韓国

「韓国の駐車場」事情!そんなに大きな声で聞かなくても…日本人が赤面した駐車場での暗黙のルールとは

韓国での運転は日本以上に難しい。大通りはともかく、路地となるとかなりの運転技術を要する。道の両脇に路上駐車車両がずらりと並んでおり、もともと狭い道がさらに狭くなっているのだ。駐車場も足りていない。でもだからこそのサービスもある。韓国の駐車事情を解説する。

松田 カノン

執筆者:松田 カノン

韓国ガイド

実は筆者、韓国の運転免許証も持っている。ただ、日本で免許を取得して以来、ペーパードライバー歴を更新し続けている身のため、路上デビューするにあたって、教習所の個人指導を2週間ほど受講した。そしていざ韓国でも運転をするようになったのです! ……と言いたいところだが、ほどなく諦めた。日本で教習所に通っていたときすでに運転センスの無さを感じてはいたが、韓国では日本以上のドライビングテクニックが必要であることを悟り、これはもう自分の能力では無理だと判断したのだ。
韓国の駐車場事情

どこの駐車場もすぐに車でいっぱいになってしまう。仕方なく路上に停めることに……

 

路上駐車が多い理由

韓国はとにかく路上駐車が多い……

路上駐車の列

韓国の路面の状態自体はとても良い。しかし、とにかく路上駐車が多い。細い路地の両側に駐車車両がずらりと並ぶ。そんな状況でも、容赦なく前方から対向車両がやって来る。ぶつからないように通り過ぎるには、それなりの技術がいる。運転を諦めて助手席専門になった筆者は、いつも友達やタクシーの運転手さんが、熟練の技術でひょいひょいと通り抜けていく様子を眺めながら称賛を送る。とても筆者にはできない。
 
韓国で路上駐車が多いのは、 自家用車購入の際、「車庫証明」が義務付けられていないからだ。 車の数だけ増えていき、駐車場は圧倒的に足りていない。だから運転手にとっては、どこに行っても駐車スペースを確保することはかなりのストレスだ。だからといって車庫証明が実施されると、気軽に車を購入できなくなるし、マンションの駐車場の利用制限、有料化などの憂慮などもある。自動車業界も販売促進の意味で反対の立場だ。ただ、済州島だけは、2022年から車庫地証明制が導入された。これは長年の世論の反対にあった末の実現だった。
 

慢性的な駐車場不足

韓国のマンション地下駐車場

駐車場として指定されていない場所にも車が並ぶ。夜になるとマンションの地下駐車場は車であふれかえる

韓国国土交通部が2023年7月20日付で発表した報道資料によると、国内自動車登録台数は2576万台で、人口1.99人当たり1台を所有していることになる。でも別に驚かない。道路の両脇に並ぶ路駐の車の量を見れば、それぐらいにもなるだろうことは予想できる。

マンションの地下駐車場は平日夜8時を過ぎると、駐車スペースがなくなってしまう。住民なのに停められない。そうなると仕方がないので、駐車してある車の前に停める。その代わり、奥の車がいつでも出られるように、サイドブレーキは引かずにおく。そうすることで、誰でも手で押して動かせるというわけだ。これは二重駐車が当たり前の韓国では、もはや運転手のマナー、常識とも言える。
 

定番のカーアイテムとは

表示プレート

ダッシュボードに置いて使う携帯電話番号の表示プレート。韓国ではどの車にも表示プレートが置かれており、そのデザインもさまざまだ。写真はスターバックス コリアから販売されているもの

さらに、車のダッシュボードには携帯電話の番号をフロントガラスからよく見える位置に置いておくのも常識。車から離れている間に、他の人から車両をどかしてほしい、といった連絡が来ることもあるからだ。そのため、韓国のカーアクセサリー販売コーナーに行くと、必ずこの携帯電話の表示プレートが販売されている。

ちなみにスターバックス コリアからも表示プレートが発売されているほど、韓国ではスタンダードなカーアイテムである。個人情報を露出して大丈夫かって!? もちろんそれも大切だが、それ以上に駐車事情を少しでも円滑にする方を優先しなくては、という意識だ。

韓国ならではのスタンダードなカーアイテムといえば、車のドアの横に貼るスポンジも外せない。ドアを開けたときに隣の車のボディーを傷つけないようにするためのものだ。何しろ隣の車両との距離が狭い。ドアを開けた途端“ガツン”となってトラブルにならないようにするための防衛策だ。
 

バレーパーキングは身近なサービス

韓国ではよく利用されるバレーパーキング

バレーパーキングというと、高級店で行われるサービスというイメージがあるが、韓国では身近なレストランでも駐車場管理のためによく行われている

自宅マンションの駐車場も混雑するのだから、その他の場所での駐車も大変だ。そんなこともあって韓国では、車を鍵ごと預けて係員が駐車場の出し入れを行ってくれる「バレーパーキング」のサービスは一般的なものだ。デパートやホテル、空港はもちろん、遊園地などでも導入されている。

特によく見かけるのはレストランだ。駐車場があるレストランには、だいたい駐車場担当の係員がいる。なるべくたくさんの車を効率よく停めるべく、駐車場に入ったら係員に車のキーを渡して、自分たちは降りてそのまま入店する。係員はお客さんの車を空いている場所に停めるだけでなく、他の車の出入りのため、何度も出し入れを繰り返すこともある。食事をして店を出る際、すぐに出られる位置に駐車してあればそのままキーを返してもらう。駐車場の奥の方にある場合は、係員が何台か車を動かし、奥から出してくれる。レジの後ろの壁に車のキーがずらりと掛けてある店があるが、それはお客さんから預かったキーだ。
 

駐車場での暗黙の了解

韓国の駐車場事情

ラインがあっても、混雑時には関係なく何重にも停めていく駐車場もある

ついこのあいだ、あるモーテルの前を通りかかったときのことだ。モーテルの前の敷地が駐車場スペースとして使われているようで、係のおじさんが一人座っていた。若いカップルが車から降りてきた。そして仲むつまじくモーテルの入り口に入っていく二人の背中に向かって大きな声で叫んだ、「宿泊かい? 休憩かーい?」。男性が答えた、「休憩でーす」。おじさんはじゃあ、いいや、というような様子でまた椅子に腰かけた。この短い会話の意味がお分かりだろうか。

モーテルは韓国では出張や旅行の際にも利用されるが、日本でいうラブホテル的な存在でもある。つまり駐車場を管理するおじさんの立場としては、数時間だけ利用する休憩なら、車は手前に停めておいてもらっていいけど、宿泊なら今日は車を出さないだろうから二重駐車状態にして奥の方に停めておきたいんだよ、という事務的な意味がこめられているのだ。男性もそれが分かっているから、不躾(ぶしつけ)にも思えるこの質問にあっけらんかんと答えるのである。それにしても、道すがらこちらが赤面してしまった。何もそんなに大きな声で聞かなくても……。
 
日本とは随分と違う韓国の駐車場事情、旅行で来るぶんには特に知っておく必要もないが、駐在や移住などで韓国に来る人は前もって知っておくと役に立つかもしれない。筆者のように運転はやめて、助手席専門になる、という選択肢もありますよ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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