脳科学・脳の健康

Q. スキャンダルや不祥事情報をつい見すぎてしまう……やめる方法は?

【脳科学者が解説】自分には関係のないのに、有名人のスキャンダルや、政治家の不祥事ニュースなどをつい見すぎてしまう……。実は、本能として備わっている、脳の働きが関係しています。その仕組みと、やめる方法について、解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 他人のスキャンダルや炎上ニュース、時間の無駄だと思っているのに、つい見てしまうのはなぜ?

ゴシップ情報を見て驚く人

自分には関係がない人のゴシップ情報、つい読んでしまうのはなぜ?


Q. 「芸能人のスキャンダルや、政治家のプライベートの不祥事などを扱っているテレビ番組や記事があるとつい見すぎてしまいます。自分には関係のないことだし、時間の無駄だとわかっているのにやめられません。どうすればやめられますか?」
 

A. 生き物としての本能なので仕方ありません。適宜、情報のシャットアウトを

私たちには生き物として、本能的に「怖いもの見たさ」の心理が備わっています。脳の中の「大脳辺縁系」というところでは、見たり聞いたり体験したりして得た「情報」の好き嫌いを、その都度、判別する仕組みが働きます。それが自分にとって安全か危険かを見極め、適切に行動することが、野生の生活においても身を守るために必要だったためです。

この脳のしくみは、実際に命に関わるようなこと以外にも働きます。テレビやネットなどで、他人の新しいスキャンダルや炎上ニュースに触れると、それがどんなに自分の実生活に関係がなくても、「本当はどうなんだろう」「もっと知りたい」という気持ちが働くのは、決して異常なことではなく、自然な脳の働きによるものです。

ただし、それに対して「無駄な時間を過ごしている」という自覚があるのであれば、本来必要ではない情報まで求めてしまっている状況を省みて、入ってくる情報をある程度「遮断」することが大切です。極端に言えば、テレビやスマホがなくても、生きていくことはできます。いつもうっかり目に触れてしまうほど、そうした情報を垂れ流しにしてしまっている生活習慣を見直すのが一番です。

また、他人のことがあまりに気になりすぎるという人は、心の中が満たされず、欲求不満や閉塞感、劣等感を抱えているケースも考えられます。無意識のうちに、自分と同じか、もっと不幸な境遇にある人の存在を確認することで、それらの感情をごまかそうとしているのかもしれません。本業や家庭がうまくいき、充実した毎日が送れるように「自分磨き」に努めれば、他人のことが気にならなくなることでしょう。

情報通信技術が発達した近年は、氾濫する不必要な情報に意図せず振り回されている方が非常に多いようです。何ら不調を感じていなかったのに、つけっぱなしのテレビから流れてきた健康不安をあおる情報を見て不安になり、番組で紹介されていたサプリメントをつい購入してしまった……といったことも、よく聞く話です。情報は、自分でちゃんとコントロールして取捨選択をすることが大切です。とんでもないデマにだまされて、生活をかき乱されてしまうリスクもありますので、十分に注意しましょう。

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