Aさんは、500万円を年利0.25%の定期預金(満期まで残り3年ほど)に預けています。しかし最近、インターネット限定で、年利0.8%の定期預金を見つけたそうです。
年利0.8%といえば、現状の年利0.25%と比べて3.2倍の金利です。「すぐに預け替えしたい!」と思ったそうですが「もしかしたら、今のまま満期まで置いておいた方がよいかもしれない……」とも思ったそうです。このような場合、どちらが「得」なのでしょうか。
今加入している定期預金を途中解約して、別の定期預金に預けることを検討するときは?
500万円を年利0.25%の定期預金に預けており、満期まで残り3年ある状況で、年利0.8%の定期預金に預け替えるか検討するときは、以下の①と②それぞれの利息を計算しましょう。①年利0.25%の定期預金を途中で解約し、年利0.8%の定期預金に預け替えた場合
②そのまま年利0.25%の定期預金に預けた場合
仮にですが、Aさんが現状預けている定期預金は以下のような商品とします。
・期間5年のスーパー定期預金
・500万円
・金利0.25%
①年利0.25%の定期預金を途中で解約し、年利0.8%の定期預金に預け替えた場合
預け入れた期間は現在までで2年未満とします。中途で解約した場合の利率は、当初の預け入れ期間と、解約までの期間がどのぐらいかで変わります。
今回は中途解約利率として以下のような利率が適用されるものと仮定します。「中途解約利率=約定利率(預け入れたときの金利)×20%」。
●5年満期の定期預金を期間2年未満で解約した場合に得られる利息はいくら?
「中途解約利率=約定利率(預け入れたときの金利)×20%」
・途中で解約した場合に得られる利息:500万円×0.25%×20%=2500円
●その後、年利0.8%の定期預金に3年間預けた場合、得られる利息はいくら?
・元金:500万円
・年利:0.8%
・期間:3年
・3年間の利息:500万円×0.8%×3年=12万円
2500円+12万円=12万2500円
合計で12万2500円(税引き前)の利息となります。
受け取った利息から、それぞれ税率20.315%が差し引かれますので、ざっくりと計算すると「12万2500円-2万4885円=9万7615円」となります。
②そのまま年利0.25%の定期預金に預けた場合
一方で、今のまま、5年間500万円を金利0.25%で預けた場合はどうなるのでしょうか?●年利0.25%の定期預金に5年間預けて得られる利息はいくら?
・元金:500万円
・年利:0.25%
・期間:5年
・5年間の利息:500万円×0.25%×5年=6万2500円
実際は、受け取った利息から、税率20.315%が差し引かれます。そのため、年利0.25%の定期預金で5年後にもらえる税引き後の利息は「6万2500円-1万2696円=4万9804円」となります。
2つの利息を比べた場合、年利0.8%の定期預金に預け替えた方が4万7811円(9万7615円-4万9804円)の利息が増えます。この場合、途中で定期預金を解約しても、金利が高い方に預け入れた方が多くの利息を受け取れることになります。
適用される中途解約利率によっても違いますので、今預け入れをしている定期預金の中途解約利率を調べて、どちらがお得か比較してみましょう。
定期預金を途中で解約する前に知っておきたい2つの注意点
「金利が高い定期預金を見つけたから、今の預金を解約して預け替えた方が得かも」と思うかもしれません。でも、少し待ってください。定期預金は、満期まで預けておくことを前提に、普通預金よりも高い金利がつく商品です。そのため、途中で解約すると、以下のような注意点があります。●定期預金を途中解約するときの注意点1:解約手数料がかかる
一部の金融機関では、定期預金を解約する際に手数料が発生する場合があります。
●定期預金を途中解約するときの注意点2:利息に損失をこうむる
途中解約することは可能ですが、その際、受け取れる金利は、当初の金利よりも低い利率となることが多いです。
最近は、1年ものや新規口座開設者向けのキャンペーンなど、高金利の商品も多く見られます。金利の高さだけに注目するのではなく、銀行に途中解約に伴う手数料と利息の損失額を確認して、それよりも新しい金利で得られる利益の方が上回るかどうかを慎重に考慮することが大切です。