半世紀前の会社員経験をアピールする義母
同じようなことは他にも起こっている。「義母の“自分の正義”アピールにイラッとくる」と言うのは、同居5年のアスカさん(43歳)だ。「たまたまちょっと会社の人間関係で愚痴を言ったら、『あなた、そういうときはね、自分が退いて相手を立てるの。それが上手な世渡りってものよ。私だってさんざん経験したからね』と、あたかも超正しいかのように説教してくるんです。
でも義母が会社員だったのは半世紀前の話。それ以来、外で働いたことのない人に、今どきの会社のありようなんてわかるはずがないですよね」
いつの話ですかと冗談交じりに言い返したこともある。すると義母は「人の心はいにしえから変わらないのよ」と涼しい顔だった。
「近所付き合いもそうなんですよね。うちは私たち夫婦が買った家に、義母が越してきた感じなので、最初はなかなか友だちができないんじゃないかと、ご近所さんに紹介しておいたんです。
そのうち、ご近所にも同世代のお友達ができたみたいだったんですが、『あの人、私と同い年ですって。老けてるわよねえ』なんて言うんです。笑っちゃいました。客観的に見たら、同じくらいにしか見えないから。自分だけは若いと思っているんでしょう」
「洗練されていない」と地元の悪口
そのうち、義母は地域の人たちの悪口を言い始めた。この土地は洗練されていないとか、だからああいうケチくさい人たちがいるんだわ、とか。「それを聞いて、夫も笑っている。もともとこの地域は私の地元なんです。うちはもう親がいないので、実家を立て直して住んでいる。いわば私の親の土地を譲り受けた。だから夫も義母も、うちの両親の残した土地に住まわせてもらっているわけですよ。
そんな言い方をしたら嫌らしいけど、私としては地元を悪くは言われたくない。だから『私の地元が洗練されてなくて、すみませんでした』と言いながら夫を見たら、夫は嫌そうな顔をしていました。義母は知らん顔でしたけどね」
同居なんてしなければよかったとアスカさんは言いつつ、それでもなんとかうまくやっていくしかないんですけどね、見捨てるわけにもいかないしとつぶやいた。