「キラキラ女子」の生態
「私の同級生にもいましたよ、こういう女性」小中学校時代は地元の公立で過ごし、何の間違いか高校時代を「お嬢様学校」として有名な私立の女子校で過ごしてしまったというミドリさん(40歳)。高校時代の仲間と会うと、不惑を迎えた今でもみんな「キラキラ女子」だと話す。
「みんな小学校からその女子校育ちなんです。だけど私自身は借家暮らしだったし、全然、裕福な家庭ではなかった。ただなぜか、母親が住まいはともかく、ひとり娘には親自身の満足のいくような環境を与えたかったんでしょう、高校受験をしてみろとうるさくて。それで受けたら受かってしまった。下から上がってきた内部生の子たちは、みんなキラキラしていました」
ただ、そのキラキラには2種類あるような気がするとミドリさんは言う。代々、いわゆる「良家」のお嬢さんとして育ってきた人と、「言葉は悪いけど成り上がり的な」家の子。祖母も母もこの学校を出たという人もいれば、父親がバブルで大もうけをしたから「娘を私立にやりたかった」と言われて受験した人もいたそうだ。
「前者のキラキラは落ち着いているんですよね。自己肯定感も高い。今はみんな、それなりの家の奥さんにおさまっていたり、あるいはバリキャリの道を行ったり。後者は波瀾万丈の人生を送っている人が多いかもしれない……」
本物のキラキラと“じゃない”キラキラ
本物のキラキラと虚飾のキラキラ。本人たちがどこまで意識しているのかは分からないが、ミドリさんも友人がSNSにアップしている写真を見て、たまに噴き出すことがあるという。「つい先日会ったばかりの友人が『今日はデート』と、あたかも夫とラブラブみたいな写真をアップしていたんです。だけど彼女は夫とは険悪で、今は若い男の子に夢中だと告白されたばかり。デートの相手は夫ではないんです。『ダンナさんとラブラブ、いいね』というコメントには『ふふふ』と意味深な返信をしている。まあ、彼女の夫は見てないんでしょうけど、そういうキラキラもあるんだなと考えさせられます」
30代後半から整形にはまり、大金をつぎ込んで「美女」に変身した友人もいる。もちろん、整形のことは秘密にして、「美容にはまってまーす」とキラキラ生活を発信しているそうだ。
承認欲求にしろ自己顕示欲にしろ
「痛いなあと思う半面、キラキラ女子たちって虚飾であっても楽しいんだと思うんです。見栄を張って、それをクリアしていくことにある種の達成感もあるでしょうし、知らない人にいいね、すごいねと言われるのは気持ちいいはず。承認欲求にしろ自己顕示欲にしろ、やりたいようにやっている人は見ていてすがすがしいですよ」確かに鬱々と過ごすより、パッと明るくキラキラ生活を見せてしまう楽しさはあるのかもしれない。たとえそれが虚飾であっても。
「ただ、私みたいな面倒くさがりからすると、そういう生活を持続させるのも、モチベーションを保つのも大変だろうなと思います。フットワークが軽くないといけないし、流行に敏感でなくてはならない。友達付き合いも幅広いでしょうしね。私は夫と、子ども2人を育てる地道な今の生活が、一番自分に合っていると思っています」
人生いろいろ、華やかな道へのし上がっていきたい人もいれば、地道な生活を楽しむ人もいる。何が自分に合っているかを見極める目が必要なのかもしれない。