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いつまで続ければいいの? 1人で父親の介護を担い心身ともにボロボロ…周囲からの「頑張って」がつらい(2ページ目)

多くの人が直面するであろう「介護」。そこには介護離職、きょうだい間のトラブル、相続などさまざまな問題が横たわっているようです。本稿では介護に悩む人のエピソードを紹介しながら、介護アドバイザーの横井孝治が対応策や注意点などを解説します。※サムネイル画像:maruco/PIXTA(ピクスタ)

横井 孝治

執筆者:横井 孝治

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外野の「頑張れ」はスルーしてもいい

具体的な策が何もない人ほど、外野から「頑張れ」 と言ってしまいがちです。親戚のおじさん、おばさんだったり、親の主治医だったり、実際に介護をしない人が「娘なんだから仕事を辞めてお世話してあげればいいのに」「今頑張らずにいつ頑張るの?」と、どんどん押し付けてくるわけです。

「私の生活はどうなるの?」と聞けば、「そんなのは知らないよ。あなたが頑張って乗り越えればいい話でしょ」なんて言葉が返ってくる。あまりにもむちゃな言い分です。

できもしない人が頭の中にある「理想の介護」をただ押し付け、まじめで優しい人が、その一言で潰れていってしまう。こんな不幸なことはありません。

手助けも何の根拠もなく、ただ「頑張れ」と言ってくる人の声は、スルーしてもいいと筆者は思います。それよりも、親の介護のために子どもが不幸になることが一番の親不孝ではないでしょうか。

多くの親は、子どもが幸せでいることを願って産み育てているはずです。たとえ優しい親であっても、加齢とともに心の状態が変わってくるのはよくあること。元気だった頃からは考えられないようなわがままな性格が出てくることも珍しくありません。

「私のために仕事を辞めなさい」「何のために育ててやったと思っているんだ」、そんな言葉をかけられ、そして周りにも「その通り。親に恩を返さなきゃいけない」などと乗っかってくる人がいたりする。

ただ、ユウコさんの両親は、これまでずっと娘を大切に育て、見守ってきてくれたはず。ならばその何十年もの愛情に応えることも「親孝行」ではないでしょうか。まずは自分自身を大切にしてほしいと思います。

介護について最終的な判断を下すのは自分

自分を大切にするために、介護保険のさまざまなサービスや介護施設、老人ホームなどを利用することもぜひ検討してみましょう。もしかしたら、親や周りの人は嫌がったり反対したりするかもしれません。それでも「黙れ」と言い返すくらいの強い気持ちがないと、大事なものを守ることはできないのです。

「大事なもの」の中には、親自身も含まれます。親を守るために、子どもが心を強く持たなければならない場面もあると筆者は感じています。

介護についての最終的な判断は、親でも周囲の人でもなく、介護をする自分自身で行わなければなりません。いくら周囲からプレッシャーをかけられたとしても、どこまで頑張るかは自分で決めていいのです。

人から押し付けられるがままに頑張って限界を越えてしまったら、あとは潰れるしかありません。そうすると、大切な親さえ守れなくなってしまう。そんなとき、周りの人は手を差し伸べてくれるでしょうか。あなたが潰れるまで何の手助けもしてくれなかった人が、助けてくれるはずがありません。

そんな人たちの言うことは真に受けずに、「へえ~」と返すくらいの気持ちで、受け流しましょう。

そして、もし周りに介護をしている人がいるときは、「頑張って」ではなく「お疲れさま」「心と体に気を付けて」「たまにはゆっくり休んでね」。ぜひそんな言葉をかけてもらえたらと思います。 
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