All About編集部は就職氷河期世代のユーザーを対象に、就職活動での経験や現在の年収や暮らしへの影響などに関するアンケートを実施。彼らは今、どのような思いを抱いて生活しているのか。今回は、青森県在住48歳女性のエピソードを紹介します。
回答者のプロフィール
回答者本人:48歳女性家族構成:独身(子なし)
雇用形態:正社員
職業:企画職
世帯年収:320万円
現在の年収や暮らしに満足しているか:満足していない
「あきらめずに動き続けて良かった」
女性は就職活動で苦労したりつらい思いをしたりしたことがあると回答。「応募要項の受け取りや応募書類の提出が本社に直接提出の企業が複数あり、そのたびに交通費をかけて本社に行かなければならず、費用も時間もかかった。エントリーシートが導入され始めた時代で、履歴書と合わせて膨大な数を手書きしなければならなかったこと」
また、就職活動時に言われてショックだった言葉があると言います。
「最終面談で2名のうち1名のみ採用、男性が欲しいと言われ、男性が採用された。ならばどうして最終選考に残したのかと悔しい思いがした。また他の面接では地方出身の一人住まいは採用しないと言われた(住宅手当がないため、実家住みの人限定採用とのこと)。初めから応募条件に記載してほしかった」
就職活動に苦労していた女性。しかし最終的には就職活動の結果に満足できたと言います。
「補欠ではありましたが正社員として採用されたからです。その後ひとりが内定を辞退したため、繰り上がりで職を得ました。とてもラッキーだったと思います。就職活動時期も終盤戦に入り、活動を辞めようか迷っていた時期でしたので、あきらめずに動き続けて良かったと思っています。現在は実家住まいですが、大学入学後に実家を出て30年、ひとりで東京で頑張れたのは、新卒で正社員になれたからだと思っています」
「入社5年目で新入社員に給与を抜かれました」
女性は現在の年収や暮らしに就職氷河期の影響を感じているそう。「新規採用が見送られたため、入社後3年は下っ端でした。入社5年目で新入社員に給与を抜かれました。バブル世代が上に詰まっていたため、昇進できませんでした。ボーナスはお小遣い程度のものを1度もらったのみでした」
一番羨ましいと思う世代は“50代”で、その理由は「バブル世代で売り手市場にいた方々です。就職活動で苦労なく大量に採用され、順調に昇給して給与水準も高い方が多いから」。女性よりも年上の世代に思うところがあるようです。
最後に、国や行政に伝えたいことを聞きました。
「1000人あった採用枠が10名程度まで絞られた世代です。仕事をしたくても、その入り口にさえ立たせてもらえませんでした。自己責任というけれど、本当にそうなのでしょうか。何十年もほったらかしにしておいて、国や行政に今さら何の手助けができるのか大いに疑問です。社会経験もスキルもない中年をどこの会社が雇いますか? 社会保障費軽減や国民年金増額などの支援を希望します」
就職したくてもできなかった時代。その影響は今もずっと続いているようです。
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<参考>
厚生労働省「就職氷河期世代の方々への支援のご案内」
<調査概要>
就職氷河期世代に関するアンケート
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2025年5月23日
調査対象:全国30~50代の100人(男性:48人、女性:51人、回答しない:1人)
※回答者のコメントは原文ママ