国際規格に準拠した信頼性の高い算定ツール
鈴木「『One Click LCA』の特徴は、大きく3つ挙げられます。まずCO2の排出量を非常に精緻に計算できること、次に国際規格ISOや70以上の国の基準に合っていること、そしてデータを建築業界の汎用システムやExcelから取り込み、効率のいい算定が実現できることです」
海外の主要国に比べると、日本の脱炭素への動きは大きく遅れています。『One Click LCA』の販売からしばらくは、建築業界の反応は鈍いものでした。
鈴木「世界中で広く普及していたこのソフトを、日本の実情に合わせて研究・カスタマイズして、2022年に販売をスタートしました。業界内で粘り強く説明を繰り返して、その必要性と認知が広がり、現在では多くのデベロッパーやゼネコン、設計事務所などに採用されています」
算定したデータの精度と信頼性は高く、国の補助金制度において算定ツールの一つとして認められるほどです。
鈴木「産業別CO2排出量の多くを建築関係が占めている現状で、もちろん住友林業だけの努力では限界があります。このソフトを活用して、いずれは脱炭素を考慮した設計が業界のスタンダードになることが理想だと考えています」
家を建てるときのCO2を数値化できる
家を建てたいお客様にも、ご自身が建てる家がどれくらい脱炭素に貢献しているかをイメージできる機会を用意しています。
岡本「住友林業の各展示場では、どのくらいの炭素固定(※4)ができているのかに加え、森林がどれだけ若返るのか(※5)などをシミュレーションした数値を掲示しています。また、お客様が家を建てる場合にも事前にシミュレーションをして資料をお渡しすることもできます」
暮らすときのCO2削減は、省エネ性能がお財布にも直結するので関心があっても、家を建てることが環境とどう関わっているかはわかりにくいものです。
岡本「展示場は、床材の風合いなどの木質感や、美しい空間デザインなどが魅力です。それに加えて、ご自身の家のCO2削減量が試算されることで、住友林業の木造住宅が環境貢献に役立っていることが実感できるので、興味を持っていただけることが多いです」
鈴木「CO2の数値化を通じて、環境に配慮した木の家を選び、そこに住むことに喜びや満足を感じていただければうれしいですね」
※4 炭素固定量はモデルプランの構造材、羽柄材、合板等を対象とした係数により算出。
※5 再植林相当面積はモデルプランの構造材、羽柄材、合板等を対象に50年生の植林杉林に換算。
パンフレットなどで脱炭素を知る機会に
『One Click LCA』のように業界全体に関わるツールの導入や、森を育てる、木の家を建てるなど、住友林業の脱炭素への取り組みは続きます。
鈴木「日本は、脱炭素への対応はまだまだこれからです。海外では法規制も進んでおり、CO2排出量を誰にでもわかるよう表示するのはいまや当たり前のこと。生活者の意識も高くなっています」
岡本「木の家と脱炭素についてより理解していただくために、楽しいイラストいっぱいの子ども向けの絵本や動画、わかりやすく説明したパンフレットなども用意していますので、ぜひご覧いただければと思います」
各地の展示場でも、住友林業の脱炭素への取り組みを詳しくご説明しています。木の家は住み心地のよさに注目されがちですが、未来の環境貢献への意味も感じていただけるのではないでしょうか。
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