亀山早苗の恋愛コラム

職場で“私だけ年をとっている”のがつらい……40代、50代を悩ます「若く見られたい問題」

「イケオジ」という言葉はあるが「イケオバ」とは言わない。そこには「女性は若ければこそ」という根深い価値観がある。だからこそ“若見え”にこだわる女性が多いのだろう。「若く見られたい」女性は今何を求めているのだろうか。サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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「少しでも若く見られたい」と願う女性の心理とは

「少しでも若く見られたい」と願う女性の心理とは 画像出典:PIXTA

女性は年齢を重ねてくると、若く見られたいと願うようになる。世間で「若い方が尊ばれる」日本だからこその特徴かもしれない。イケオジという言葉はあっても、イケオバとは言わない。微妙な差別を感じ取るからこそ、女性たちは若くあらねばと思うのではないだろうか。

手間も時間もお金もかかる

「年をとると、手間も時間もお金もかかることばかり」

そう嘆くミドリさん(48歳)。白髪が気になるが美容院でのカラーはお金がかかる。自宅でやれば手間がかかる。美容に関することは全て、若いときのように「そのまま」「放っておく」ではすまなくなってくるのだ。清潔感をなくすのも怖いし、なにより「年齢より老けて見られたくない。あわよくば若く見られたい」からだ。

「パート先が女性の多い職場で、なんとなくみんな美容には気を遣っているんですよ。おざなりにしていても陰口たたかれるし、若作りし過ぎても何か言われる。みんなと同じように、ほんの少しだけ若見えを狙うのが無難なんです。とはいえ、いろいろ個人差があるでしょう? 私なんて若いときから老けて見られていて、30代から白髪が目立っていたのでカラーリングはマストなんです。グレイヘアも流行しているけど、私はきれいな白髪にならないので染め続けるしかなくて」

家族にも見た目のことを言われ

コロナ禍では、パートも一時待機になっていたので染めるのをやめたことがある。ある日、夫がしみじみとミドリさんの頭を見ながら、「あまり外に出る機会がなくても、染めたら?」とポツリと言った。

「世間の空気が鬱々としていたから、家の中できれいじゃないまだらの白髪頭を見ると、ますます気持ちが落ち込んだと、後から夫に言われました。本音を言えば、そんなの知ったこっちゃないけど、自分でもまだらの頭は嫌だったので、軽く染めていましたね、あの時期も」

パート仕事が元に戻り、18歳と15歳、2人の受験生を抱えている今、ミドリさんにとっては何より時間が大事だ。自分の外見にかまっている暇はないが、子どもたちにも「お母さん、化粧くらいしたら?」と言われてしまう。

「もちろん、私も若くは見られたいという思いはあったんですが、最近は何のために若く見られたいのか分からなくなってきた。子どもたちに化粧くらいしたらと言われるのも、なんだかプライドが傷つきます」

最後は笑いながらそう言ったが、そこに本音が見え隠れした。

周囲に年齢を感じさせたくない

50代になると、「手間と時間とお金」はさらにかかると、リエさん(57歳)は訴える。そして「少しでも若く見られたい欲求」も増してくるという。

「周りの人に年齢を感じさせたくないんです。私だけが年とっていることに気づかれてよけいな気遣いをさせたら悪いと思ってしまう。同僚にもそうだし、趣味でやっているスポーツでもそう。気遣いされると、自分がすごくおばあちゃんになったようで落ち込むんです。だから少しでも若見えすれば、周りによけいな心配をさせなくてすむと思っちゃう」

もっと本音を言えば、若く見えれば恋の1つや2つ、まだできるのではないかという思いもある。夫とはとっくに、互いを男女と見ていない。自分が夫を男として見ていないのはいいが、夫から女と見られないことには腹立たしさを感じると、リエさんは笑った。

「だからちょっと外でときめくことくらいあってもいいんじゃないかと思って……。別に不倫したいわけじゃないんです。この年齢でも女性として見てもらえるものかなと。女はいくつになっても、“女”でいたいんじゃないでしょうか。もちろん、さっさと女なんか捨てたわという友人もいますけど」

いくつになっても現役の女性に見られたい

そのあたりは二手に分かれるところかもしれない。女性として見られない方が自由に行動できると言う女性も、最近は増えてきている。もちろん、いくつになっても女性として見られたい、扱われたいリエさんのような人もいる。

「なんかね……大事にされたいと思うんです、このごろ。ずっと仕事と家庭に追われてきて、もうそろそろ女性として大事にされてもいいんじゃないか、と。年をとった女性としてではなく。そのあたりは私のわがままかもしれませんけど」

現役の女性に見られたい。だからこそ若見えを望むのだろう。女として男性から恋愛対象となり得る目線で見られたいと思うのはぜいたくなのだろうかとリエさんは言った。

「年齢を重ねたけど、人生経験もそれなりに経ている。そんな男女だからこそ築ける関係もあるんじゃないかなと思うんです。夫ともう一度、いい関係になれればいちばんいいんですけどね……」

人はいくつになっても恋心をもっている。それを現実にするかどうかはその人次第。恋心を燃やせる相手に出会えるかどうかだが、その際、男性にとって女性の年齢がネックになるのではないか。リエさんが気にしているのはそのあたりのようだ。
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