あなたは大丈夫? 過激なマスターベーションが引き起こす「オナニーED」
勃起はするけど、セックスで射精まで至らない。あるいは、射精に至るまでにかなり長い時間を要する……。そんな症状に心当たりがあれば、ひょっとすると、「オナニーED」かもしれません。
オナニーEDとは、マスターベーションでしか勃起、射精できない症状のこと。刺激の強いマスターベーションを繰り返すことで、通常のセックスでは射精に至らなくなってしまいます。例えば、マスターベーションの際にペニスを強く握り過ぎていたり、床や布団に擦り付けるようなやり方をしている人は、注意が必要。締め付けに特化したオナニーグッズを愛用していたり、過激なアダルト動画を頻繁に観たりするのも、オナニーEDを引き起こす要因になり得ます。
刺激の強いマスターベーションと比べると、通常のセックスは、どうしても快楽の面で劣ってしまいます。いったんこれらに慣れてしまえば、なかなか後戻りできなくなってしまうのがオナニーEDの難しいところ。さらには、「勃起しないとカッコ悪い」「射精しないと相手に失礼」といったプレッシャーからセックスがますます思い通りにいかなくなるばかりか、「私に魅力がないのだろうか……」とパートナーを不安にさせてしまう可能性もあります。果ては、「過度なマスターベーションが原因でパートナーとの関係性が悪化した」というケースも、決して珍しくありません。
正しくやれば、マスターベーションはED予防にも役立つ
とはいえ、正しく行えば、マスターベーションは健全な性生活を送るために極めて大切な行為です。ここで、40代以降の自慰行為事情にまつわる調査結果をご紹介しましょう。 こちらの調査結果から、自慰行為の頻度は加齢と共に大きく減少し、60~70代では1年以上自慰行為をしていない人が40%以上にものぼることが判明しました。さらに興味深いのが、EDの進行症状との関連性です。<自慰行為を2週間に1回以上している人のED進行症状(40~79歳)>
・EDではない:51.69%
・軽度ED:21.47%
・中等度ED:14.31%
・重度ED:12.52%
「自慰行為を2週間に1回以上している」人の5割以上が「EDではない」と感じ、「重度EDである」と感じる人が1割強にとどまる一方で、自慰行為が「1年間に1回程度」と答えた人は逆の結果に。「EDではない」と感じている人は3割に満たず、「重度EDである」と答えた人は半数近くにものぼります。軽度EDや中等度EDは、「たまに硬度や維持力に不満が残る」といった症状になるので、「1年間に1回程度」でその割合が少ないのは、そこから重度EDに症状が進行したことが考えられるでしょう。<自慰行為を1年間に1回程度している人のED進行症状(40~79歳)>
・EDではない:27.62%
・軽度ED:25.71%
・中等度ED:19.05%
・重度ED:46.67%
またこれは、自慰行為だけでなく、セックスの頻度にも同じことが言えます。
<セックスを2週間に1回以上している人のED進行症状>
・EDではない:61.07%
・軽度ED:23.49%
・中等度ED:12.42%
・重度ED:3.02%
<セックスを1年間に1回程度している人のED進行症状>
・EDではない:49.67%
・軽度ED:24.18%
・中等度ED:20.26%
・重度ED:5.88%
EDの状態では自慰行為もセックスも難しくなりますから、EDの症状が重くなるほど、それらの頻度が低くなるのは当然ではあります。一方で、ペニスを使わない期間が長くなるだけ、衰えが加速していくのも事実。ことマスターベーションに関しては、冒頭でもお伝えした通り、正しいやり方を実践しながら、適度な頻度で嗜むことが大切です。
ED予防のための正しいマスターベーションと運動習慣
それでは、具体的にどのくらいの頻度でどんなマスターベーションをすればいいのでしょう? ここでは、その3つのポイントをご紹介します。■1日1勃ち! 回数ではなく頻度を重視する
人間の体は使わない箇所を「必要なし」と判断するため、活動させない部分はどんどん劣化していきます。寝たきりの状態が続くと脚の筋肉が衰えるように、ペニスもまた、使わないとその機能は失われていくもの。そこで心がけるべきは、「1日1勃ち」。勃起によって海綿体の萎縮を防止でき、射精時には陰茎や前立腺の血流も改善されます。
このとき、射精はマストではありません。大切なのは、回数ではなく勃起の頻度です。無理に射精にこだわらず、またセックスやマスターベーションに固執せずに、勃起する機会を意識的に増やしてみてください。
■マスターベーションは「スラスト運動」をクセづける
先ほども述べたように、強い刺激のマスターベーションは禁物です。おすすめは、「スラスト運動」と呼ばれる方法。指で輪をつくるようにしてペニスを持ち、卵を握るくらいの優しい握力を意識します。上下運動は、実際の性行為くらいの速さで。動画などを観るなら、過激なものを避け、実際の性行為に近いものを選ぶようにしましょう。また、厚めのコンドームを装着して、陰茎や亀頭への刺激を緩和させるのも効果的です。このようにして、低刺激のマスターベーションに徐々に慣れていくようにしましょう。
■ED予防には有酸素運動が効果的
EDに関していえば、毎日の生活習慣で予防することもできます。例えば、適度な運動はED予防に効果的であることが調査で明らかになっており、特に「ランニング」や「サイクリング」などの有酸素運動を習慣にしている人は、EDではない割合が多いことが判明しました。
ただしサイクリングは、勃起に関わる血管・神経が通る会陰部が圧迫されることで、逆にEDを誘発する可能性もあります。「股間が圧迫されにくいサドル」「圧迫軽減パッド入りパンツ」を使用する、長時間運転する場合はこまめな休憩を取ることなどを心がけましょう。
「オナニーED」に悩んだら、医療機関にアドバイスを求めるのも手
「オナニーED」に悩んだら、医療機関にアドバイスを求めるのも◎
繰り返しになりますが、マスターベーションという行為自体は、健康な性機能の維持に欠かせないものです。正しく行えばED予防にも役立ち、セックスレスの改善にもつながるでしょう。しかしながら、刺激の強いやり方を常習的に行なってしまうと逆効果。行き過ぎた快楽や無理な射精を求めるのではなく、「1日1勃ち」を意識してみてください。
とはいえ、マスターベーションは習慣性のある行為。一度身についたやり方を変えるのは、なかなか難しい面もあります。もしオナニーEDに心当たりがあれば、専門の医療機関にアドバイスを求めるのも手です。実際、私の元には男女問わず、さまざまなお悩みが寄せられています。オナニーやEDは、極めて個人差が大きいテーマ。だからこそ、その道のプロであれば、一人ひとりが実践しやすい解決方法を提案してくれるでしょう。
<調査概要>
集計期間:2021年5月7日~9日
調査対象:日本全国の40~79歳の男性 合計4,000人(5歳階級ごとに500人)
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※参考:
・ED(勃起障害)と生活習慣に関する実態調査2021(浜松町第一クリニック)
https://www.hama1-cl.jp/internet_research/lifestyle_diseases_ed.html#research6
・マンガでわかるEDの様々な要因CASE6「オナニーでしか射精できない」
https://www.hama1-cl.jp/about_ed/comic_ed/failure06.html
・EDの予防「一日一勃ち」を心がける
https://www.hama1-cl.jp/column/ed-topic06.html