そんな中、注目したいのが「教育訓練給付金」制度です。さらに、2025年10月からは新たに「教育訓練休暇給付金」もスタート予定。今回は、学び直しを通じて収入アップや再スタートを目指す方を後押しする、国の支援制度をご紹介します。
スキルアップを目指し、教育訓練給付金を活用しよう
「転職に向けて新しいスキルを身につけたい」「今の仕事でもっと活躍できる力をつけたい」──そんな前向きな気持ちを応援するのが、「教育訓練給付金」という制度です。これは、厚生労働省が指定する講座を受講し、修了した人に対して、受講費用の一部が後から支給される仕組み。「学びたいけれど、費用がネック……」という方でも、チャレンジしやすくなります。
対象となるには、雇用保険に加入期間が1年以上あるなどの条件がありますが、今働いている人だけでなく、離職中の人でも対象になる場合があります。気になる講座があれば、まずはこの制度が利用できるかチェックしてみましょう。
知っておきたい!教育訓練給付金の3タイプと違い
教育訓練給付金は、そのレベルなどに応じて、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3種類があります。それぞれについては、次のとおりです。●一般教育訓練
厚生労働省が認めた対象講座を修了すると、受講費用の20%(上限10万円)が戻ってきます。例えば、パソコンスキルやさまざまな国家資格の取得など、仕事に役立つ学びが対象となります。
一般教育訓練の指定講座は、2025年4月1日時点では「2664講座」あります。
●特定一般教育訓練
再就職やキャリアアップを目指す人向けの制度で、受講費用の最大40%(上限20万円)が支給されます。
さらに、資格を取得し、修了後1年以内に再就職した場合は既に支給を受けた40%の給付額との差額分が最大50%(上限25万円)まで支給されます。ただし、追加支給については、2024年10月以降に始まる講座からが対象です。
特定一般教育訓練の指定講座は、2025年4月1日時点で「1016講座」あります。
●専門実践教育訓練
長期的なキャリアアップを目指す人のための制度で、受講費用の50%(年間上限40万円)が6カ月ごとに支給されます。
さらに、資格を取り、修了後1年以内に再就職すれば、既に支給を受けた50%の給付額との差額分が最大70%(上限56万円)まで支給されます。
ここまでの要件を満たし、さらに再就職後に賃金が5%以上、上がれば既に支給を受けた70%分の給付額との差額が最大80%(上限64万円)まで追加でもらえます。ただし、追加支給については、2024年10月以降に始まる講座からが対象です。
また、失業状態の人が、初めて専門実践教育訓練(通信制や夜間制以外)を受ける場合、受講を始める時点で45歳未満などの条件を満たしていれば、「教育訓練支援給付金」という別のサポートも受けられます。
専門実践教育訓練の指定講座は、2025年4月1日時点で「3220講座」あります。
なお、特定一般教育訓練や専門実践教育訓練を受ける場合は、講座の受講開始2週間前までに、訓練前キャリアコンサルティングを受けるなど、ハローワークにおいて受給資格確認が必要です。
受給についての詳しい情報を知りたい方は、住所を管轄するハローワークの教育訓練給付申請窓口に問い合わせください。
現在、教育訓練給付の対象として厚生労働大臣の指定を受けている講座は、教育訓練講座検索システムで検索できます。
・教育訓練給付検索システム 参照:厚生労働省「教育訓練給付制度」
2025年10月スタート!「教育訓練休暇給付金」とは?
2025年10月から始まる「教育訓練休暇給付金」は、スキルアップを目的に仕事を休んで学ぶ人の生活を支援する制度です。これまでの「教育訓練給付金」は主に受講費用の一部を補助するものでしたが、新たに始まるこの給付金は、教育訓練に専念するために会社を休んだ結果、収入が減ってしまう人に対し、生活費の一部を補うしくみとなっています。これにより、「お金の心配で学べない」という不安を減らし、安心してスキルアップに取り組めるようになります。制度の創設背景には、「学びたいのに収入が減ってしまう」という働く人の課題があり、それを解消するために作られました。
●教育訓練休暇給付金の対象となる人
雇用保険に加入している被保険者で、以下の要件を満たす方が対象です。
・教育訓練のための休暇(無給)を取得すること
・被保険者期間が5年以上あること
労働協約や就業規則などに基づき、労働者本人が希望し、会社が認めた30日以上の教育訓練休暇であることが必要です。
●教育訓練休暇給付金の給付内容
教育訓練休暇の取得から1年以内の休暇取得日が対象で、その間に働いて収入を得ていない日について、離職時の基本手当(日額)と同等の金額が支給されます。給付日数は、これまでの雇用保険の加入期間に応じて90日・120日・150日のいずれかになります。
参照:厚生労働省「教育訓練休暇給付金について」