そんななか、老後資金を自分で準備できる制度として注目されているのが、iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)です。では実際、iDeCoを利用している人はどのくらいの資産を築いているのでしょうか?
今回は「確定拠出年金統計資料」(2024年3月末・運営管理機関連絡協議会)をもとに、40代・50代の方々が持つ資産額を見てみましょう。
40代・50代のiDeCo資産額割合は?
iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者は、2024年3月末時点で約328万人、全体の資産残高は約6.2兆円にのぼります。そのうち、40代・50代の資産額を見てみると、
・40代:約1兆6000億円(26.0%)
・50代:約2兆6000億円(42.8%)
この2つの年代だけで、全体の約7割を占めています。老後資金への関心が高まる時期だからこそ、40代・50代のiDeCo利用が加速していることがうかがえます。
40代・50代のiDeCoの1人当たり資産額はいくら?
次は、実際に40~50代の加入者1人あたりの資産額がどれくらいか見てみましょう。・40代:121万円
・50代:188万円
参考までに、他の世代の資産額は以下のとおりです。
・60代:337万円
・70代:471万円 iDeCoの資産保有割合を見ると、40代が「26.0%」、50代が「42.8%」と全体の多くを占めています。これは、老後の生活を意識し始める年代であり、本格的に資産形成を始める人が増えるからだと考えられます。
一方で、60代は「17.7%」、70代はわずか「0.5%」にとどまっています。これは、iDeCoが原則60歳以降に受け取りを開始できる制度であるため、多くの方がすでに受け取りを開始し、資産としては減少傾向にあるためとみられます。
40代・50代に人気の商品と商品選びのポイント
続いて、40代・50代に選ばれているiDeCo商品の1~3位を見てみましょう。●40代・50代が選ぶiDeCo商品ランキング
【40代】
・1位:外国株式型(投資信託) 45.6%
・2位:バランス型(投資信託) 15.3%
・3位:預貯金 14.0%
【50代】
・1位:外国株式型(投資信託) 30.4%
・2位:預貯金 22.8%
・3位:バランス型(投資信託) 17.5%
iDeCoで40代・50代に人気なのは「外国株式型」や「バランス型」の投資信託です。
40代では外国株式型が約46%、50代でも約30%と、多くの方が「成長を期待できる運用」を選んでいることが分かります。
外国株式型は、世界経済の成長に乗って大きな利益が狙える一方で、相場の変動も大きく、リスクも伴います。そこで注目されるのが「バランス型」投資信託。複数の資産(国内外の株式や債券など)に分散して投資するため、リスクを抑えながら安定した運用を目指せます。
一方、預貯金は元本が保証される安心感が魅力。ただし、利回りは低めなので、リスクとリターンのバランスを考えながら、自分に合った組み合わせを選ぶことが大切です。
iDeCoの最大のメリットは、老後資金を準備しながら所得控除による節税ができる点にあります。積み立てた掛金はすべて所得控除の対象となるため、年末調整や確定申告で所得税・住民税の負担を軽くする効果があります。
また、iDeCoでは投資信託だけでなく、定期預金や保険商品も選べるため、「投資が不安…」という方でも預貯金中心の運用で十分な節税メリットを受けられます。
老後資金づくりは、一気に増やすことよりも、少しずつでも長く続けることが大切です。自分に合った無理のないスタイルで、賢く老後に備えていきましょう。