子育て

元小学校教師が告白「中学受験で休む生徒への複雑な思い」その真意とは

中学受験を控えた子どもに、学校を休ませるか否か……。元小学校教師で現在はコーチングの講師である筆者が、「子どもの成長」を軸にした考え方を紹介します。まずは保護者・子ども・教師、それぞれの立場の「エゴ」を整理してみましょう。

坂田 聖一郎

執筆者:坂田 聖一郎

子育て・教育ガイド

子どもの中学受験に向けて、「3学期は学校を休ませたい」と考える保護者は少なくないかもしれません。保護者は行かせるつもりでも、子どもが「休みたい」という場合もあるでしょう。

しかし、受験のために学校を休ませてもいいものか、学校や周囲の反応が気になる人もいるのではないでしょうか。また、受験のために学校を休む子どもや休ませる保護者にモヤモヤとした気持ちを抱いている教師や周囲の人もいるかもしれません。

このような場合におすすめなのは、それぞれの「エゴ」を整理しながら状況を捉えることです。受験のために学校を休むか否か問題は、保護者・子ども・教師(周囲の人)、三者の「エゴ」が絡み合って展開されるからです。

元小学校教員で、6年生の担任経験もあり、現在は教師や保護者にコーチングを教えている筆者が、それぞれの立場の「エゴ」の姿を明らかにするとともに、どのような考え方をすればいいかを提案します。
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小学校最後の思い出作り、どこまで大事?

保護者は「受験を通して何を学ばせたいのか」を考えよう

「中学受験に向けて学校を休ませたい」。これは、受験前の大切な時期に受験勉強に専念させたいという、子どもの未来を思うがゆえの気持ちでしょう。

しかし、その決定をするにあたっては、「この時期、子どもに何を学ばせたいのか」をしっかりと考えることが重要です。

受験前の1カ月、「学校生活での学びを捨ててでも全力で学力を上げることに集中する」という経験なのか、「学校生活も大事にしながら効率よく受験勉強を頑張る」という経験なのか。それぞれの経験には違った「学び」があるはずで、どちらがよくてどちらが悪いということはありません。

ただ、受験というのは何が起こるか分かりません。どんな結果も覚悟の上で「休む・休まない」の選択をしてほしいと思います。

例えば、全てを受験に捧げて落ちてしまった場合に、親子で「あれだけ全てを犠牲にしたのに」という気持ちになってしまわないか。もしくは「学校も受験も中途半端になってしまった」と後悔してしまわないか……。

これは、子どもが受験勉強や学校をどう捉えているかによっても変わってくるはずです。保護者は、そこを適切に見極め、判断してあげたいですね。

「最後の思い出作り」という教師のエゴ

教師時代に筆者が担任していた学校やクラスは、中学受験をする生徒がそこまで多かったわけではありません。しかし、受験に備えて3学期になると学校に来ない生徒がいました。

正直、筆者はその時、複雑な気持ちになったことを覚えています。受験という個人的なことに全ての時間を費やすのではなく、友達とのつながりを大事にして小学校生活最後の思い出を作ってほしい、学校生活の集大成をみんなで作り上げたい、などと思っていました。

今となっては、これは「教師のエゴ」だったと思います。その生徒にとって「学校での思い出作りが大事だ」と勝手に意味付けしてしまっていました。中学受験を控えたその生徒や保護者にとっては、また違った意味の3学期だったのでしょう。

しかしこの時、保護者が受験を通してその生徒にどう成長してほしいと思っているかを把握できていれば、休む生徒を心からサポートできていたのではないかとも感じます。教師と保護者がしっかりとコミュニケーションを取っていれば、その生徒の受験経験をよりいいものにしていけると思うのです。
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子どもが望めば、「全力で学力を上げることに集中する」ことを選んでもいい

子ども自身のエゴを保護者はしっかりと認識して

中学受験においては、自分自身で学校を休んで「受験勉強に専念したい!」と訴える子どもは少ないのではないでしょうか。どちらかというと、保護者の「こうしたい」という考えに影響されがちなのではないかと思います。

ただ、子ども自身が中学受験に対してどのような捉え方をしているのかは、とても重要です。

保護者が勧めるから、もしくは周りがやっているから自分も……といった軽い感じなのか、保護者から誘導されるのではなく、自ら受験したいといった強い意志を持っているのか。

前者の場合、保護者が「学校を休んで勉強すべき」としてしまうのは若干危険かもしれません。

受験がうまくいかなかった場合に、さまざまなものを犠牲にして頑張ったのに結果が出なかったことに対し、本人に悔いが残る可能性があるからです。

受験に対する子どもの気持ちや子どもにとっての学校の捉え方(楽しんで登校しているか否かなど)を踏まえて、小学校最後の3学期をどのように過ごすかを決めていくのがいいでしょう。
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どんな選択をしたとしても「等しく価値がある」

世間のエゴに負けない選択をするには?

中学受験に関することについて、世間ではよく「賛成か反対か」という二元論で語られます。SNSなどでもいろんな意見が飛び交っていますが、これはまさに「世間のエゴ」。

ここで大事なのは、中学受験をしてもしなくても、学校を休ませても休ませなくても、どんな選択をしたとしても「等しく価値がある」ということです。それが子どもの成長につながるという視点でなされたものであれば、どんな選択であっても尊重されるべきでしょう。

子どもに中学受験を経験させる保護者はこの視点を忘れず、世間を含めたさまざまなエゴが渦巻くこのイベントにおいて、俯瞰(ふかん)しながら選択をしましょう。

そうすることで、どんな選択をしたとしても自信が生まれ、親子でいい受験体験ができることと思います。
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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