「NISAは詐欺?」って本当なのか

NISAってやっぱり詐欺だったの?それって本当?
特に2024年夏に株価が大暴落した際に、SNSを中心に「NISAは詐欺」という言葉が飛び交いました。
日経平均株価が4400円を超えるかつてない大幅下落となり、NISAで買っていた株を低い値段で売ってしまい、「損をした、詐欺だった」と感じた人もいるかもしれません。
投資をしていなくても、SNSで誰かのそんな嘆きを見て、「やっぱりNISAは詐欺だったのか……」と思った人もいるのではないでしょうか。「株価が上がると思っていたのに、予告もなく大暴落した」「株で大きな損を出した人がいる」ということは……NISAは詐欺なのでしょうか。
「NISAは詐欺」と言えるケースとは
そもそも“詐欺”とは、相手に嘘をついて困らせたり、お金をだまし取ったりすることです。ここでポイントとなるのは「嘘をついて」というところでしょう。
では、NISAから、「嘘をつかれたかどうか」を考えてみましょう。
NISAは、「投資で利益が出ても、20.315%の税金がかかりませんよ」という制度です。
したがって、NISAが詐欺と言えるケースとは、「利益が出て、税金がかからないと言っておきながら、結局税金がかかった」というケースとなります。
税金がかからないと言ったのに、税金がかかったら、「なんだ! 嘘だったのか!」と憤慨すると思います。
●実際に憤慨しているコメントの真相は……?
ところが「NISAは詐欺だ」というコメントをのぞいてみると、「税金がかかった」と憤慨しているのではなく、「値下がりをして損をした」という憤慨です。
つまり、NISAの制度自体は関係がなく、NISAで商品を売買したタイミングによって損が生じてしまったわけです。
またこれまでにも、「NISAで利益が出たのに、税金がかかった」という話は一度も聞いたことがありません(そんなことがあっては大問題です)。
この話から、NISAについては、詐欺ではないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
NISAで損をしないためには?
NISAが詐欺ではないとはいえ、投資をする場合に、できるだけ損をしたくないのは、誰もが思うことですよね。では、NISAの制度を使って投資をして、損をしない方法はあるのでしょうか。NISAで投資できるのは、株や投資信託など値動きのある商品で、いずれも元本保証の商品ではありません。
定期預金なら、あらかじめ金利が決まっていて、満期まで待つと利息が何円つくかが分かります。元本が割れてしまうこともありませんし、万一銀行が倒産しても、1000万円の預金元本とその利息までは保護されます。
株や投資信託など値動きがある商品だと、商品の値段がいつ上がって、いつ下がるのかは誰にも分かりません。売買のタイミングによって増えることもあれば減ることもあるので、「絶対に損はしない」とは言えないのです。したがって、損をしない方法はないかもしれません。
しかし損が大きくならないようにすることはできます。ここは「大損しない」ための方法を考えることが得策でしょう。
●「大損をしない」ための方法1:値動きがあるさまざまな商品を買う
投資をする際に、何か1つの商品にまとめて投資をすると、その値動きに大きく依存してしまいます。A社の株だけを大量に買っていると、A社が倒産したら資産を失ってしまいます。
そんなリスクを抑えるためには、値動きがあるさまざまな商品を買い、分散投資をするとよいでしょう。
●「大損をしない」ための方法2:買う時期を複数回に分散させる
また、繰り返しになりますが、値段の「高い時期」「安い時期」を、事前に知ることはなかなかできません。そこで「高い時期」に買ってしまうことを避けるために、買う時期を複数回に分散させることも大切です。
手っ取り早く買う時期を分散させるには、積み立てを設定して、自動的に毎月買っていくと手間がかかりません。
●分散がしやすい商品は?
「値動きがあるさまざまな商品を買う分散」「買う時期を分散」という両方の分散がしやすい投資商品には、「投資信託」が挙げられます。
投資信託とは、投資家から集めたお金を、運用のプロが株や債券などさまざまな商品に分散して投資し、利益を投資家に分配する金融商品です。
投資信託は月1000円や3000円などから購入して積み立て(=買う時期の分散)ができますし、幅広い商品に分散して投資ができるので、初心者の方も始めやすいと思います。投資信託は、投資初心者のみならず、投資中級者・上級者の方も活用している商品です。
まとめ
「NISAは詐欺」というのは間違いということが、お分かりいただけたでしょうか。NISAは、利益が出たら20.315%の税金がかからないという点がお得な制度だと思います。
10万円の利益が出た場合、通常なら税金が引かれて8万円ほどの利益しか受け取れませんが、NISAでの投資なら、10万円をまるごと受け取れるからです。
また積み立てであれば、大きな値段の下げがあっても怖くならず、勝手に毎月買い付けてもらえるので、むしろ下がったときにも自動的に買ってもらえる可能性があります。
まずは、月1000円や3000円などからでも、NISAで投資信託の積み立てを試してみてはいかがでしょうか。