人間関係

夫の「至らない言動」で年上妻が責められるのはなぜ?「ダンナの教育」を妻の役割にしたがる世間(2ページ目)

俳優の森田剛さんがバラエティ番組に出演し、家庭のことは何もしないと発言し、炎上。おまけに妻の宮沢りえさんにも「甘やかしている」と飛び火。いわゆる「夫婦間格差」があると、人はなぜか妻を標的にしがちである。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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高卒の夫を受け入れようとしない両親

夫婦の形に、たとえ親でも口をはさまれるのはとても嫌だと、マリさん(42歳)は怒りをにじませながら言った。

「私の親はもともと結婚に反対だったし、夫のことも好きではなくて、ほとんど会ってもくれないんです。原因は夫が大卒じゃないから。くだらない理由です」

マリさんと5歳年下の彼とは、4年前に妊娠を機に結婚した。ひとりで仕事をしていくつもりだった彼女が結婚したのは、彼の優しさにほだされたからだ。

「優しいんです、本当に。彼は介護関係の仕事をしているんですが、天職だと思えるほど優しい人。パートタイムで働いているので、家事育児、すべて担ってくれている。私が安心して仕事できるのは彼がいるから」

孫ができても、両親は高卒夫を拒絶する

ところがマリさんの両親は、孫ができた今でも、マリさんの夫で孫の父親でもある彼を受け入れようとはしない。会いたいから孫を連れてひとりで来てほしいというほどだ。

「正社員で働いてもいない男と結婚するなんて、どうしても許せないというわけです。許すも許さないも、両親が結婚したわけじゃない。私の夫です。娘を愛するなら、娘が愛した男をかわいがらなくてもいいから認めるくらいのことはしてほしいと言ってもダメなんですよね」

挙句の果てに、「そんなふうに育てた覚えはない」とマリさんまでもが責められるようになったのだという。

「私はひとりっ子だから、両親に腹を立てても見捨てるわけにはいかない。夫は『僕は気にしないから、きみは息子を連れて行っておいで』と言ってくれるんだけど……。なんだか夫が気の毒で。私と結婚しなければ、こんな嫌な思いをしなかったのにねとつい涙がこぼれた。そうしたら夫は『僕はきみと息子がいるだけで幸せだよ』とまで言ってくれた」

本当は両親にもっと毅然とした態度で接したい。責められたら、いつだって縁を切ってやると言ってやりたい。だが愛されて育ったことは彼女が一番よくわかっている。だからこそ、親を見捨てることができずにいる。それが夫への後ろめたさにつながってもいる。

「いつかわかってもらえばいい。夫は悠長にそう言いますが、きっと夫もつらいはず。なんだか申し訳なくて」

わかってもらえないことを抱えながら生きていくのはつらい。それでも目の前の幸せを優先させなければと、マリさんは自分に言い聞かせるように言った。
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