ある日突然「マッスルだー」となった
「うちの夫は、2年前のある日突然、マッスルだーっと目覚めたんですよ(笑)。きっかけは分かりません。社内の女性に『男性の筋肉って、すてきですよね』くらいのことは言われたんじゃないですか。それでモテたいと思って始めたんじゃないか。私はそう思っています。そういうタイプですから」笑いながらそう言ったマリさん(42歳)。妊娠を機に結婚して13年になるが、もとは高校の同級生。別々の大学に行ったものの、友達付き合いは続いていたというから、知り合って27年にもなる。「単純な夫」の心理は手に取るようにわかると彼女は言った。
「何かにはまるのはかまわないんです。夫が筋肉つけたければやればいい。だけど、そのために家族にしわ寄せがくるのはやめてほしいんです」
共働きで、現在13歳と10歳の子がいる。以前なら早く帰れる時は夫が夕食を作っておいてくれたものだった。ところが“筋肉”にはまってからは、夫の食事のメインはプロテインやサプリ。肉を食べるとしても、鶏肉に限られている。
筋肉中心の食生活を家族にも強いる夫
「子どもたちは食べ盛りですから、豚肉、牛肉、何でも食べさせないと栄養が偏るでしょう。魚だって食べさせたい。でも夫は『タンパク質だけとっていればいいんだよ、あとはサプリで何とかなる』って。あなたはそれでいいけど、子どもにそんな食生活はさせたくないと言ったら、じゃあ、きみが作ればいいよって。しかもなぜか明るく言うわけです。共働きのルールを忘れたかと私が激怒して、夫には週末、作り置きさせています」物騒な世の中だから、子どもたちだけの留守番も避けたい。早く帰れるなら夫には、子どもたちと一緒にいてほしいとマリさんは思う。もちろん、自分が早く帰れる時はそうしているのだから。
「そうしたら夫、家の近所にできた24時間のセルフジムに新たに入会したんです。以前から行っているトレーナーのいるジムとは別に。家に早く帰った時は、夜中に24時間ジムにせっせと行っています」
何かに夢中になるのは悪いことではないけれど、なんだかねえとマリさんは苦笑する。
>筋肉オタクとは違う、夫の筋トレ