心惹かれる男性が現れ「ドキドキが……」
自分に恋愛感情があることすら忘れていたが……
「恋愛ドラマなんてもう観なかったし、恋愛という言葉そのものが遠かった。それなのにあるとき、ドキドキするようなことになってしまって」
3日間のセミナーで知り合った6歳年下のジュンさんが、最終日に「もう少しだけ話せませんか」と声をかけてきた。まだ時間も早いしとふたりでカフェに行った。
「仕事の話をしていたんですが、彼が『アイミさんの話し方って、とても魅力的です』って。『アイミさんみたいな人がいたら僕も結婚するのに』と。彼はまだ独身なんです。何言ってるのよと流したけど、なんだか心が乱れました」
それから1週間後、ジュンさんから食事に誘われた。だが夕方以降はやはり出ることはむずかしい。考えた末、夫に「ねえ、私もたまには飲み会に行きたいんだけど。あなた、しょっちゅう行ってるよね。私も仕事の潤滑油として飲み会出席したいのよね」と言ってみた。日頃から家事を任せることが多いため、夫は少し後ろ暗かったのかもしれない。
「『おお、飲み会くらい行ってこいよ。オレが子どもたちを見るから』と言ってくれた。それで週末金曜日の夜、ジュンと食事をしました。久しぶりに男性とふたりきりで食事をして、夜の街を歩いて、もう1軒バーに行って。すっかり華やいだ気分になりましたね」
「女性にも欲望の解消は必要なんだなと」
不倫にはまる女性の中には、こういうケースが非常に多い。恋愛などする気もなく、そんな感情も忘れていたのに、ふとしたことで一気に恋愛モードに切り替わってしまうのだ。あるいは女としての自分に目覚めてしまうこともある。アイミさんは後者だったという。「恋愛感情というより、自分が女だったことを再発見したというか(笑)。母で妻で主婦で社会人で、という役割から、ふわりと“女”が浮かび上がったような気がしましたね」
2度目の食事のあと、誘われるままにホテルに行ってしまった。「自分の体は、こんな風にも使えるんだという妙な発見があった」と、アイミさんは興味深いことを言った。いつもとは役割の違う自分の体、そして深い欲望に驚いたのだそうだ。
「結局、彼とは月に1回くらいの割合で会っています。恋愛とは違うと思う。むくむくっと起き上がってきた自分の欲望が肥大しているだけ。彼のことは嫌いじゃないけど、何もかも振り捨ててもいいと思えるような恋ではない。女性にも欲望の解消は必要なんだなと今は思っています」
だったら夫と復活してもいいのではないかと考えたこともある。だが、「それはできない」と思い直したとか。
「夫じゃだめなんですよねえ。欲望の解消をするには、存在が身近すぎるんです」
夫婦としてはうまくいっているんですが、とアイミさんは苦笑した。
<参考>
・「夫婦のセックスレスに関する実態調査 第8報」(レゾンデートル)