株の長期投資はどのぐらいの期間行う?
「個別株の長期投資は、どれくらいの期間が望ましいのでしょうか。含み益のみでは、元本が大きくなるわけではないので」(30代)
株式投資にはさまざまなスタイルがあり、1日で売買を完結するデイトレーダーのような方もいれば、投資の神様バフェットのように「永久保有」をうたう方もいます。
あまりに人によってスタイルが違うので「どれが正しいの?」と悩む方も多いと思います。そこで本記事では、株式投資に望ましいタイムスパンについて、筆者の考えをまとめていきます。
短期投資と長期投資の違い
株価操縦などが行われる仕手株や、適正株価よりもはるかに高いハイリスクなバブル、その他の投機的な話は別として、株式投資では「短期」と「長期」で重視すべきことが違います。筆者の知る限りだと、短期投資は「ダメに見える会社が、ほどほどの会社に生まれ変わる」のを利用して儲けている人が多いです。
村上ファンドなど、いわゆる「物言う投資家」「アクティビスト」と呼ばれる投資家たちは、へっぽこな会社に投資をし、自らが事業経営に介入することで「ほどほどの会社」にして、株価が上がったら売る、というスタイルを繰り返しています。
「ほどほどの会社」に長期で投資しても得られる利回りは大したことにはなりませんから、あくまで当人は「ダメな会社を改革して儲ける」という、働く株主のような立場と言えます。
一方、長期投資は「素晴らしい会社が、素晴らしさを維持して長期的に栄えていく」のを利用して儲けている人が多いです。
投資の神様のように「永久保有」をうたう投資家は、ビジネスモデルが盤石な会社に投資をし、自らは何も口出しをせず「素晴らしい会社である限りは保有を続ける」ことで、何倍にも成長する会社に投資をしています。
これは「どちらが良い悪い」という話ではなく、運用スタイルの違いからくるものです。
短期投資家は「次々に投資先を乗り換えたほうが儲かる」からそのスタイルを選んでいますし、長期投資家もまた「今の投資先を長く持ち続けたほうが儲かる」からそのスタイルを選んでいます。
含み益は幻か?
重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、ご質問者さまが「含み益のみでは、元本が大きくなるわけではない」と書いている点は、これも投資先次第です。例えば、割高な株がさらに割高になる……いわゆる「バブル」のような状況では「含み益のみでは、元本が大きくなるわけではない」という話は理解できます。
一方、投資先の経営状態が劇的に改善してお金を稼げるようになったり、時間とともにゆっくり成長していって受け取れる配当が何倍にも増えたりして「投資先の価値が伸びている」のであれば、含み益もまた実体を伴っていると言えます。
株式投資の目的は「投資先から収益を受け取る」ことで、不動産投資や債券投資と同じです。受け取れる収益が増えれば株価が伸びるのも当然ということですね。
まとめ
話を戻すと、「投資に適したタイムスパンは、投資先の種類や、投資スタイルによって違う」ということです。だから、望ましい投資期間というのはなく「その都度、考えるしかない」というのが筆者の答えです。適したタイムスパンは「短期間でサクッと儲けて次に移るのが有利」か、はたまた「長期的に保有を続けて、ジワジワと複利で成長していくのを見守るほうが有利」かで違うということです。
筆者の知る限りでは、低PERや低PBR、高配当といった「割安株」は、短期投資に向いているイメージがあります。一方、高ROEで事業基盤が盤石な「高収益株」は、長期投資に向いているイメージがあります。
「短期でも長期でも儲けたい!」という場合は、素晴らしい事業基盤を持つ会社が、市場参加者から低く評価されている「割安なとき」に買うのが良いかと思います。これは、投資の神様バフェットが長年、実践してきた手法ですね。
ご質問者さまは個人投資家かと思いますが、「長期だから良い」「短期だから良い」と決めつけたりせず、「今の投資先は、どれくらいの投資期間が最も有利なのだろうか?」と考えて、その都度、ベストなタイミングを考えてみてはいかがでしょうか。