人間関係

妻に「もっと収入があれば」と言われ絶句……40代夫たちの「小遣い制のストレス」と対処法

中間管理職だから部下を飲みに誘うのだって仕事。小遣い3万円では到底足りない。そんな40代会社員男性たちのぼやきが聞こえてくる。彼らは、そもそも自由に使えるお金が小遣いだけという状況に不満を持っているのだ。

小遣い制を変えたいと妻に訴えたら……

小遣い制を変えたいと妻に訴えたら……

株式会社プラスエイトがこのほど実施した「結婚後のお金事情」に関する調査によると、30代から40代の会社員男性の約4割が「小遣い制」だという。自分で稼いだお金を自由に使えないのは、家庭があれば当然ということなのだろうか。ただ、小遣いの金額についてはほとんどの男性が「不満を持っている」という。

なぜ小遣いを減らそうとするのか

「僕の小遣いはここ10年くらい4万円と決まっています。毎朝、僕は家族分の弁当を作っているので、妻は『小遣いとしては多い方よ』と言うのですが、中間管理職としては後輩や部下の話を聞くために1杯飲みに行こうと誘うこともある。自分から誘っておいておごらないわけにもいきません。でも妻はそれは直接、仕事にかかわる出費ではないんだから割り勘にすればいいじゃないと冷たい。そんなのできるわけないですよ」

ため息をつきながらそう言うのはヒデキさん(43歳)だ。パートで働く妻との間に、10歳と6歳の子がいる。これから子どもにお金がかかるのだからと、今年の初め、妻から小遣いを3万円にしてほしいと言われた。

「でもやはりそれは無理だと断りました。家計が苦しいとすぐ僕の小遣いを減らそうとするけど、他に見直す点はないのかと思うんです。例えば妻の化粧品やらネイルサロンやら。妻は『それは私のパート代から出してる』と言いますが、それなら僕だって『小遣いとは別に、僕の給料から交際費を出してもいいんじゃないの』と言いたくもなります。そう言ったら、妻は『あなたは一家を養う立場でしょう』って」

賃上げされても小遣いへの反映はなし

家事を手伝わないといつも文句を言う妻だが、何かあると「一家の大黒柱として無責任だ」と彼をなじる。あげく、「そもそももっと収入があれば、こんなに悩まないですむのにね」とため息をつくのだ。

「でも収入の問題は、僕が悪いわけじゃないですからね。この春、会社はどうやら賃上げしてくれそうですが、それは僕の小遣いには反映されないみたいです」

本音を言えば、自分の稼いだお金を自由に使えないのはストレスだが、結婚したからには仕方がないともちろん覚悟を決めている。だがあえて、そこを突かれると不機嫌になる自分がいるとヒデキさんは言う。

「小遣い死守、そして何らかの支給があったとき妻にバレないようにしながらこっそり自分のポケットに入れる。そうやってなんとか付き合いや趣味の費用を捻出しています」

サラリーマン、大変なんですよとヒデキさんは苦笑した。

家計の見直しを妻に提案

タカユキさん(45歳)の場合、妻は現在、正社員として働いている。

「妻はもともと契約社員として、僕が勤める会社で働いていました。そこで知り合って結婚し、彼女は一時期、専業主婦となりましたが、子どもが生まれてからはパートに出て、5年前にある会社の正社員になりました」

妻が正社員になったのは妻の意志で、タカユキさんは反対も賛成もしていない。正社員になるからと言われて「分かった」と扶養から外しただけだった。一人息子はこの春から中学生だ。

「でもふっと気づいたんですよ。結婚当初は妻が仕事を辞めていたし、その後は子どもが生まれたりしたため、家計は妻が管理していた。僕は小遣いをもらっていたんです。でも妻が正社員として働いているなら、家計ももう一度、見直した方がいいのではないかと」

それとなく、妻に家計の見直しをしようと言ってみたが、「私がちゃんと管理しているから大丈夫。家のローンもきちんと返してるし」とかわされた。

「実際には妻がいくらもらっているのか知りたいし、同じように正社員で働いているなら、生活費も収入の割合に応じて出すようにした方がいいのではないかと思って。でも自分から正直にそうは言いづらい。自分の小遣いを増やそうとしていると思われても嫌だし、家族の生活の面倒をみるのを拒否していると思われるのはもっと嫌だし」

収入をオープンにしてみたら

粘り強く機会をうかがい、ようやく話し合える状況になったのが昨年初めだった。そして収入を互いにオープンにしてみて分かったのは、タカユキさんが思った以上に妻が稼いでいるという事実だった。

「知らなかったんですが、妻は子育てしながら金融関係の資格取得をし、それを生かしてパートから正社員へと“のし上がって”いったんだそう。子どもが小さいころは専業主婦だからラクしていていいなと僕が嫌みを言ったこともあったそうです。それが彼女の気持ちに火をつけたと。いつ離婚してもいいと思いながら生きてきたと言われて、僕は非常にショックを受けました」

妻をなめていたというのが正直なところだろう。だが、妻はしなやかに、そしてしたたかにリベンジを果たした。

「金融関係は妻の専門でもあるので、僕が思っているより貯金もできていた。結局、『私は無駄遣いはしないから。小遣いはもう少し増やしてもいいけど、家計は今まで通り私が管理していいわね』と言われ、はいと言うしかありませんでした」

オレが家族の生活を担っているという考えは、不遜でしかない。妻が黙って勉強を続けて資格をとっている間、自分は習慣化した日常を送っていただけだったとタカユキさんは、内心、忸怩(じくじ)たるものを抱えながら妻への敬意を深めているという。

<参考>
『結婚後のお金事情』に関する調査」(株式会社プラスエイト)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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