今回は「伏見エリア」をフィーチャー。名古屋在住の筆者が実際に歩きながら、街の特徴や見どころ、楽しみ方などを詳しく紹介します!
<目次>
オフィス街にタワマンも供給ラッシュ
伏見エリアは名古屋きってのオフィス街。場所は名古屋駅と繁華街・栄のちょうど中間に当たります。オフィスビルが立ち並び、近年はタワーマンションも次々と竣工。地下鉄は東山線と鶴舞線が乗り入れ、人の往来も盛んなエリアです。 オフィスが多い土地柄、飲食店は昼向け夜向けともに充実。ランチやアフター5の立ち寄り先に困ることはありません……いや、むしろ選択肢が豊富すぎて迷ってしまうほどです。近隣に勤務する常連客を相手にする店が多いので、料理の内容やコスパ、接客など、総じてレベルが高いのも伏見ならではの魅力です。一方で名古屋を代表する劇場や科学館、美術館といった施設もあり、文化的香りも漂います。公園は広々としてユニークな遊具も。単身者にとってもファミリーにとっても、生活の充実度が高いエリアだといえます。
伏見豆知識:駅は「伏見」だが住所は「栄」
ここでちょっと豆知識。「伏見(ふしみ)」という呼び方で市民にも通っている伏見駅界わいですが、実は伏見という正式な町名は存在しません。伏見の由来は、名古屋城の築城前後の慶長年間、山城国伏見(現在の京都)の伏見屋六兵衛が移り住んだことと伝えられています。しかし、1966(昭和41)年の住居表示の実施にともない、町名としての伏見は消滅してしまいました。ちなみに旧・伏見町は現在の伏見駅よりやや北に当たり、駅ではどちらかといえば丸の内駅のほうが近い場所でした。伏見駅周辺は栄1~2丁目に当たる場所が多いのですが、「伏見なのに栄?」と地元の人にとってもちょっとピンと来ない、というのは名古屋あるあるです。
広大な白川公園には科学館と美術館が
さて、まずは観光で訪れる人のために、「名古屋市科学館」「名古屋市美術館」を紹介しておきましょう。両館は伏見駅から徒歩3~5分で、ともに白川公園内にあります。 「名古屋市科学館」は世界最大級のプラネタリウムが目玉。ドーム内径35mのスケールは世界最大です。最新デジタル映像と学芸員による生解説の組み合わせで、雄大な星空の世界へと誘ってくれます。このほか、マイナス30℃の空間でオーロラ映像を鑑賞したりさまざまな実験ができたりする「極寒ラボ」、魅力的な企画展などで、子どもから大人まで科学体験を楽しめます。「名古屋市美術館」は、建築家・黒川紀章氏が設計した外観が特徴的。スマートに見える中に名古屋城、熱田神宮などの名古屋の伝統建築の意匠を盛り込んでいます。コレクションのシンボル的作品であるアメデオ・モディリアーニの『おさげ髪の少女』をはじめ、藤田嗣治、北川民次、フリーダ・カーロなど、独自のコレクションを見られる常設展も見応えがあります。
名古屋めしも絶品を食べられる名店が目白押し!
飲食店の数も豊富で、もちろん名古屋めしも名店ぞろい。味噌カツなら老舗洋食店らしいデミソースのような味噌ダレが特徴の「広小路キッチンマツヤ」、ひつまぶしなら大ぶりのうなぎをぜいたくに使った「鰻う おか冨士」、味噌煮込みうどんなら渋み控えめの優しい風味で最後までつゆを飲みほせる「五條」。あんかけスパゲティならトマトの酸味がほどよく本格洋食店ばりのジューシーなハンバーグのトッピングがおすすめの「男前パスタ」、それぞれのメニューを高いクオリティーで味わうことができるのです。オフィス街だけに飲み屋も豊富! 「日本一の居酒屋」も
飲み屋にももちろん事欠きません。中でも1907(明治40)年創業で“日本一の居酒屋”とも称される「大甚本店」は、酒場好きなら一度は体験しておきたい名店中の名店。大テーブルで相席が基本なので、隣り合わせた人とのおしゃべりも合わせて楽しむと、グッと街になじんだ気持ちになれるはずです。 また、「島正」も老舗の名店。どて焼き(味噌おでん)が名物で、中でも繊維1本1本まで味噌がしみ込んだ大根は絶品です。ほかにも名古屋のブリティッシュパブの先駆け的存在の「英吉利西屋(エゲレスヤ)本店」、愛知の地酒の品ぞろえは屈指の「一位」など、長く愛されている名店が目白押しです。 また、近年“飲み屋ストリート”として注目される「伏見地下街」もユニークなスポット。地上にある繊維問屋街が出資して1957年に開業した純民間の地下街で、もともとは衣料品系の商店街だったところが繊維業の低迷でシャッター商店街化。しかし、2015年頃から飲み屋が次々と出店し、今では名古屋でも屈指ののんべ横丁に。200mほどの間に10数軒が居並ぶのではしご酒にももってこいです。新旧の喫茶、カフェ。裏通りに新鋭店が続々オープンの注目エリアも
オフィス街だけあって喫茶店、カフェもあちこちに見つかります。老舗の落ち着いた雰囲気に浸るなら「珈琲処 カラス」。新進カフェの開放的な空間を楽しむなら「KANNON COFFEE fushimi」が人気です。 また、今面白いのが栄1丁目、特に三蔵通の南側です。一方通行の細い通りの区割りが続くこの界わいは、ここ数年新しい飲食店が次々登場していて、しかも小規模ながら個性的な店が多いのです。古民家を改装したクラフトビールの立ち飲み店「Danky Beer Store」はその象徴的な一軒。国内外の珍しい銘柄を生と缶で多数取りそろえています。旅行者にも、名古屋住まいを考えている人にもおすすめのエリア
伏見エリアは名古屋の城下町の特徴である碁盤割りが残っていて、ほとんどの通りが東西南北で水平垂直に交差しているのも特徴。そのため、土地に慣れていなくても方角が把握しやすく、あまり迷う心配もなく街歩きを楽しめます。 堀川の存在も見逃せません。堀川は名古屋城築城に合わせて資材の水運を目的に開削された人工河川。川沿いには遊歩道が整備され、飲食店も数多く並びます。毎月第4金曜日には屋台が立ち並ぶイベント「なやばし夜イチ」が開催され。2023年10月にオープンした「COLORS.366」は飲食店や劇場などで構成される複合施設で多彩なイベントもあり。リバーサイドが生活にうるおいと刺激をもたらしてくれます。観光で訪れる場所というイメージはあまりないのですが、1カ所で満足度が高いスポットがいくつもあり、なおかつグルメの宝庫でもあります。ファミリーならカルチャースポットを中心に過ごすことができ、グルメ目当てならカフェから飲み屋まで全方位的に魅力あるお店を見つけられます。
ホテルも多いので旅行者にも、新築マンションも供給が豊富なので新しく名古屋住まいしようと考えている人にも◎。名古屋での時間の質を高めてくれるエリアです。
<もっと名古屋を知りたい>