
定年退職後は収入が限られるため、退職金はできるだけ減らさないことが大切です。元本保証の金融商品は利益が少ない印象がありますが、「元本を守る」ことも立派な運用の1つです(画像:PIXTA)
「退職金の一部を3年ぐらい預けたいのですが、元本保証でよい商品を教えてください。800万円を予定しています」(匿名希望)
退職金は、リスクを取って積極的に増やすよりも、元本を守りながら運用するのが基本です。その意味で、定期預金や国債は有力な選択肢です。
銀行金利をチェックしてお得な預け先を探す
定期預金の金利は銀行ごとに異なります。ボーナスシーズンなどには金利上乗せキャンペーンが行われることもあります。できるだけ高い金利を狙うなら、複数銀行の金利を比較し、条件のよいところを選びましょう。
ただし、キャンペーン金利は1カ月や3カ月など短期間に限られる場合が多いです。現在利用している銀行でも、取引状況によっては金利優遇が受けられることがありますので、相談してみる価値があります。
個人向け国債は運用期間で選ぼう
個人向け国債には以下の3種類があります。- 固定金利3年
- 固定金利5年
- 変動金利10年
2025年8月8日現在の金利(税引前)は、固定3年が0.79%、固定5年が0.97%、変動10年も0.97%です。
長期ほど金利は高めですが、今回は固定5年と変動10年が同率になっています。変動金利は上昇の可能性もありますが、下落のリスクもあります。確実に0.97%を確保したいなら、固定5年が安心です。
分散運用も検討しよう
800万円というまとまった資金は、1つの商品・1つの銀行にまとめれば金利優遇を受けられる場合もあります。しかし、急な出費に備えるなら、定期預金と個人向け国債を組み合わせて分散運用するのがおすすめです。
定期預金も個人向け国債も、運用期間途中で解約しても元本は保証されていますが、解約時期によっては利息が減ることがあります。近いうちに使う予定がある資金は、普通預金に置いておくと安心です。
元本保証の商品は低金利という印象がありますが、退職後の限られた収入を守るという観点では有効な選択肢です。
「増やす運用」だけでなく、「減らさない運用」も老後資金管理においては立派な戦略と言えるでしょう。