食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」。そのメリット・デメリットは?
ベジファーストとは、食事の際、最初に野菜を食べることを推奨する食事法を指します。「ベジタブル(野菜)+ファースト(最初)」の合成語です。
まず野菜、特に食物繊維が豊富な葉物野菜を食べ、その後にタンパク質や炭水化物を取るように意識して食べることで、糖尿病や生活習慣病の予防・管理の効果が期待されています。
では、なぜ最初に野菜を食べるのが良いのでしょうか? その理由は、血糖値の急激な上昇を抑える効果があるからです。分かりやすく解説します。
ベジファーストの効果は? 糖尿病や肥満予防に有効と考えられる理由
食事を取ると、炭水化物が消化・吸収され、血糖値が上昇します。特に糖質が多い食品では、血糖値は急激に上がります。この急上昇は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの過剰分泌を引き起こし、インスリンの効き目を悪化させ、体脂肪の蓄積にもつながってしまいます。一方で、「ベジファースト」で、野菜を最初に摂取すると、野菜に含まれる豊富な食物繊維が、糖質の消化・吸収をゆるやかにしてくれるのです。その結果、食後血糖値の急激な上昇が抑えられます。また、インスリンの分泌負担が減るため、糖尿病の予防や肥満管理にも効果が期待できます。以下で、ベジファーストのメリットとデメリットを解説します。
ベジファーストの3つのメリット
1. 食後血糖値の急上昇を抑えるベジファーストの最大の利点は、食後血糖値の上昇を緩やかにすることです。これにより、長期的な血糖コントロールの改善や糖尿病の合併症予防が期待できます。
2. 体重管理への貢献
血糖値が緩やかに上昇することで、インスリンの過剰分泌を抑え、脂肪蓄積のリスクを軽減します。その結果、体重管理がしやすくなります。
3. 栄養バランスの改善
野菜を優先して取ることで、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に摂取でき、不足しがちな栄養素を補いやすくなります。
ベジファーストの3つのデメリット
1. 忙しい日常では実践が難しい外食時や忙しいときには、野菜を先に食べるルールを守ることが難しい場合があります。家庭での食事でも、野菜を常に準備して、最初に食べやすくするには、少し手間がかかります。
2. 味や調理法に飽きやすい
生野菜をひんぱんに食べると、味や調理法が単調になりがちなため、飽きてしまうことがあります。キャベツの千切りを最初に食べる健康法に励んでいた方が、「キャベツの千切りは見るのも嫌だ」と言うことも珍しくありません。
3. 高齢者の栄養バランスの悪化
高齢者は食が細いため、野菜でお腹が満たされてしまい、肉や魚などのタンパク質が不足しがちになることがあります。これが原因で、栄養バランスが崩れる恐れもあります。
簡単で続けやすい「改良版ベジファースト」のポイント・従来の方法との違い
そこで、筆者がおすすめしたいのが、改良版のベジファーストです。従来の「野菜だけを最初に食べるベジファースト」から、最初に野菜と主菜(肉や魚などのおかず)を一緒に食べる方法に変えてみましょう。「野菜+主菜」から食事を始め、野菜を食べ終えたら、次に「主食(米やパン)+主菜」を食べるスタイルです。従来のベジファーストとの違いは以下の3点です。
1. 飽きずに食べられる
野菜だけでは味や食感が単調になりがちですが、主菜と一緒に食べることで飽きることを防げます。例えば、焼肉屋さんで葉野菜のサンチュだけを食べるのは大変ですが、焼肉を包んで食べるとおいしく感じるのと同じです。
2. 主食の食べ過ぎを防げる
改良版ベジファーストでは、野菜と主菜を最初に食べるため、野菜を食べ終えた時点で主菜が減っています。その結果、主菜と一緒に食べる主食(米やパン)の量が自然と抑えられます。これにより、食後血糖値の急激な上昇を防ぎ、肥満予防にも効果的です。
3. 高齢者の栄養バランスが改善できる
野菜と主菜(肉や魚)を同時に食べることで、タンパク質の不足を防げます。特に高齢者の場合、栄養バランスの改善やフレイル予防につながります。ただし、胃腸への負担が大きくならないよう調整が必要です。
おわりに
改良版ベジファーストは、野菜ばかりで飽きることを防ぎつつ、その後の主食(お米など)の食べ過ぎを抑えることで、糖尿病や生活習慣病の改善・予防・管理に役立つシンプルな方法です。血糖値の急上昇を抑え、健康的な食事習慣を身につける大きな助けとなるでしょう。
ただし、重要なのは食事全体のバランスを整えることです。無理のない範囲で実践してみてください。この内容が健康への一歩を踏み出すお手伝いになれば幸いです。