実家でのほほんと暮らしている息子が結婚相手を探さない本当の理由は?
実際には婚姻届を出さない事実婚の増加もあるだろうが、非婚を公言する人たちもいる。結婚というものが、人生において価値を見い出せないものになってきているのは確実なのかもしれない。
62歳、息子の代わりに「婚活」しているのに
「同居する息子には、とにかく結婚してほしいんです。息子の代わりに婚活しているんですが、うちの息子が選ばれないのが悔しくてたまらない。夫にも息子にも『やめてよ』と言われているけど、結婚が現実になるまで頑張ろうと思います」言い終わると、口を真一文字に結んだサエコさん(62歳)だ。還暦を過ぎて孫のひとりもいないなんて寂しくてたまらないと訴えた。
サエコさんは短大を出て就職し、24歳で結婚。25歳で息子を出産した。
「(息子は)37歳ですよ。もう3年婚活しているんです。知り合いに写真とプロフィールをばらまき、親の婚活集会にも出かけています。大卒だし、それなりの会社に勤めているし、見た目だってそんなに悪いわけじゃない。
お嬢さんをもつ親御さんと意気投合して、今度、必ず会わせましょうというところまで話は進むのに、会わせるところまでいかないんです。お嬢さんに息子の写真を見せたけど、会わないと言われてしまったり」
サエコさんには33歳になる娘もいるのだが、こちらはさっさと家を出て独立、恋人がいたりいなかったりしているようだが結婚には至っていない。
「娘はしっかりしていますから、ひとりでも生きていける。出張に行ったり趣味を楽しんだり、仕事も私生活も自由にやっているから安心しているんです」
息子だけに結婚を強要するのはなぜ?
息子には結婚を強要、娘には自由にやれというのも興味深い。そんな母親に、息子は当たり障りなく接しているらしい。「婚活をやめてほしいとは言われているけど、本当に嫌なのかどうかわからないんですよね。実際は私が動いて、いい人を連れてきてほしいんじゃないかと思う。私がこういう人はどうと勧めると、一応、写真を見たりしていますし……」
同居している以上、息子の身の回りの世話はサエコさんがすべて行っている。息子は洗濯もアイロンかけも自分でしたことはない。帰宅して黙ってすわれば、温かい夕食が出てくるのだから、自ら家庭をもつのがおっくうにもなるだろう。
「夫は息子に、ひとりで暮らしてみろと言っていますが、暮らせるわけがないですよね。そうぼやいたら、娘が『おかあさん、自分がやっていることをおにいちゃんの妻に押しつけたいだけでしょ。本当は自分が好きで息子の世話しているくせに。何もかも考えが古い』って怒られてしまいました」
妻は家政婦ではないと、娘に釘を刺された。
>息子の結婚相手が見つからない大きな原因