お金持ちが投資で大切にしていることとは?
お金持ちが「投資」で大切にしているのは、どんなことだと思いますか? 多くのお金を動かすからこそ、一般人には見落としがちなあることを徹底しているといいます。ほとんどのお金持ちが投資するときに欠かさない“あること”とは何か? 『お金持ちは合理的』(すばる舎)の著者であり、多くの富裕層を間近で見てきたファイナンシャルプランナーの立川健悟さんに聞かせてもらいました。
投資で大切なのは、専門家の情報でさえうのみにしないこと
――お金持ちの人は投資をするとき、どんなことを大切にしているのでしょうか?立川さん:これは富裕層に共通しますが、まず、彼らは基本的に自分一人では情報を探しません。もちろん、本とか雑誌、新聞も読まれますが、何か動くとき(投資するかを判断するときなど)は、必ず専門家に意見を聞くというのが基本です。
私も富裕層の方から、ときどき「ちょっと教えてほしいことがあるから、家まで来て」という電話がかかってきますが、「何を聞かれるのだろう……」と、内心ヒヤヒヤしながら足を運んでいますね(笑)。そこで、「こういうニュースが出ていたのだけど、実際のところどうなの?」といった、現場にある最新情報について質問されます。一般の人の中には、自分でネットニュースやYouTubeなど比較的ざっくりした情報を見て、分かった気になってしまう人もいますが、富裕層はそうした情報で決して分かった気にはならないですね。ちゃんと自分が理解できたり、納得できたりするまで専門家に聞いています。
さらに富裕層は、専門家の話であっても改めて自分でその情報が正しいかを確認されていることが素晴らしいと感じています。先ほどの話と似ていますが、一般の人は、専門家と呼ばれる人のセミナーを聞くと、内容をうのみにしてその場で申し込むようなことをしてしまいがちですよね。本当はもっと自分でも確認するべきですし、その確認を富裕層は第三者にも依頼します。
――確認というのは、具体的にどういったことをするのでしょうか?
立川さん:例えば、メンター(※)や、自分と資産規模が近しい人に「こんな話があったけど、あなただったらどうする?」と聞き、意見をもらった上で、自分で確認して決めるという感じです。一般の人が契約書などを見て、よく分からないまま「細かいから、もうこれでいいです」みたいにしてしまうのとは全く違いますね。私が出会ったことのある富裕層は、専門家とメンターに話を聞いた上で、最後は自分で決めています。人によってはいわゆるセカンドオピニオン的に、1つのことについて2人の専門家へ確認する人もいます。
※仕事やプライベートの面で、指導・助言をしてくれる相談相手のこと
円安不安もあるけれど「まだまだ日本頑張れ!」みたいな空気を持っている人も多い
――資産がたくさんある富裕層の人たちのポートフォリオも気になります。資産配分に傾向などはあるのでしょうか?立川さん:みなさんの内訳を聞いているわけではないので、あくまで一例ですが……もともと不動産をお持ちの人は、そこが得意分野でもあるため不動産の割合が厚い(多い)ですね。そうでない場合は、個別株式や投資信託などで運用されています。円安への対策もかねて、「国内より海外かな」と話す方も多い気がしますね。
――最近は特に円安が進んでいて、不安な人も多いと思います。富裕層の方々は具体的にどのような円安対策をしているのでしょうか?
立川さん:円貨と同額の外貨を持っているという方もいますし、海外不動産を買っているという人もいますね。それから、海外株式などに投資しておいて、日本の企業が弱くなっていくリスクに備えているという話も耳にします。ただ、私の周りの富裕層の方々は、「まだまだ日本頑張れ!」という考えを持っている人が多い気もします。半分は国内の資産という人もいらっしゃいますよ。
立川 健悟さん
1980年生まれ。30歳のとき不動産テック企業に転職し、営業パーソンとしての実績が認められ主要株主の一人として執行役員に就任。その後、会社の株式上場に伴い、金融資産が3億円を超え、富裕層の仲間入りを果たす。多くの富裕層に接した経験をもとに「人生を豊かに生きる人を増やしたい」との想いから、ファイナンシャルプランナーに転身。著書に、『お金持ちは合理的』(すばる舎)、『お金が増えるのは、どっち?』(三笠書房)。
取材・文/七海 碧
不動産・金融に特化しているフリーライター。「本質を捉えて分かりやすく伝える」をモットーに、初心者でもすぐに理解できるシンプルな言葉で説明することが得意。ファイナンシャルプランナー、資産運用検定資格を保有。