好き嫌いの感情が家族にむいてしまう場合は、より深刻な問題となる
第一印象で好き嫌いを決めつける夫
「うちの夫は、何につけても好き嫌いが激しいんです。食べ物もそうだし、スポーツ観戦もそう、あげく人への好き嫌いも多い。そもそも、食べ物やスポーツは嫌いなものがあっても人に迷惑はかけないけど、人との付き合いはそういうものではないでしょ。でも夫は、あの人嫌いとなったら、とにかく避ける、話をしないというように極端なんです。よくあの性格で社会人としてやっていけるなと思います」
サチコさん(41歳)は困惑しながらそう言った。3歳年下の夫とは結婚して6年。共働きをしながら4歳のひとり息子と3人で暮らしている。
夫は、大学卒業後に入社した職場を3年で辞めている。やはり人間関係がうまくいかなかったからだ。その後はアルバイトをしながら生活していたようだが、28歳のときに友人2人と会社を立ち上げた。大成功とは言わないまでも、現在は派遣社員をふたり雇えるようになっている。
「友人たちは夫の性格をわかっているので、ものすごくフォローしてくれています。息子が生まれてからは夫は在宅で仕事をすることも増えました。それも友人たちのおかげです。夫もふたりにはすごく感謝しているみたい」
近所付き合い、保育園の先生は苦手
一方で、近所付き合いや息子の保育園の先生などは苦手なようで、そこはサチコさんが全面フォローするしかない。「夫は自分の親や親戚とも関係が悪いんですよ。私は夫の両親が大好きだし、近くに住んでいるのでよく遊びに行くんですが、そのたびに夫は『オレは行かない』って。夫の場合、自分を立ててくれる人が好きとか、そういうことではないんです。彼には彼の正義みたいなものがあって、それに反する人が嫌いみたい」
気持ちはわからなくはないとサチコさんは言う。たとえば建前ばかり言う人、しれっと嘘をつく人など、表と裏のある人を夫は嫌う。嫌っても表面的に付き合えばいいのに、それができない。だから挨拶もしなくなる。結果的に、夫が変わり者扱いされてしまう。
「世渡りが下手なんですよ。それも含めて彼なので、私はしかたがないと思っていますが」
人にはさまざまな性格やクセがある。人への好き嫌いも「彼の個性」と考えているとサチコさんは言った。
>自分の子どもに向けられた好き嫌いには危険も