夫たちも頑張っているのだが、妻との価値観のズレばかり感じて、「いっそすべて振り捨てたい」と思う男性も出てきている。
「うちの妻の沸点」が低すぎる
「うちの妻、とにかく沸点が低すぎるんですよ。それに反して声は高い(笑)。だからすぐに甲高い声で僕を怒鳴りつけるわけです」そう言って苦笑するのは、アキフミさん(40歳)だ。共働きの妻との間に、6歳と4歳の子がいる。パワーカップルというほどの収入はない。夫婦で必死に働きながら、「なんとか生活している」のだという。
「妻はルールが大好きで、そこに縛られるタイプ。今週は妻が食事当番だったら、僕は後片付け、妻が子どもをお風呂に入れるなら僕は寝かしつけ。洗濯や掃除も当番制です。とにかく公平にしないと怒る。それは分かるんですが、僕はシフト制の仕事。夜勤もあります。僕が夜勤のときは、翌日、洗濯掃除が待っている。
仮眠をとるべき時間に家事をしなければいけない。でもサボると『あなたはどうして二人で決めたルールを守らないの』と叱責される。二人で決めたルールじゃない、妻が決めたルールです」
夜勤があるときは別のシステムでと訴えたが却下された。「だったら夜勤なしで今の収入が確保できるところを探して転職してよ」と言われた。それは無理だ。
「公平にと言っているわりには、仕事の多忙さや重責度が加味されていない。それは不公平だと伝えたけど、家事における公平性はとれていると。それ以上言うと、また甲高い声が飛んできそうだったので黙りました」
「そのまま心臓が止まっちゃえばいいのに」
それでもどうしてもできないこともあるし、家事をせずに倒れ込んで寝てしまったこともある。そのたび妻は彼を叱りつける。「ねえ、子どもじゃないんだから、どうして決めたことができないの? あなたは家族の一員じゃないの? 私たちを困らせたいの? 能力低いの? 矢継ぎ早にバーッと言葉が飛んでくる。矢のように刺さるわけですよ。母親がそうだから、子どもたちまで僕に『パパは子どもじゃないんでしょ』『能力低いの?』って。どこまでわかって言っているのか定かではないけど、さすがにむかつきます。子どもの前では言わないでほしいと頼んでも、妻はカッとすると見境がつかなくなる」
もう疲れた。ふっとそうつぶやいたことがある。それが妻の逆鱗に触れた。あなたごときの家事貢献で、何が疲れたよ、私と代わってよと怒鳴りつけられた。
「とにかく怒鳴るのだけはやめてほしい。そのたびに心臓が縮むと言ったら、『そのまま心臓が止まっちゃえばいいのに』と言われました。もう妻との関係を続けていくのは難しいかもしれません」
アキフミさんはやつれた顔をさらに曇らせた。
>妻から夫や子どもへの暴力というケースも