今回は、私たちが払っている税金にはどんなものがあるか、ファイナンシャルプランナーの川手康義さんに教えてもらいます。
国に納める税金の主な種類は?
2024年度の国の税収は約75兆円となり、過去最高を更新する見通しです。この税収は「国税」と呼ばれ、私たちが国に納めている税金を指します。代表的な国税には、以下のようなものがあります。
国税の一例(All About編集部作成)
給与や年金、事業などから得た所得にかかる税金。年末調整や確定申告で精算されます。
年収460万円の人の場合(東京都の一般企業勤務、40歳未満独身、協会けんぽ加入)
→約11万1300円
(計算式)※令和6年で計算
460万円-136万円(給与所得控除)-48万円(基礎控除)-67万2000円(社会保険料控除)=208万8000円(課税所得)
208万8000円×10%(速算表使用)-9万7500円=11万1300円
●消費税
買い物やサービスの利用時にかかる税金。2025年現在、税率は10%(食料品・新聞など一部は軽減税率8%)です。
年間の生活費(消費支出)が300万円の場合
→30万円/年
(計算式)
300万円×10%(今回は軽減税率を考慮しません)=30万円
●相続税・贈与税
財産を引き継いだときや贈与を受けたときにかかる税金です。
●法人税
企業の利益に対して課される税金。事業の年度末に決算し、確定申告で精算されます。
これらの国税は、社会保障や防衛、教育、公共事業など、国の運営全般に使われています。
国税以外に地方税も負担しています
一方で、私たちは国だけでなく「都道府県」や「市町村」といった地方自治体にも税金を納めており、これらは地方税と呼ばれます。主な地方税には、次のようなものがあります。
地方税の一例(All About編集部作成)
前年の所得に応じて、都道府県や市区町村に納める税金。毎年6月に通知され、給与からの天引き(特別徴収)または自分で納付(普通徴収)します。
年収460万円の人の場合(東京都の一般企業勤務、40歳未満独身、協会けんぽ加入)
→約21万6300円
(計算式)※令和6年で計算
460万円-136万円(給与所得控除)-43万円(基礎控除)-67万2000円(社会保険料控除)=約213万8000円(課税所得)
213万8000円×10%(所得割)+5000円(均等割)-2500円(調整控除)=21万6300円
※標準税率を使用
●固定資産税
1月1日時点で土地や建物を所有している人が毎年支払う税金。毎年4~6月ごろに納税通知書が届き、市町村に住んでいる場合は市町村に、東京23区の場合は東京都に納めます。
●自動車税・軽自動車税
4月1日時点で自動車・軽自動車の所有者が支払う税金。毎年4~5月に納税通知書が届き、年1回納付します。
排気量1.5L以下の自家用車:3万500円/年
自家用・乗用軽自動車:1万800円/年
こういった地方税は、道路の整備や保育園、図書館の運営、ごみ収集など、地域の身近なサービスに活用されています。
税収75兆円は国税のみ!地方税も入れると国民の負担はそれ以上に
最近ニュースでよく耳にする「税収75兆円」という数字は、国税のみの金額です。実は、本年度(2025年度)の地方税収の見込み額は約45兆円であり、これらを合わせると、私たちが負担する税金の総額は120兆円近くになります。私たちが支払う税金には、給料から天引きされたり、買い物のたびに支払っていたりと、気付かないうちに負担しているものも多くあります。
しかし、税金は社会を支える大切な仕組みです。まずは税金の種類を知り、自分がどのような税金を負担しているのかを理解することから始めてみましょう。