不安が喉元まで上がってきて、裏切られた悔しさが体の奥からわき起こってくる。そして、相手と対決することを望む妻もいる。だが……。
夫が「おかしい」と感じた妻、浮気を確信
夫の様子がおかしいと思ったのは、昨年暮れのことだったとミホさん(44歳)は言う。30歳のときに、3年付き合っていた同い年の彼と結婚し、現在は12歳と9歳の男の子が二人いる。ミホさんはパートとして、夫の扶養範囲内で働き、家事と子育てがメインの日々だ。「本当はもっと仕事を頑張りたかったけど、長男が体が弱くて……。小さいころに何度か手術をしたので、さすがに続けられなかった。子どもの命のほうが大事ですから」
そのことに後悔はない。今はすっかり元気になり、泥だらけになってサッカーをしている長男、そして次男もミホさんの宝物だから。
「夫は、仕事を辞めざるを得なかった私に気を遣ってくれました。下の子のときは夫も育児休暇を取って、大活躍でした。産後3カ月くらいたって調子のいい日に、私は1日美容院とエステに行って。実母からは呆れられましたが、夫が行けばとネットで予約をとってくれたんです」
そんな夫だから、週末は家族の時間を大事にする。父親だから、夫だからと決して偉そうにはしないところが好きだとミホさんは言った。
「でも昨年暮れ、夫が泥酔して帰ってきたことがあるんです。ふだん潰れるほど飲むことはないので、仕事で何か嫌なことでもあったのかと心配しましたが、夫は上機嫌だった。うれしくて飲んだのかな、それならよかったと安心していたんですけど」
意を決して、夫のスマホを盗み見た
そのころから夫はときどきぼんやりするようになった。話しかけると、ハッとしたようにミホさんに目を向ける。だが以前のように、自分から「次の週末はみんなでどこに行こうか」と言い出さなくなっていた。「お正月はみんなで初詣に行ったり、近くにある私の実家に行ったりしたんですが、やはり夫はなんとなく心ここにあらずという感じでしたね」
正月休みも残り少なくなったとき、ミホさんは意を決して夫のスマホを盗み見た。暗証番号はミホさんの誕生日からとったものだと知っていたから。
「名前はわからないけど、“K”という人とメッセージのやりとりをしていた。激しく愛を交わすような文章が行き交っていました。『だれよりも好きだ、大事だ』『私たち、魂が同じなのよ』って。それを見たとき、私、本当に後頭部をハンマーで殴られたようにグラグラして、思わずしゃがみこんでしまったほど」
どうしたらいいのだろう、家族はどうなるんだろう、私は夫に知っていると言ったほうがいいのだろうか。矢継ぎ早にいろいろ浮かんできたが、解決策は見つからなかった。
>夫が愛を語り合う「K」という人物