夫からの何気ない一言で気が付く、夫の心理
夫が言いがちな「軽い気持ちから出た軽い言葉」
「とうとう離婚騒動にまで発展したのは、夫の“軽い一言”でした。夫にとっては軽くても、私には重かった。結婚生活は続けていますが、気持ちは以前とは違います」深刻な表情でそう言うミチコさん(42歳)だ。結婚して12年、12歳と9歳の子がいる。3歳年上の夫とは職場結婚だった。夫の押しの強さにミチコさんが負けた形だったという。
「私は仕事をしたかったんです。でも夫は『僕の妻、そして将来の子どもの母親はきみしかいない。仕事は子育てが一段落してからもう一度チャレンジしても遅くないよ。全面的に協力するから』と言ってぐいぐいきました。そこまで求められたことがなかったので、私もついふらふらと……。彼は職場では際立ってデキる人だったし、人の話を聞かないタイプでもなかった。ちょうど30歳になる年だったし、親も結婚したらどうかとうるさかったし」
職場での彼を見ていて、人として信頼していたから、半年ほどの交際で結婚を決めた。その時にはお腹に新たな命も宿っていた。
「彼はとにかくいったん、仕事は辞めて家庭の基盤を作ってほしいと言っていました。それには一応、納得したふりをしたんですよ。ふり、というか、こういう幸せもあるんだと自分に言い聞かせていたような気がします」
「家事育児をきちんとやった上でなら」って
息子が生まれ、保育園に預けて仕事を探そうとしたが、近隣の保育園には空きがなかった。ミチコさん自身も子どもがかわいくて離れがたかった。夫は「何があっても生活に不安は持たせない」と言い切っていたし、専業主婦もいいかなと思うようになったそうだ。「3年後に娘が産まれ、忙しくしていたらいつの間にか30代後半。このままでいいのかなと思うようになりました」
夫の実質賃金も上がってはいない。いつか家を買いたいという夢も先送りのままだった。そこで娘が小学校に上がったのを機にパートに出た。
「夫にもそう伝えたら『家事育児をきちんとやった上でなら』って。そこで何かカチンときたんですよ。稼ぎが少ないからと言いたかったけど、それは夫のせいではないし。子どもたちの教育費もかかるからねと言うと、『家できちんと勉強すればいい』と。現代の教育環境を分かってないなと思いました」
夫は家事も育児もほとんど手を出さない。頼めばやってくれることもあるという程度だ。
パート先で土日の出勤を打診されて
ミチコさんは、夫と自分の向いている方向が違うような気がしていた。夫は家庭はきみに任せるというスタンス。話を聞くことは聞くが、いつも「オレには細かいことは分からないから、任せるよ」と締めくくる。「始めてみたらパートであっても、やはり仕事は楽しいなと思いました。半年で時給が少し上がって、期待していると会社にも言われて、私個人が認められる喜びを感じたんですよ。子育てで褒められることなんてまずないし、家事に至っては完璧で当然だから」
パートを始めて1年後、土日の出勤を求められた。どうしても社員の都合がつかず、イベント出店に人数が足りない。かといって急なアルバイトでは行き届かない。パートさん何人かにお願いしたいのだが、絶対に頼みたいのがあなたですと上司に言われた。
「褒められて図に乗っておかしいよ」
それを意気に感じて、ミチコさんは出勤すると約束、その夜、夫に「来週の土日、空いてる?」と聞くと「空いてるよ。なんで?」と返ってきた。詳細を話すと、夫は表情が変わった。「『どうして週末出勤までしないといけないんだ。しょせんパートだろ。どうせ、きみがいたってたいした戦力になるわけもないし』と言ったんですよ。ショックで思わず黙り込むと、『きみもきみだよ、そんなこと安請け合いして。都合よく使われるだけだ。褒められて図に乗っておかしいよ』って。どうせパートなんだから、適当にやって時給もらってればいいのにとまで。この人、おかしいと思いました」
妻を軽んじているのはもちろんだが、夫の勤務先だってパートさんがいる。夫はパートの主婦をそんな目で見ていたのかと、夫の人間性そのものに疑念を抱いた。
「結局、週末の仕事に行きました。近所のママ友が『うちで夕飯食べていいよ』と言ってくれたので、子どもたちは昼からその家に遊びに行って、そのまま夕飯をごちそうになって。夫は家に1人でいたようです」
子どもも今や小学生、一緒に留守番をするなりどこかへ連れていくなり、夫には父親としてできることがあったはず。それなのに、頭ごなしに妻を批判してくるのはどう考えても解せないと彼女はふつふつと怒りを覚えていった。
妻大爆発! 夫に家計の実態を見せつける
「このままの気持ちではいられない。ある日、夫に家計簿を見せ、今後を考えるとお金が足りないこと、子どもたちには望む環境を整えてやりたいこと、さらには仕事をして自分が蘇ったような気持ちになったことをぶちまけました。『生活費のほとんどはオレの金だろうが』と言い出したので、そんなことまで言うなら離婚する、あなたに養ってもらうより生活保護でももらったほうがずっとマシだわと叫んでしまいました」ずっと心の奥にためこんでいた、ミチコさん自身も気づかなかったような怒りが沸騰したのだろう。夫は唖然としていたそうだ。
「しばらくたって、夫が『いろいろ任せすぎたのは反省してる。オレは離婚する気はない』って。だけど夫婦関係を修復しようというところまでは言いませんでした。結局、オレの金だろ、という気持ちは変わってないんでしょうね。それは事実だけど、本人が言ったら終わりの一言ですよね」
自分がどれだけ軽く見られているか、「しょせん」と「どうせ」でよくわかったと彼女はため息をついた。