社会保険に加入すると手取りが減るので困ってしまいます……
そんな社会保険に関する素朴な疑問に、ファイナンシャルプランナーの川手康義さんがわかりやすくお答えします。
Q. 社会保険に加入すると手取りが減って困る……社会保険のメリットはありますか?
現在、夫の扶養に入りながらパートで働いていますが、10月からパート先の社会保険に加入することになりました。厚生年金や健康保険の保険料が引かれて手取りが減ると困ってしまいます。社会保険に加入するメリットはあるのでしょうか?A. 社会保険に加入することで手取りが増える方もいます。また、将来の年金額が増えるなどのメリットがあります。
これまで配偶者の扶養に入っていた方(第3号被保険者)が、自ら保険料を負担することになれば手取りが減るかと思います。しかしながら、これまでご自身で国民年金や国民健康保険に加入していた方(第1号被保険者)は、10月からの社会保険加入により手取りが増えることになります。
例えば、厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトでは、これまで国民年金・国民健康保険に加入していた月額給与9万8000円の方が、社会保険に加入して働いた場合、手取り月額は6900円増加(加入後8万3500円-加入前7万6600円)すると試算されています。
社会保険に加入するメリットはある?
手取りが減って困るという方も、社会保険に加入するメリットについて考えてみましょう。例えば、社会保険に加入すると、これまで扶養に入っていた方(第3号被保険者)が加入していた国民年金に加え厚生年金にも加入することになり、将来の年金額が増えることになります。また、会社の健康保険に加入すると病気やけが、出産のために会社を休んだ場合、「傷病手当金」「出産手当金」の対象になるなど医療保険が充実し、会社を休んだ場合の収入が保障されるのです。
●傷病手当金
業務外の病気やけがで会社を休んだ場合(医師の意見書が必要です)
会社を連続で3日休んだ後(土日含む)、4日目から最大1年6カ月の期間、給与の3分の2の金額を受け取ることができます。
●出産手当金
出産のために会社を休んだ場合(医師、助産師などの証明書が必要です)
出産前42日から出産後56日の期間、給与の3分の2の金額を受け取ることができます。
目先の手取り額だけでなく、将来や「もしも」のときのことを考えれば、社会保険に加入することはメリットが大きいといえるのではないでしょうか。
〈参考〉厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト