宅配ドライバーが扱う荷物の数と重さは
都心部の支店にいたときは、1日当たり400個~500個もの荷物を配送していたAさん。配送に加え、集荷する荷物も約500個もあるそうです。配送と集荷を合わせて1日に約1000個も荷物を扱っていたんだとか。今のエリアではそれでも1日当たり約300個の荷物を配送。10時からスタートして30分で30個は配送を完了させるそうです。筆者にはとてもじゃないですができません。経験豊富な物流のプロの配送スピードには脱帽です。
一方、荷物は軽いものから重いものまでさまざまです。重量級は45kgもある冷蔵庫。エレベーターがない古い共同住宅では、階段を使って5階まで運び上げたこともあるそう。
「卒業式や入学式、入社や異動のシーズンの3月~4月はこうした重量級の配送が増えますね。ちなみに冷蔵庫と洗濯機はセットで配送することが多いです。1人暮らしを始めるとき、一緒に購入する人が多いからなんですよ。
重いといえば、ウォーターサーバーの水も重いですね。12L入りのコンテナを台車に重ねて運びます。重いときは120kg以上になるでしょうか……」
重い台車を押しながら、坂道では足を踏ん張って上るため、Aさんのふくらはぎには筋肉が浮き出ています。仕事とはいえ宅配ドライバーの運動量は筋トレ並みではないでしょうか。時間を守り駆け足で届けてくれる宅配ドライバーの人たちは、まさに“街のアスリート”なのかもしれません。
歩行距離はゴルフで18ホールを回るのとほぼ同じ
そこで、Aさんに1日に歩いた(走った)距離を万歩計でカウントしてもらうことにしました。使用した万歩計は歩幅も登録できるので、歩数×歩幅で歩行距離を算出できます。多少の誤差はあるでしょうが、およその1日の歩行距離が分かりそうです。巻き尺で測ったAさんの歩幅は約40cm。万歩計に登録し2日間にわたってカウントしてもらいました。測定開始は支店を出発後、担当の配送エリアに到着してから。終了は配送が完了した時点としました。担当エリア内のトラック移動は含まれてしまいますが、支店と配送エリア間のトラック乗車中の時間は除いてもらいました。
・1日目の歩数
・2日目の歩数 1日目の歩数が2万4294歩、歩行距離は9.7km。なお、1日目の万歩計の画像表示は2万5594歩になっていますが、配送エリアまでのトラック移動時の振動が1300歩分がカウントされてしまったそうなので、この分をマイナスしています。2日目は2万5279歩、歩行距離は10.1kmでした。
健康のために1日に1万歩くことが理想的といわれるなか、宅配ドライバーのAさんはその倍以上を歩いていました。
ちなみに、ゴルフで18ホールを回ったときの直線距離は5.6kmといわれています。実際には蛇行しながら歩くので、現実的な歩行距離は10km前後だそうです。Aさんは18ホールを回るのとほぼ同じ距離を毎日歩いていることになりました。
歩くだけではなく、ときには重い台車を押しながら坂道を上ることも。これだけの運動量を26年も続けていれば、筋肉質の身体を維持していることにも納得です。
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