政府の定義によれば就職氷河期世代とは、1993年~2004年頃に就職活動を行った人たちで、1700万~2000万人いるとされる。当時、新卒者の就職率は落ち込み、2002年度には過去最低の55.1%まで落ち込んだ。正社員にはなることができず、今も多くは非正規雇用で低賃金、低所得で生活が苦しい状況が続いている。
しかし時代は変わり、現在はほぼ全ての業種で“人手不足”が問題となっている。今こそ就職氷河期世代にとって、自分が求める働き方や待遇を得にいく「キャリアリベンジ」のチャンスだ。
今回は人手不足時代だからこそできるキャリアリベンジのケースを紹介する。
社会的信用とマネジメント経験を得るために正社員を目指す
氷河期世代の多くは新卒で正社員になれず、非正規雇用のまま働き続けている人も多いが、人手不足の状況は「正社員登用」のチャンスとも言える。企業側も長期的にフルタイムで働ける人員を確保したいからだ。正社員になることで、待遇面が改善すること以上に「社会的信用」を得ることができる。車や住宅のローンを組めるようになったり、結婚や家族の将来設計もしやすくなるだろう。
またキャリアの側面から言えば40代以上の氷河期世代にはぜひ「マネジメント経験」を得てもらいたい。年齢も上がりその業務の経験者となっても、非正規雇用のままでは管理職などのポジションを任せることは企業としては難しい。正社員になることで、今までの業務経験を生かし、若手を指導したりマネジメントしたりする経験を得ることで、自身のキャリアも磨いてもらいたい。
氷河期世代にとって難しかった正社員への道が、人手不足の今だからこそ開かれていると言えるだろう。
業務委託契約に切り替えることで、複数の職場で仕事をする
働き方の自由度を高めるのであれば、正社員以外に業務委託という道も人手不足の現代では開かれている。正社員の場合は、1つの会社にしか所属することはできないが、業務委託契約であれば複数の職場で仕事ができ、報酬も業務単位なので仕事した分だけ稼ぐことが可能だ。
例えば最近はネット通販の利用率が高く、軽貨物ドライバーのニーズが高い。1つの運送会社でドライバーとしてフルタイムで働くよりも、複数の会社と業務委託契約を結ぶことで、働く日を自分で選べたり、荷物の配送量に応じて報酬を得られたりと働き方や報酬の自由度は高い。
運送業者もドライバー不足で悩んでいることから、業務委託契約であってもドライバーが1人でも増えるのであれば助かるというのが現状だ。安定性という面では正社員だが、働き方の自由度の高さという側面においては業務委託も1つの選択肢として考えてみたい。
経験値と技術を身に付けた分野で個人事業主として小さく起業する
氷河期世代の非正規雇用であっても、特定の分野で身に付けた経験値や技術があるならば、個人事業主として小さく起業するのも1つだ。「小さく起業」というのはあまり設備投資などが必要なく、1人でもできる事業のことである。そしてできれば人手不足が慢性的に続いている領域であることが望ましい。
例えば、ハウスクリーニングなどは技術があればそこまで設備投資も不要で、1人でも始めることができる事業だ。3月の転居シーズンなどはアパートやマンションに入居前のクリーニングをする人材や業者が足りなくなる。
いくつかの不動産会社などとパートナー契約を結び、安定的に仕事が入るようにしておくことで、個人事業として高い報酬を得られることを目指そう。
キャリアリベンジという言葉の通り、就職氷河期世代が社会に出る際に得られなかったキャリアを、人手不足の状況をうまく利用して実現していくことを目指したい。