人間関係

「僕はあなたに“特別なこと”をしている」から生活費は出さない?12歳年下夫の呆れた主張

一回り下の夫のプロポーズを「年上だから」という理由で何度も断ったが、折れて結婚をした。しかし、いざ結婚をしてみると「結婚してやった」「相手にしてもらっているだけありがたいと思え」というような態度が透けて見えるようになり、2年で破局。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

熱烈にプロポーズをされたので結婚したのに、実際は……

熱烈にプロポーズをされたので結婚したのに、実際は……

妻が年上の夫婦は若干増えている印象があるが、それでも一回り以上違うと、結婚する時点でいろいろ不安はあるようだ。自身が先に老いていく、自分が更年期の時に夫はまだまだ若い、同世代やもっと若い女性に目移りするのではないか、などなど。ただ、実際に結婚してみないと分わからないことも多い。

一回り下の彼にプロポーズされて

「私は断ったんです、何度も。20代で結婚して離婚して、私は結婚に向いていないと分かっていたから。それでも彼は『従来の結婚生活を踏襲する必要はない。僕があなたと一緒にいると幸せなんです。だから僕は何でもします』としつこかった。部署は違うけど同じ会社だったし、彼の人となりは分かっていた。一緒にいると楽しいのは私も同じ。でもきっと彼はいつか他の誰かを好きになって去って行く。そう思っていました」

アヤさん(47歳)が、それでもあえて結婚に踏み切ったのは、彼女自身が彼を好きだったから。たとえ最後は彼に裏切られたとしても、楽しい夢を見られればいい。そんな達観した気持ちがあったからだ。

結婚したのはアヤさん40歳の時。彼は28歳になったばかりだった。彼女が離婚後に購入した2LDKのマンションに、彼が越してくる形で生活が始まった。一部屋は荷物置き場のようになっていたから、そこを片づけて彼の部屋にしたのだそう。

「結婚するつもりはなかったけど、親がどちらか1人になったらとか、フリーランスで仕事をしている妹が食い詰めたらとか、そんなことも考えて2LDKを買ったんです。リノベーションのマンションだから、そんなに高額でもなくてローンを組めば何とかなるという感じだった」

「僕はあなたに“特別なこと”をしている」

彼は越してきたその日、「居候みたいで申し訳ないから、僕の家賃を払う」と言った。アヤさんは、彼がそんな緊張感をもっていることがうれしかった。だから数万円の家賃をもらうことにした。

「だけど彼はそれ以外、生活費を出そうとしなかったんです。家計費はどうするつもりなのと聞いたら、『だってあなたは僕よりずっと稼いでるでしょ』とニッコリ。『僕はあなたに特別なことをしていると思ってるから』って。セックスのことなんです。

確かに体が合うと思っていたけど、彼が一方的に私に奉仕しているわけではないし、互いに気持ちよくなりたいねという話のはずだった。なのに彼は、あたかも僕がいなければあなたは誰にも相手にされないでしょというような感じだったんです。彼はそのつもりじゃなかったかもしれないけど、家計費の話にセックスを引き合いに出したのだから、私がそう受け取っても不思議じゃないですよね」

これに彼女は一気に冷めてしまった。彼と体を合わせても虚しいだけだった。気持ちが上がらなくなった彼女に、彼は「最近、感じないの? 更年期?」と無邪気に言った。

彼を追い出してすっきりした

「それでも2年は我慢したんですよ。互いにしっくりくることもあって、これならうまくいくかなと何度も期待した。だけど彼は、私がちょっと凝った料理を作ると、『これって濃厚に“してほしい”という意味?』と言う。それとこれとは関係ないし、料理作るからして欲しいって誰が言った? と私が本気で怒ったこともありました。『冗談なのに、なにマジになってるの』と言った彼の顔がすごく意地悪そうに見えましたね」

年上であることを気にして何度もプロポーズを断ったのだから、そこは彼の心にとどめておいてほしかった、年がいっているから他の男には振り向かれもしないだろうという気持ちが彼の心のどこかにあるとも感じていた。

彼がいつか他の女性に心を動かすと不安に思っていたアヤさんだが、結果的には彼女自身が他の男性に心を移してしまったというから、人生は何が起こるかわからない。

「たまたま高校時代の同窓会があって、昔片思いしていた人に再会、彼もバツイチだと分かって意気投合しちゃったんですよ。時々彼と食事に行くようになって、現状を話したら『離婚しなよ。オレだったらちゃんと生活費出すよ。だいたい、大事にされてないじゃん』って。その言葉に笑っちゃって、そうだ、年下夫に仕える義理なんてないわと」

帰宅して、夫に別れたいと直球を投げた。夫は「え?」と驚いた表情になった。今さら何を言ってるの、1人になってどうするんだよ、オレみたいな夫がいたほうがいいに決まってると妙な説得をしようとしてきた。

「ふざけるな、と。私はこの2年間、まったく幸せじゃなかったわよと。1週間以内に出て行って! と言ったら、彼は翌日、会社で『妻に捨てられる』と同じ部署の同僚たちに触れ回ったそうです。かっこ悪いと不評だったらしい。その後、彼は上司に説得されて、上司立ち会いのもと離婚届に判を押してくれました」

とはいえ、3度目の結婚は悩む

同級生の彼とは、今のところ婚姻届は出していない。3度目の結婚にどこか怯むところがあるとアヤさんは真顔になった。

「会社の総務に迷惑をかけたくないと冗談で言っていますが、もう届けにこだわる必要もないなというのが正直なところです。彼とは週末同居という形をとっています。2人とも仕事をしていて、今さら子どもも望まないので、この距離がちょうどいい」

それにしても年下夫にあんなに針でチクチク刺されるように傷つけられるとは思っていなかったとアヤさんは言う。彼にとってはささやかな冗談、いじりの範疇(はんちゅう)だったのかもしれない。年の差なのか、彼の思慮の浅さが招いたことなのかわからないが、日常的に不快な思いをしながら我慢する必要などどこにもない。
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