義母と暮らして私は悪者に
「近所で一人暮らしだった義母が、5年ほど前に骨折したんです。さすがにもう一人で生活するのは難しいだろうと、夫の実家をリフォームして私たちが移り住みました。最初は『うれしいわ。あなたのおかげで幸せな老後を送れる』と言ってくれていたんですが、慣れるに従って、独特の話法で私を混乱させてくるようになりました」ミハルさん(49歳)は、疲れた表情でそう言った。結婚して21年、大学生になったひとり息子がいる。夫の母は今年80歳になった。
「例えばですが、この夏は暑かったでしょう。朝起きてキッチンへ行くと、義母はすでに起きている。『今日も暑そうですね』というと『夏だからね、寒かったら異常気象だね』って。最初はビックリしました。だってそういうただの世間話に、わざわざ悪意をいれてくる必要なんてないはずだから……」
ところが、義母はほぼすべての会話がこういう調子なのだと、すぐにわかった。義母に悪意がないことも理解はした。それでも不快さが消えるわけではない。
「あなたみたいに暇じゃないのよ」は余計では?
「つい先日も、近所に行っていた義母が帰宅したとき、『○○さんが回覧板を持ってくるって』と言ったんです。夕方になっても来ないので、回覧板まだですねえと言ったら、『○○さんだって忙しいのよ。あなたみたいに暇じゃないの』って。どうしてそういう言い方するのか不思議でなりません。私は別に○○さんを非難したわけじゃないのに。『あなたって、○○さんのこと嫌いなの? あまり人の悪口は言わない方がいいわよ』とまで言われたけど、話の軸が完全に違う」一度、義母にそういう意味ではない、認知がゆがんでますよと言ったことがある。すると義母は「あなた、私が認知症だというわけ?」と怒り出した。認知という言葉を使うと、そういう誤解が生じると反省し、ミハルさんは「お義母さんの受け取り方がゆがんでる」と言い直したが、義母は自分を認知症呼ばわりしたと大騒ぎだった。
「疲れますよね、こういうの。すべて無駄なんです。義母との会話も、それによって生じる怒りや悔しさも。全部、無駄な行為。だから疲弊するんです」
近所に部屋を借りて、自分だけひとり暮らしをする選択肢もあるのかなとミハルさんは考えるようになっている。
>被害者意識が強いというパターンも