政治の話は「精神的につらいの」と義母
特に義母が嫌うのは政治や世界の紛争などのこと。同居が始まってすぐ、「これだけはお願い。あなたたちが毎日のように話していることが、私にはとても精神的につらいの」と言われてしまった。ミチコさん一家は、世間話のように政治の話をしていたから、それが封じられるのは誰もが納得いかなかった。
「特に夫が怒っちゃって。お母さんに話題を制限する権利はないと思う、なんて言って義母を不快にさせてしまった。とはいえ食事はほぼ毎日一緒だし。まあ、義母は食事が終わるとわりと早く自室に引き上げるので、濃厚な話はそのあとということになりました。最近では『今日は私の分は自分で作るわ』ということもあります。早い時間にひとりですませたい日もあるみたい。そんなときは相変わらず、一家4人で喧々囂々(けんけんごうごう)ですけどね」
今回の選挙のときも、公示日から子どもたちは興味津々。祖母がそういう話は嫌いだと分かっていながら、一緒の食卓で父親に議論をふっかけたりしていた。
「どうして政治の話はダメなんですかって私、義母に聞いたんですよ。そうしたら、たとえ家族でもプライバシーを侵害するからって。うーん、選挙や政治ってそんなに秘密の話ですか?と、思わず言っちゃいました。思想信条は個人的なものでしょと義母は言うけど、それを話題に話が盛り上がることもあるんじゃないかなと思うんです。思想信条というより、政治の話はむしろ生活に密着した話だと思うけど」
こうやって政治の話を避けるから、政治に無関心な人が多いのではないだろうかとミチコさんは思ったそうだ。
「もっと家族で話題にして、みんなで調べたりしていかないと。私たちの暮らし直結のことなんですから」
投票に行くことすら伏せる義母
ミチコさんと夫は、それぞれ時間を見つけて期日前投票をした。義母は当日、散歩に行くと言って投票してきたらしい。「それすら言わないなんて……。そんなにタブーなんですかね。夫に聞いたら、そういえば昔からそうだったかもって。家族でそういう話をしたことはなかったなあと言っていました」
ミチコさんは、義母のそんなタブーを打ち破りたいという気持ちになっているとか。次の選挙までには義母を議論に巻き込んでみたいとニヤッと笑った。