人間関係

夫の手作り料理に「この世の中にこんなまずいものがあるのかと思うくらい」とダメ出しする妻

妻は、何事にも判断が早く、効率よく物事をこなしていく。ただ、子どもが大きくなっていくにつれ、その性格が衝突を生むようになり、夫の家事に不満を持ち、しつこく文句を言われるようになり……

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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妻の文句がいちいちしつこい。夫の手作りスープにもダメ出しの嵐が……

妻の文句がいちいちしつこい。夫の手作りスープにもダメ出しの嵐が……

家庭内で「しつこく文句を言われる」のは針のむしろにいるようなもの。キレてはいけないと思っても、ついキレてしまうこともあるだろう。男性がそうした場合、妻は「モラ夫だ」と反論することもあるので、さらに男性は肩身が狭くなると嘆く。 

もともと文句が多い妻

「うちは共働きなんですが、コロナ禍以降、僕はどちらかというと在宅が多い。妻は毎日、出社していますから、自然と家事は僕の負担が大きくなっている。それはいいんですよ。だけどいちいち文句を言われるのはちょっとつらいですね」

リュウイチさん(42歳)が結婚したのは9年前。相手は友人の飲み会で知り合った2歳年下の女性だ。交際7カ月のスピード婚だった。飲み会時に、彼は彼女に完全に魅せられたという。はきはきものを言う姿勢と、ふと見せた優しさが決め手だった。

「飲み会の時に僕がトイレに行ったら、女性用の方で彼女が見知らぬ女性を介抱していたんですよ。具合が悪くなった人と遭遇したようで。僕を見ると『お店の人を呼んできて、あと水を1杯もらってきて』と。水を飲ませて、店の人と相談して救急車を要請、彼女の友達に知らせていました。その決断がいちいち早くて……。

なかなかとっさの時にできることじゃないなあと思ったんです。彼女はそのまま飲み会の席に戻り、ごく普通に話していましたが、帰り際、僕のところに来て『さっきの女性、病院に搬送されて応急手当を受けているそうです。やっぱり急性アルコール中毒になりかけていたって』と。気になるから店の人に連絡をもらえるよう救急隊に頼んだそうです」

こんなに判断力があって優しい女性がいるんだと彼は、ぐいっと気持ちを持っていかれた。それからつきあってほしいと懇願、楽しいデートを数回したところでプロポーズした。彼女はすぐに妊娠、子どもは双子だった。

「どこまでも効率的な人間だなと自分でも思うと彼女は笑っていました。いっぺんに2人生まれるなんてうれしい、と。あっけらかんとしていて、物事をいいようにとらえるのも彼女のすてきなところでした」

2人で協力して育てていこうと話し合いながら出産を楽しみにしていた。生まれたのは双子の女の子。大変だったし、彼の親に協力を求めながらの子育てだったが、にぎやかで楽しい家庭になっていった。

急に見栄を張るようになった妻

子どもが大きくなっていくにつれ、妻の様子が少し変わっていく。それまで妻は「私は自分だけの人生を考えればよかったんだけど、子どもができるとそうはいかない。周りの子より優位な立場に置いてあげたい」と言うようになった。

「優位とかそういうのはやめようよと僕は言ったんです。彼女は負けず嫌いだから、若くしてキャリア的にもいいところにいっているけど、ゆっくり生きていくのが性に合う人もいるし、双子だからって同じスピードで歩いていけるわけでもない。個々の特長を伸ばしてあげるのが親の務めじゃないのかなと。すると妻は『あなたって本当に従順な人ね。何かに抗ったり闘ったりして生きてこなかったの?』って。なんかその言葉が地味にショックだったんですよね」

あ、こういう人だったのかと急に熱が冷めるような感覚があった。それからは心の中で、妻との距離がふっと遠くなった。

「何かが伝わったんでしょうか。それとも母になって強くなったからなのか、僕に対する文句が増えた。特に他の人がいる前では、けっこう強烈なパンチが飛んでくることもあります」

「この人、暇だからそのくらい……」

ママ友たちの前で、「おたくのダンナさん、よく子どもの世話をしてくれるわね」と言われた時、妻は「この人、暇だからそのくらいはしてもらわないとね」とさらりと言い、ママ友たちが吹き出していたという。

「これ、立場が逆で夫がそんなことを言ったら、もうママ友の前には行けませんよね。でも妻が言う分にはなんとなく笑い話で済んでしまう」

妻の両親が孫を見に家に来た時もそうだった。彼が腕によりをかけてごちそうを用意したのだが、おいしいと確信して出したポタージュを妻がこきおろしたのだ。

「ねえ、言っちゃ悪いけどこれ、まずいよ。離乳食じゃないんだから、もうちょっと味をしっかりさせてよと言ったんです。義父は糖尿病だと聞いていたし、薄味ながらおいしいと思ったんですが、『この世の中にこんなまずいものがあるのかと思うくらい、まずい』と妻。さすがに義両親が『そんなことないよ。素材の味が生きてるじゃないか』と言ったんですが、妻は『まずい』を連発、場の雰囲気が固まりました。

あまり何度も言うから『きみは食べなくていいよ。まずいって言うと子どもたちまで反応するからやめてくれないかな』と静かに小さい声で言ったんです。すると妻は『まずいものはまずいもん』とポタージュの入った皿をそのままシンクへガシャンと置いて。『人が作ったものに、ネチネチ文句を言うな』と思わず言うと、妻はそのまま自室にこもってしまったんです。義両親が謝ってくれたけど、子どもたちも固まっていた。結局、その場は僕が謝って妻に部屋から出てきてもらいましたが、屈辱でしたね」

僕を貶めて見栄を張る妻

普段の妻は、彼が作る料理にそれほどしつこく文句は言わない。味が薄い、程度のことは言うが「まずい」という直接表現はしない。それも義両親に見栄を張ったからではないかとリュウイチさんは考えている。

「ただ見栄を張るというよりは、自分の見栄のために僕を貶めるのがつらいですね。妻からは『あなたはほんとに器の小さな人ね』と言われました。大ゲンカになるのは避けたいから言い返すのはやめたけど……」

きちんと話し合った方がよさそうだが、言葉のやりとりでは妻に負けると分かっている彼は、冷静に話し合える勇気が出ないとため息をついた。
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