子育て

「クラス替え」ってちゃんと公平に決めてるの? 保護者が知らない職員室の裏側を元教師が暴露

わが子のクラス替え、先生はどんな基準で決めているの? 職員室ではどんな話をしている? 保護者が気になる学校の裏側を、静岡の元教師のすぎやまさんが解説。子どもの学校生活を理解するヒントに。

執筆者:All About 編集部

クラス替え、教師たちはどう決めている?

クラス替え、教師たちはどう決めている?

新学期になると、気になるのがお子さんのクラス替え。「今度はどんな雰囲気のクラスなの?」「苦手な子とまた一緒のクラスなのはどうして?」そんな疑問や心配をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。また、「先生方は職員室で、うちの子のことをどう話しているのかしら?」と、少し気になることもあるかもしれません。

10年以上中学校の先生だった静岡の元教師すぎやまさんの著書『教師の本音 生徒には言えない先生の裏側』では、そんな保護者の疑問に答える、学校現場のリアルな声が綴られています。

今回は本書から一部抜粋し、クラス替えがどのように決まるのか、そして先生たちが職員室でどのような会話をしているのか、その実態について紹介します。
 
<目次>

クラスってどう決めているの?

「好きな子と一緒のクラスになるにはどうしたらいいですか?」
「嫌いな子と別のクラスにしてって言ったらしてもらえますか?」

年が明けると一気に増えるのが『クラス替え』についての質問。中高生の視聴者から毎日のようにDMが届きます。

最近では保護者の方から「クラス替えが心配です」「意地悪してくる子がいるみたいなんですが、先生に言っておいた方がいいでしょうか?」というような相談も増えています。

そもそもクラスの編成はどのように決めているのでしょうか?

実はクラス替えの準備はけっこう早くて、12月頃から始まっています。そして、3月の頭にはほぼ決定。春休みに入る頃には確実に決定しているのです。

まず、学年の生徒全員を、成績順・テストの点順に並べて整理します。それを、平均点が大体同じぐらいになるように並び替え、各クラスに割り振っていくのです。

小・中学校は義務教育・公教育ですから、公平・平等であることが一番重視されます。A組だけ飛び抜けて平均点が高く、B組だけ低かったら、きっと授業の質にも差が生まれてしまいますよね?

だからまずは、点数をならす作業をして、どのクラスも同じぐらいの平均点になるようにするわけです。

お気に入りの子を自分のクラスに集めている?

その上で、たとえばそのクラス内にリーダー的な子や、ピアノを弾ける子がいるか、同じ部活の子だけが集中していないか、などを考慮しながら、調整していきます。

仲の悪い子同士、トラブルがあった子同士を別のクラスにするのも、この時点です。

重視されるのは学年全体のバランス、そしてできるだけトラブルが少ないことです。

「先生ってお気に入りの子を自分のクラスに集めてますよね?」と聞かれることもあるのですが、そういうことはほぼできません。

たとえばある先生がお気に入りの生徒ばかりを集めてしまったら、その分、他のクラスが影響を受けるから。そんなの周りの先生も許すわけがありませんよね。

どこかのクラスで学級崩壊が起きたりすると、それをキッカケに学年全体が荒れてしまう、ということも起こりかねないからです。

先生って職員室で何を話しているの?

「先生って職員室でなに話してるんですか?」
「生徒の悪口言ったりしますか?」

この質問もよく届きます。生徒たちからしたら、職員室という子どもが入れない空間の中で先生方が何を話しているのか? とても気になるようです。

まず職員室で、生徒のことを話しているか?ということについては、これはかなり話しています。

たとえば、「◯◯さんが今日授業ですごくいいことを言ったよ」ということもあれば、「あの子今日全然やる気なくて、ずっと寝てたよ」みたいなこともあるわけです。

もちろんある程度配慮しながらではありますが、先生の性格もいろいろですから、中にはけっこうきついことを平気で言う人もいます。

だから「職員室で生徒の悪口を言っているの?」と訊かれれば、「そりゃ言うこともある」ということになります。

教員だって人間です。人の好き嫌いがあったり、ときには悪口を言ったりすることもあるのは当然でしょう。

ちょっと前にニュースになりましたが、先生同士の職員室での生徒に関する会話が、タブレットで録音されて、音声が流出したことがありました。

話題に上がった生徒の1人がその音声を聞いて、不登校になってしまったというのです。

悪口を言っていたかどうかは別として、これについては正直、録音を流出させた生徒も悪いとは思います。でも職員室内でもどこでも、教師は言動に気をつけないといけないということでしょう。

保護者は教師の顔を知っているけれど、逆は⋯⋯

ちなみに、教員は「飲食店で飲む時なども、言動に気をつけるように」と言われます。

飲食店で隣に生徒が座っていればさすがに気づくのですが、たとえば生徒のお父さんが座っていてもこちらは気がつきません。

でもむこうは「あ、息子の担任の先生だ」と気づきます。

そんな状況の中で「うちのクラスが最悪でさぁ」などと愚痴を言い始めてしまったらもう最悪。学校に対する信用は一気に失墜してしまいます。

私も教員時代にスーパーで「あ~! すぎやま先生! いつもお世話になってます~」とお母さんから声をかけられることがよくあったのですが、「◯◯の母です」と名乗ってくれないと、こちらは誰のお母さんかわからないのです。

結局、最後まで誰かわからないまま雑談した、ということが何度かありました(笑)。
 
静岡の元教師すぎやま プロフィール
YouTuber、TikToker、LGBTQ、教育評論家。静岡県掛川市出身。10年以上中学校教諭として勤務したのちに、2018年に退職。現在は先生のホンネ、学校のウラ側を解説するインフルエンサーとして活動中。現在総フォロワー数70万人超。フォロワーの多くは中高生で、若者心理やSNS文化に詳しい教育者として、自己啓発、SNSなどのテーマで、執筆・講演を行っている。2021年には『ゲイ』であることをカミングアウト。LGBTQの啓発活動として、講演会や企業向け研修会なども行っている。2024年に不登校生徒向けのオンラインのフリースクール『新時代スクール』を創設。クラウドファンディングで応援を募り、支援総額780万円超を達成。
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