることを知らずに使われると、市場に出回った古い紙幣はゆくゆく回収されるため、世に出る枚数が減ることになります。そうすると古くなればなるほど見つけるのは困難となるため、自ずと高値になっていくことは想像できます。
ましてやキャッシュレス決済の時代、紙幣を見る機会がこれからさらに減っていく可能性もありえます。今のうちに収集しておくとさらに化けるかもしれません。見つけたら紙幣を保管するファイルなどで折り目が付かないようにコレクションしておくといいでしょう。
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<参考>
第41回AWオークション Lot番号:5120 日本 夏目漱石1000円札 Bank of Japan 1000Yen (Natsume)平成5年(1993~) (UNC)未使用品