韓国農林畜産食品部の報道資料によると、2024年10月末時点でのラーメンの輸出額は2023年より30%増の10億2000万ドルと、過去最高の輸出額を達成したとのこと。
そういえば日本の食品販売店でも韓国ラーメンを以前にも増してよく見かけるようになった。しかも販売されている商品は実に多様。そこで、数ある商品の中から、韓国在住の筆者が個人的に好きな“推しラーメン”を独断と偏見に基づいて紹介しよう。
1:オモリキムチチゲラミョン(オモリキムチチゲラーメン/오모리 김치찌개라면)
好きな韓国料理を聞かれたら真っ先に「キムチチゲ」と答える筆者。だからまず、このラーメンを紹介したい。2014年GSリテール社から販売されたこの商品は、有名キムチチゲフランチャイズ店と技術提携して作られた一品。韓国内ではGSリテール社系列のコンビニ「GS25」と「GS THE FRESH」を中心に販売されている。GS25では、「ブルダックポックムミョン」や「辛ラーメン」などを抑え、販売数No.1を維持し続けているほどの人気だ。
粉末スープとは別に、熟成キムチ入りの液体スープ付きという点で他のキムチ系ラーメンと一線を画している。インスタントとは思えないほど深みのある濃いスープはまさにキムチチゲのそれ。
実は相当なナトリウム含有量があることを知りつつも、その事実には思いっきり目をつぶり、「こんなにおいしいものが食べられるなら!」という一心で最後の一滴まで飲み干してしまう。
韓国ラーメンは卵と相性がいい。しかしこの商品だけは別だ。普通キムチチゲに卵は入れない。卵を入れると本来の味が失われてしまう。インスタントラーメンとはいえキムチチゲ味の商品なのだから、やはり卵は入れずに付属のトッピングだけで食べることをおすすめしたい。
韓国のインスタントラーメンはどれもかなりおいしいと思う。が、これよりおいしい商品を筆者はまだ知らない。
2:チャムケラミョン(チャムケラーメン/참깨라면)
1994年にオットゥギという有名食品会社から販売され、今日まで安定した人気を誇っている。この商品の最大の魅力は何といっても“香ばしさ”だ。筆者はこの黄色いパッケージを見るだけで、むくむくと食欲が湧いてきて唾が溜まる。パブロフの犬といったところだ。
商品名の通りチャムケ(ごま)の風味がふんわりと漂い、口の中に香ばしさが広がる。フリーズドライブロックの卵が付いているのが特徴で、ごま風味のスープとふんわりした卵がとてもよく合う。
鍋でゆでる袋タイプを食べるなら、付属のフリーズドライの卵はあえて使わず、生卵を割り入れて作ることをおすすめしたい。おいしさレベルが格段に上がる。
3:キムチラミョン(キムチラーメン/김치라면)
キムチラミョンと名がつく商品は、複数の食品会社から販売されているが、もちろん全て味が違う。筆者のおすすめはオットゥギ社のもの。キムチ特有の酸味と甘みが調和したキムチ味スープが美味。トッピングのわかめがちょっとした味のアクセントになっている。が、粉末スープに申し訳程度に含まれているだけで、わかめやキムチのフリーズドライブロックが入っているわけではない。
よくいえば、乾燥わかめやキムチを追加投入し、自分好みのバランスで食べられるという都合よさがある。ピリリとした辛さなので、卵を落として少しマイルドにするのもよし。キムチ好きさんにはぜひ一度食べてほしい。
4:ジンラミョン(ジンラーメン/진라면)
オットゥギが販売する人気ラーメン。1984年に別会社が生産販売を始めたが、1987年にオットゥギが買収し、以後何度かパッケージデザインをリニューアルしながら今日に至る。唐辛子粉ベースのスープが多い韓国ラーメンの中では、スタンダードな味で価格もお手頃。国民的ラーメンの座に君臨している。
多くの人がこのラーメンを選ぶ理由に、“マイルドな味”と“辛い味”の2バージョンあることも挙げられる。子どもや辛いものが苦手な層にはマイルドな味が人気。とはいっても“激辛ではない”というだけで、実際にはそこそこの辛さ。辛いもの慣れしていない日本人には十分辛いレベルということをお伝えしておこう。
付属の乾燥トッピングだけでもおいしいが、その他の野菜との相性もいい。卵を割り入れ、キャベツなどの具をたっぷり入れて食べるのがおすすめ。
5:ココミョン(ココ麺/꼬꼬면)
このラーメンが販売されるに至った経緯は一風変わっている。2011年にあるバラエティー番組内でラーメン料理大会が行われたのだが、あるタレントが作ったというこのラーメンがかなりおいしいということで、食品会社パルドが同年商品化した。タレントは、祖母が作ってくれた鶏煮込みスープにインスピレーションを受けて作ったと話しており、番組内で準優勝している。韓国ラーメンとしては珍しく、スープはやや透明感ある白色。これまで紹介してきたラーメンの中で唯一赤くないラーメンだ。
だからといって辛くないわけではない。激辛で有名な忠清南道・青陽郡産の青陽(チョンヤン)唐辛子が使われているだけあって、一口食べるだけで舌がヒリっとくる。
でもこのラーメンの魅力はそこにある。コクがある鶏ガラベースのスープは、いうなればみそ汁ではなくすまし汁のようなもの。あっさり、さっぱりしている。そこに青陽唐辛子が入ることで引き締まった味に仕上がっている。韓国のインスタントラーメンとしては珍しいタイプの風味だ。 あくまで筆者の嗜好に基づいた紹介ではあるが……韓国ラーメン、種類が多すぎて何を買うか悩むという人は、とりあえずこれら5つのうちからトライしてみるのはいかがだろう。
作り方にこだわりがある?
ちなみに韓国ではインスタントラーメンの作り方にこだわりを持つ人が多い。「乾麺は2つに割ってから入れるか、割らずに入れるか」「スープの素は最初に入れるか、ある程度麺がゆだってから入れるか」「湯に入れた麺はほぐすか、ほぐさないか」など。作り方を巡って仲間うちでちょっとした議論が展開されることもしばしば。 皆それぞれ自分のスタイルを持っているのだ。ということで、最後に筆者の作り方を述べて終わりにしたいと思う。
湯は少なめに。乾麺は割らずにそのまま入れる。麺の表面が少しふやけてきたら粉末スープをイン。卵を割り入れる。卵の表面に火が通るまで待ってから、麺と卵を箸で軽くほぐす。ゆで時間は短めに。麺がやや硬めの状態で火を消して器に入れる。いただきます。