
自分に投資したいと思います
「ハイパーインフレが起きていると思っています。いっそ自分に投資したいと思うが、何にお金を使ったらいいか」(30代)
かつて、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットは、「どのような投資にも勝る投資は、自分自身への投資だ。何であれ、自分の弱点だと思う部分の改善に取り組む必要がある。そして、それは今すぐ始めるべきことだ」と述べました。
まさに質問者様も「自分に投資したい」ということで、前向きでよいですね。
とはいえ、「自己投資」は「自己満足」に終わってしまうケースも多いです。そうならないためには、どんな点に注意する必要があるのでしょうか?
投資の定義
話を進める上で、まずは「投資とは何か?」について、定義を明らかにするところから始めましょう。ベストセラー「金持ち父さん 貧乏父さん」の著者ロバート・キヨサキ氏は、「資産は私のポケットにお金を入れてくれる」「負債は私のポケットからお金をとっていく」と述べました。
つまり
- 資産=収入源
- 投資=収入源を買うこと
だから、投資の神様バフェットがいう自己投資とは「自分がお金を稼ぐ力を引き上げるために何かを買うこと」と言えます。
ボトルネックを探せ!
では、お金を稼ぐ力を引き上げるためには、何を買うのがよいのでしょうか?あなたは「制約条件」という言葉をご存じでしょうか? これは、成果の上限を決める制約(ボトルネック)のことを指します。
例えば、こんな状況を考えてみましょう。
あなたは時給一万円の仕事をしています。1日8時間働けば日給8万円。週5日働けば週40万円。月20日働けば月給160万円。年250日働けば年2000万円です。
あなたの収入を増やす方法は2つ。
1つは「働く時間を増やすこと」です。
時給1万円の仕事で週6日働けば週48万円、週7日働けば週56万円の収入になります。1日あたり10時間働けば、もっと稼げるでしょう。
もう1つは「働き方を変えること」です。
時給1万円で稼げるお金には限りがあるため、1時間で2万円、3万円と稼げるように生産性をあげ、効率よく稼ぐことを目指します。
「たくさん働く」か「生産的に働く」か。あなたの収入を決めるのはこの2つで、時間と生産性が収入の上限を定める「制約条件」です。
理論上、ボトルネックが解消されなければ、他でどんなに努力をしても収入は増えず「自己満足」に終わってしまいます。
だから、「自分の収入の限界を決めている制約条件=ボトルネックは何か?」を突き止めることが何よりも大事ですね。
鎖の強度は「一番弱い輪」で決まります。この一番弱い輪がボトルネックです。強みを伸ばすのも大事ですが、弱い部分を徹底的に強化して、稼ぐ力を底上げしていくのが大切です。
中でも時間は貴重です。どんな人も「働ける時間」には限りがありますから、だから、ほとんどの人にとって自己投資の最優先課題は「生産性の向上」となります。
つまり、自己投資の目的は「より短時間で多くのお金を稼ぐために、何ができるかを知り、行動量を増やし、より大きな成果を得るのを助けてくれるものを買う」ことだといえます。
「お金の稼ぎ方が分からない」というなら、まずは「会社でバリバリ働いて稼ぎ方を学ぶ」ことも投資の1つです(お金ではなく時間を使うことも投資の1つです)。
「お金の稼ぎ方が分かっている」というなら、生産性を引き上げるための道具を買ったり、本を読んで能率をあげる方法を考えるのも投資です。体力をつけて集中して働ける時間を増やす、というのも投資ですね。
自分の収入の上限は何で決まる?
つまるところ、自己投資でもっとも大事なのは「自分が稼げるお金の限界を引き上げるため」の何に時間とお金を使うかを決断することです。だから、「ハイパーインフレが起きていると思っています。いっそ自分に投資したいと思うが、何にお金を使ったらいいか」と言う質問への回答は「あなたの収入の制約条件を緩和し、収入アップにつながるものならなんでもよい」と言うのが筆者の答えです。
お金稼ぎはミニ四駆みたいなものです。
ミニ四駆では「コンマ何秒」のタイムを縮めるために部品を取り替えたり、組み合わせを考えたりします。使えるパーツには限りがある中で、工夫でなんとかする必要があります。
お金稼ぎでも時間の使い方やお金の使い方をいろいろ試して工夫します。そして「時給を1円でも引き上げられる」ことを目指すわけですね。
人間にはそれぞれ才能があり、得手不得手があり、使える武器が違います。
そんな中で、自分なりにピースを組み立てて、社会に適応し、限られた資源で最高スピードを追求するゲームみたいなものだと考えてみましょう。
筆者の経験上、収入が少なくて悩む原因は
- 稼ぎ方が分からない(効率が悪い)
- 効率はよいが行動量が足りない
筆者は「お金を払ってでも解消したい社会の困りごと」を解消するのがお金稼ぎだと思っています。
ここが腑に落ちればシンプルだと思いますが、はじめのうちはお金の稼ぎ方が分からず、右も左も分からないかもしれません。
だから分からないなりにがむしゃらに働いて、稼ぎながら、学び、「これだ」と分かるまでしぶとく考えるのが大事かと思います。
年をとった時に「お金の稼ぎ方」が分からないと大変な思いをします。だから、若いうちは無理をしてでも稼ぎ方を学んでおきたいですね。
年をとってからは無理が効かなくなる分、「知恵」と「仕組み」でカバーする必要があります。
「時間が足りない分は人は周りを頼ってレバレッジをかける」というやり方もあります。バリバリ働ける若手を指導して、足りない時間は若手にカバーしてもらうわけですね。
話が長くなってしまいましたがまとめると、
- 資産=収入源
- 投資=収入源を買うこと
- 自己投資=労働収入を増やすために時間とお金を使うこと
- 収入を増やすにはボトルネックを知る必要がある
- 労働効率が悪いなら労働量でカバーし質に転化する
- 労働効率が高いなら人を雇うなどして労働量を増やし時間のレバレッジをかける
自己投資、難しいですよね。筆者もいつも悩みます。奥が深い話題なので話が分散してしまいましたが、なんとなくでもヒントにつながれば嬉しく思います。