人間関係

女友達の中で私だけがくすんでる……“キラキラしたい”40代女性の葛藤と「すべきこと」

アラサーで結婚し、子育てをしながらパートで働く40代女性。夫婦仲は悪くないけれど、ときめきもない毎日。似た境遇だと思っていた女友達に久しぶりに会ったら、何だかみんながキラキラして見えた。それから彼女の中にモヤモヤが広がりだして……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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学生時代の女友達がキラキラして見える……

学生時代の女友達がキラキラして見える……

人間は、ふっと「何をやってるんだろう、自分は」と思うことがある。そんなときに同世代がキラキラして見えるのかもしれない。

同じように過ごしていると思っていたら

「かつての友人たちが同じように過ごしていると思っていたんですよね。高校時代の仲よし4人組はみんなアラサーで結婚して子どももいて。普段のLINEのやりとりでは似たような愚痴もこぼしていたし」

浮かない表情でそう言うサヤさん(47歳)だ。彼女自身は更年期が始まり、このところ不定愁訴に悩まされていた。どこが悪いというわけではないが、なんとなく頭が重かったりめまいがしたり。体調は万全と言い切れず、その結果、心も弾まない。

「私は結婚して16年経つんですが、1人息子がこの春から高校生。近所に姉一家がいて、姉の下の子が同じ高校の1年先輩になるので、私も本人も気持ちが楽。これで子育ての半分以上は終わったようなものだという安堵(あんど)感とちょっとしたさみしさがありますね」

かつての同級生がキラキラして見えた

そんな中、つい先日、仲よし4人組が久々に会おうということになった。LINEでのやり取りはあったものの、実際に4人で会うのはコロナ禍の前以来だ。

「1人はキャリアの道を選んで、夫と共働きをしながら1人娘を育てている。あとの2人は私と同じようにパートで働いていますが、2人ずつ子どもがいる。みんな夫と仲が悪いわけではないけど、もはや家族でときめかないよねという感じ。推し活みたいなものはお金も時間もかかるからできない、近所の人とトラブルがある、義両親はやっかいだと、会っていないときの情報のやりとりはそんな感じでした。みんなそうだよね、というのがいつも私たちの慰めになっていた」

ところが実際に会ってみると、サヤさんには「3人ともキラキラしてる」と映った。3人ともさすがに高校時代とは体型が変わっているし、しわも増えた。だが、なぜかすてきな大人の女性への階段をきちんと上っているように見えたのだという。

自分を生きているか、生かしているか

「すぐに私の疑問は解消しました。みんなそれぞれ努力していることが分かったから。努力してこなかった私だけが停滞し、くすんでいるんです」

一般的に見て、本人が言うほど「くすんで」などいないのだが、それは個人の感じ方だから仕方がない。

「キャリアの彼女は、平日の夜、オンラインで語学を勉強しながら、月に2度、昔やめてしまったピアノをまた習い始めたんだそうです。他の2人も、ボランティア活動に取り組んでいたり、趣味の写真をスキルアップするために地元のサークルで活動していたり。みんなそれぞれ、家族や仕事以外に打ち込める何かを持っていた。ボランティアをしている女性は、もともと手芸が好きだったので作品を作ってバザーに出品しているそうです。私は何をしてきたかと考えると、何も打ち込めるものがない、家族と仕事がなかったら、私は自分をどういう人間だと表現するのだろうと考えて、落ち込んでしまいました」

打ち込めるものがないといけない。そんな風潮は確かにある。経済活動でなくてもいいから、何か自分を表現していなければいけないような圧がある。実際には、好きなものがない、好きなものが見つからない。そう思いながら生きている人たちも多いのではないだろうか。

「それに私は社交的なタイプではないんですよね。社交的な人にあこがれるけど、自分から人の輪に飛び込めない。そういう話をすると、聞き上手になれば友達ができると言われますが、そんなに友達がたくさんほしいわけではないし……」

平和だけれど物足りない

SNSが流行りだが、彼女は登録はしても投稿はほとんどしていないそうだ。

「人に自分の生活を知らせる意味が分からないですし、羨ましがられることも何もないし。別に暗い生活を送っているわけじゃないけど」

サヤさんは自分で自分を受け入れて、ごく自然に生きているのではないだろうか。他の人の承認など不要なのではないだろうか。

「いや、私だって他人から『すてき』と思われたいですよ(笑)。でも自分が一番分かっているんです、どうしても人生を前向きに過ごすことができないって。キラキラしたいですよ、私だって。でも努力が足りないだけじゃなくて、なんとなく仲よしの友達なのに住む世界が違うような気になってしまったんです」

夫に話すと「ふうん」と言っただけ。他に感想はないのと聞くと、「ま、人生いろいろだよ」とさりげなくかわされてしまった。

「これが平和ということなんだろうと思いつつも、物足りない。キラキラするために私もダイエットでもしようかなと冗談交じりに言ったら、息子が『オレは、めいっぱいごはん食べたいから肉は減らさないでね』と。お母さんの分の肉をあげると言うと、夫が『不健康になるなよ』って。それもそうねと言うしかない。うちじゃキラキラは求められてないなと思いました」

彼女自身が何を求めているのかが伝わらないのだが、キラキラしたいという気持ちはもちろん、分かる。いくつになってもキラキラしていたいものなのだ。ただ、キラキラするために何かをするのか、何かをしていたらキラキラしているように他人から見えるのかは考える必要があるのかもしれない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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