人間関係

母が入院するたび「父のおもちゃになった」10代の私…母親になった今あらためて考える“父の罪”

11歳のころ、母の入院をきっかけに父からの性的虐待がはじまったと30代女性は振り返る。そのことは誰にも打ち明けず生きてきたが、家庭をもち娘もいる今、彼女はあらためて「父の罪」を考えている。※性的虐待の体験談が含まれますので、ご注意ください

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

父親から受けた性的虐待について、あらためて考えている

父親から受けた性的虐待について、あらためて考えている

実父や継父からの性的虐待を黙って我慢するしかなかった女性たちが、声を上げ始めている。

実際に実父から7年にわたって性的虐待を受け続け、今は自分も母となった女性が「気持ちを整理したい」と過去に経験したことを話してくれた。 

私が11歳のころ、母親が入院した

ノリコさん(39歳)によれば、彼女を「性的なおもちゃ」にしていたのは実父であった。会社員の父とパート主婦の母との間に長女として生まれたノリコさんには、4歳違いの妹がいる。

「私が11歳のころ、母が病気で入院したんです。当時、私は知らされていなかったけど子宮がんだったそうです。手術のときは2週間前後、その後も治療のために何度か入院していました。父の態度が“おかしく”なったのは、最初の手術のために母が入院のときです」

もともと仲のいい一家だった。父は母が大好きで、母はそんな父を甘やかし、子どものように世話を焼いていた。

「母ががんだと知ったとき、父は相当落ち込んだのだと思います。入院して家の中に母がいなくなったのも想像以上につらかったんでしょう。

普段は家事などしないのに、頑張って娘ふたりに料理を作り、まだ1年生だった妹の育児をして、父は父なりに大変だったのかもしれない。母の手術があったその日、父は会社を休んで病院に詰めていました。私は普段通り学校に行って、帰宅すると父がいたんです。手術は無事に終わったと、ホッとした顔でした」

父にぎゅっと抱きしめられて……

父を手伝って夕飯を作り、3人で食べて妹を寝かせた。父はリビングでぼうっとしていたという。ノリコさんに気づくと手招きをした。

「そばにいくと、父にぎゅっと抱きしめられました。そのくらいのことはよくあったのですが、気づくと父が私のスカートの中に手を入れていたんです。私はすでに生理がありましたから、ある程度の知識もあった。

やめてよと言ったら、『お願いだからパパを慰めて。ノリコだけが頼りなんだ』と。嫌なのに、なんだかかわいそうな気がして突き放せなかった。母がいないから私が母の代わりをするしかないと思ってもいた。長女の性(さが)なんですかね」

ノリコさんはそう言って自嘲的な顔になった。断れなかった自分を憎むような蔑むような表情だ。

「体中をまさぐられて、全身が固まりました。怖いというより、いつも優しい父がどうしてこんなことをするのだろう、でも、私が父の寂しさを埋めることになっているなら、それでもいいのだろうか……と、いろいろなことが脳内をめぐっていた」

それでもやはり「嫌」だった。母が退院するまでの間に数回そんなことがあったが、退院してきた母にはなにも言えなかった。

>母が入院するたび、エスカレートしていく父
 
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます